かーどはたくさんもってます。
子供冒険者協会。
10歳を少し超えたくらいの少年が、壁に寄りかかりながら目を閉じ、独り言を言っている・・・。
「ヒマだなー。あいつはしばらく戻ってこないだろうし。
心配なのはわかるけど自分で行くのは無理だろあれは・・・。」
ゆっくりと目を開け、目の前を歩いている子供を見つける。
「あんなちっちゃい子供がいるのは珍しいな。
上の駄菓子屋から迷い込んだのかな?」
「にゃー。」(壁の依頼書を見ている)
「え、あの外見で子供冒険者なのか?
・・・まあ軽いお手伝いからあるわけだからおかしくはない、か?」
「むー。」(上を見ながらジャンプしている)
「・・・やっぱり届かないよねー。」
「にゃー。」(ジャンプをやめ、引き返す)
「何かやり遂げたような顔してるけど、取れてないよね!?」
「み?」
「あ、急にごめんね。
その壁の依頼書を取りたいんだよね?
取ってあげるよ、どれがとりたいの?」
「これのよっつうえ、取りたい。」
「これでいいかな?」
「らー。それー。」
「はい。取ったよ。」
「ありがとー。
これで依頼受けれるー。」
「えっと、でもその依頼書の色って、町の外の依頼だよね?
冒険者ランクが高くないと受けれないんじゃないかな?」
「これ受けれるくらいには高いからだいじょーぶ。」
「えっ?」
「み?」
「えーっと。それちょっと見せてもらっていいかな?」
「らー。どうぞー。」
「これ、子供冒険者ランク5級まで上がらないと受けられないんだけど・・。」
「4級だよ?ほら。これわたしのぼーけんしゃかーど。
4級ぼーけんしゃ、『スミシー・ホワイト』って書いてあるでしょ?」
「え、4級なの?」
「らー。4級だよ。」
「スミシーさんの妹さん、とかじゃないよね?」
「私のカードで間違いないよ。」
「えーっと、すごいんだね。」
「み?そーなの?」
「たぶんすごいんじゃないかなぁ。4級のカードなんて初めて見たよ。」
「そーなんだ。それじゃ2とか1とか持ってる人いたらみんなびっくりするね。」
「うーん、たぶん2とか1は誰も持ってないと思うよ?」
「そーなんだ。ふしぎー。」
「1や2が取れちゃったら上を目指す人がいなくなるからね。仕方ないよ。」
「なるほどー。1のつぎはどーすればいいのかってことになっちゃうわけだね。」
「そうそう。そんな感じだろうね。」
受付の奥にある隠し扉を開け、やや大柄な少年が現れる。
「ずいぶん遅かったね。
どうだった?って聞くまでもないか…。」
「み?おともだちかな?」
「町を出たいなら5級以上になるか4級以上に連れて行ってもらうか、だと。
俺にはそんな時間はねぇんだよ!」
「あー、4級かぁ。それは無理そうだね。見たことないし。
『スミシーちゃんも見たことないよね?』」
「・・・らー。4級の『人は』みたことないよ。」
装備で追加した『跳躍』スキルの出番がついにきました。
背伸びするのとあんまり変わってないくらいの高さです。




