街を出てみました
胃腸炎でダウンしてるので、次回の更新は遅くなりそうです。
ゼライムの形のポーチを肩から下げ、つばの広い帽子をかぶった幼女が街の門をくぐり、外に出る。
周りの人たちと比べるとかなり目立つ外見のはずなのだが、なぜかほとんど注目はされない。
「にゃー。
潜伏のまほーの効き目は少しはあったかな。
ふたりとも、いくよー。」
2人の少年を引き連れ、街の外壁に沿って少し歩き、足を止める。
「むー。
かなり空間魔力濃度高いんだね。
街の中が極端に低くなってるだけかな。
それじゃ、さっき話した通り、1小刻だけ動き止めて情報解析に専念するね。
たぶんときどきゼライムが寄ってくると思うから、なるべく近寄らせないようにしてね。
わたしでも一撃くらいなら耐えられるし、攻撃されたら反撃することはできるから、あんまり無理はしなくていいからね。」
「おう、ゼライム以外なら正直言って無理だと思うが、ゼライムなら防いでみせるぜ。
俺は剣はまだ下手だから蹴りと拳でなんとかする。」
「僕もゼライム相手なら蹴りのほうが速いかな。
もし、ゼライム以外の何か出たりしたら、考え中でも声かけたほうがいいよね?」
「むー。
周辺にはいないと思うけど、ふたりで対処できないくらいのがきたら声かけてね。
そーしたら考えるの中止することにする。
それじゃ、はじめるよー。」
「うん、まかせておいて。
行くよ、オクト。」
「おう。
一度に2匹来た時は俺が左から行くからペンタは右からで頼む。
1匹ずつなら交代で俺から、3匹以上の時はその場で判断な。」
「了解。」
ゆっくりと目を瞑り、息を止める。
その後、普段無意識のうちに体に流している『最低限の魔力』をさらに制限。
『五感』、嗅覚、触覚、味覚、視覚、聴覚による情報を無視することにより、『第六感』に集中する。
周囲から感じる大きな魔力の気配、小さな気配、気配を感知できない物。
無差別に情報を拾い集め、解析をして、情報の優先順位を設定。
そしてさらに解析を進めていく。
「お、青ゼラ1匹来た。俺が行くぜ。
飛んでいきやがれ!」
ブルーゼライムを蹴り飛ばす。
「あ、もう一匹来たね。
僕が行くよ。」
その後、何度かゼライムを撃退している・・・。
「ぷはー。
おまたせー。まわりの気配を調べ終わったよ。」
「おう、終わったか。お疲れさん。ありがとな。」
「ずいぶん顔色悪くなってるみたいだけど、大丈夫?
それとも元々そういう技なの?」
「らー。もともとそーいうわざ。
調べているあいだ、すこしだけからだにふたんかかる。
ちょっとたてばもとにもどるから、きにしなくてだいじょーぶ。」
「まあ気にしなくていいなら気にしねぇけどな。
ありがとな。けっこうしんどいんだろそれ。」
「むー。お礼言うのはまだ早いかな。
戦いやってもらってたわけだし、わたしが入手した情報を聞いてから判断してもいいんじゃないかな。
これで情報がたいしたことなかったら、ただぼーっとしてただけとかわらないし。けっかてきには。」
「おう、それじゃ情報聞いて良いか?」
「らー。もちろんいいよー。
えっとね。
地上徘徊タイプの大型モンスターは近くにいないから、今回は気にしなくて大丈夫。
小型モンスターだと、ゴブリンが少し遠いところに3匹いるね。巣は遠いはずだけど長距離偵察に来たのかな。右の方向に少し歩くと遭遇しちゃうかも。
あと、かなり遠い所にはワイバーンみたいな反応があるけど今のところ気にしなくて大丈夫。
ある程度近づいてきたら逃げるか迎撃準備するしかないかも。」
「ゴブリン3匹・・・俺たちでいけると思うか?」
「僕とオクトの二人だったら無理だろうね。
こっちが2人で敵が1匹か2匹ならなんとかなるかもしれないけど、自分たちより多い敵との戦い方なんて知らないから。
スミシーちゃんを戦わせるわけにもいかないし、避けて進むかあきらめて戻るかしかないと思うよ。」
「あと、浄化のはーぶは、右に一つじゃなくて左に二つ曲がったほうが取れそう。
右側にゴブリンがいるから、右に一つだと途中で近づいてしまう危険性がある。
それに、はーぶがはえている数も今は左のほうが多い。
右の道の先にあるばしょは、もともとの数は多くてもいっぱい採られて減っちゃってるし。
夜に行くなら右のほうがいっぱいとれるけど、今回はお昼だからねー。」
「えっ、ハーブのはえてる場所までわかるの?」
「1小刻も使ったんだから、そのくらいのじょーほーは集められるよ。
このへんは気配を感知しやすいばしょみたいだし。
何本必要かは知らないけど、今回は左をおすすめ。」
「えっと、オクト、何本くらい必要なの?」
「わからねぇ。
だが、1回しか挑戦できねぇなら、限界まで取っていきたい。
いざって時に足りなくても追加はできなそうだしな。」
「むー。
それじゃとりあえず左のほう掘ってみてから考えようか。
たくさん生えてるはずだし、周りの警戒もしなくちゃいけないから、たぶん左だけで限界だと思う。最初に相談して決めた通り1刻で戻る予定だし。」
「おう、それじゃ左のほうがよさそうなら左にしようぜ。
さっそく出発でいいか?」
「らー。いこう。」
「うん、行こう。
移動中もゼライムは近寄らせないようにしたほうがいいよね。
僕らが少し先を歩くね。」
「にゃー。ありがとー。
対処できないことはないけど、歩くのに全力使った方が速く歩けるから早く掘りに行けると思うー。」