図書館に泊まってることは秘密。
先ほどギルド受付の隠し扉から出てきた大柄な少年が、小さな方の少年に話しかける。
二人が並んでいるのを見ると、二人とも厚手の服と手袋、腰には短剣のようなものを身に付けているのがわかる。
「受付のねーちゃんに頼んでみてもダメだったから、あとは4級のカード持ってるやつを探して頼んでみるしかねぇよな。」
「そう簡単には見つからなそうだね。頼んで連れて行ってくれる人は。オクトの家のおじさんだって探してみるって言ってたんでしょ?そっち待ってみたらどうかな。」
「そんなこと言って手遅れになるかもしれねぇじゃねぇか。
俺らも探した方が速いぜ。」
「うん、まあそうなんだろうけど、僕らだけじゃ出れたとしても危ないし、護衛頼むお金もないよね。」
「そりゃそうだけどよ。あきらめるよりなんか方法探したほうが良いだろ。」
「そりゃ、何もしないよりはいいかもしれないけど・・・。」
「ところで、そのちびっ子は知り合いか?」
「あー、まあね。
待ってる間少し話してたんだ。」
「らー。おはなししてたー。」
「そうなのか、話の邪魔しちまったか?
俺は7級冒険者のオクトだ。
こいつは、まあ知り合いなら知ってるだろうが7級冒険者のペンタだぜ。」
「わたし、スミシー、です。
はなしはだいたいおわってたからだいじょーぶー。」
「変わった名前だな。
一人で来たのか?」
「らー。ひとりできたー。」
「んじゃペンタ、お前帰り送って行ってやれよ。
そんなちっこいんだから、一人で歩いてたら危ないだろうしな。」
「むー。ちっちゃいのはじじつだけど、そんなにいわなくてもいいんじゃないかな。」
「えっと、たぶん一人でも大丈夫なんじゃないかなーと思うけど、良かったら家まで送ろうか?」
「み?
わたし、ものすごく足遅いから、たぶん後悔するんじゃないかなとおもうよ。
それでもいいならおねがいするけど。」
「うん、それじゃ送っていくね。
オクトはこれからどうするの?」
「俺は酒場にでも行って町を出るのに協力してくれる人いないか聞いてみる。
まあ難しいだろうけどな。」
「わかった。僕はスミシーちゃんを送ったあとは宿に帰ってるよ。
町出れそうだったら声かけてね。」
「ああ。その時は頼むぜ。」
・・・
大柄な少年と別れ、二人はギルドを出て大通りを歩いていく・・・。
「ぺんたさん、どーして私のこと言わなかったのかな?
4級のひと探してたんだよね?」
「いや、まあ確かにそうなんだけどね。
あの時オクトに言ってたら、連れて行くって言うまで離れないって感じに追いかけ回されそうだったから。」
「むー。そうかも。
なんか、すごくいそぎで、町を出たい感じ、みたいだった。」
「うん、オクトは今、町を出ないと取れないものが必要で、かなり急いでる。
町の近くで取れるけど、町の中では取れない。」
「そーなの?」
「うん、そうなんだ。」
「それで、ぺんたさんはどーいう感じ?
ぺんたさんも町を出たいの?」
「うーん、僕らだけで出たら間違いなく無事には帰れなそうだからね・・・。
無事に帰れる可能性があるなら出たい、っていうくらいかなぁ。」
「むー。それはむずかしいかんじだね。」
「難しいよねぇ・・・。」
「そろそろねむくなりそーだから、かえるね。
また今度会ったら、おたがいひまだったらおはなししましょ。さっきの町から出る話がうまくいったかどうかとか。」
「うん、またどこかで会ったらよろしくね。
宿まで送らなくて大丈夫?」
「だいじょぶー。もうちょっとでつくから。それじゃねー。」