いえろーけーき。
「ただいまー。」
「ただいま。あら、白ちゃんはまだ寝てるみたいね。」
「そーだねー。
いつものパターンだともうちょっとで起きてきそうだから、あたしはここで本でも読んでることにするよ。」
「それじゃ私は買い物に行ってくるわね。
なにか必要なものあるかしら?」
「必要ってわけじゃないけど、ヴェクサシオンとイエローケーキ買ってきて~。」
「ヴェクサシオンは持ち帰りできる店はなかったはずね。
イエローケーキだけで良いなら買ってくるわよ。」
「うん、それじゃイエローケーキだけお願い―。」
「ぴ?
むにゅ、おあよー。」
「あ、おはよー。」
「おはよう。」
「おかいものいくの?」
「うん、みやっちだけだけどね。
あたしは疲れたからのんびりしてる。」
「みーたん、わたしもついていっていい?」
「ええ。もちろんいいわよ。」
「でかけるまえに、最近覚えたおまじないかけていい?ぶじかえれるよーに。」
「なんだか大規模なおまじないになりそうな予感しかしないけど・・・。
もちろんいいわよ。なんでもどうぞ。」
「にゃー。あいあとー。
それじゃ、急いでおまじないするね。」
『幸運と狂気の女神』
『炎と鎚の神』
『水と再帰の女神』
『狂信と束縛の神』
『風と唄の女神』
『大地と無謀の神』
『そして万物と虚無の神』
『七柱の神に希う。
我が主の進む道に祝福のあらんことを。』
「にゃー。おまじないおわりー。」
「なんだかすごそうな呪文だったけど、おまじないってレベルなのかなぁそれ。」
「ふわっとしたかんじのおまじないだから、あんまり効き目はないけど副作用はない感じ。
でも、属性の組み合わせと魔力の過剰投入で、少しはききめがつよくなる、かも?」
「えーっと。買い物行くだけのために使うような呪文じゃないような気がしたわね・・・。
でも無事に帰れるようにっていうおまじないなのよね。ありがとう。
とりあえず、行きましょうか。」
「らー。いきましょー。」
・・・・・
「これが、いえろーけーき、なの?」
「ええ。そうよ。
イエローケーキを見るの、初めて?
イエローゲルを使ってるケーキだからイエローケーキって呼ばれてるわ。」
「ちょっとちがうものを想像してた。
おまじないしなくてもだいじょぶだったね。これなら。」
「あら、どんなものを想像してたの?」
「むー。
説明しにくいけど、たとえるなら、ものすごい強さの呪いの波動を出す素材。
むぼーびにちかづくと死ぬ。」
「えーっと、私たちは呪われてる素材をわざわざ買いに行ったりはしないから大丈夫よ。」
「にゃー。あんしんした。
それじゃ、かえっておやつにしよー。」
「そうね、そうしましょう。」