しりあいはおおいけどともだちすくない。
「ただいま。」
「ただいまー。」
「おかぁいー。
みーたん、はーたん、ちょっとしつもんしていい?」
「白ちゃんが質問ってのも珍しいね。
どーぞー。なんでも聞いて良いよー。」
「なにかしら。もちろん聞いて良いわよ。」
「おともだち、って、なに?」
「へ?友達のこと、だよね。
友達っていう言葉の意味がわからないってこと?」
「らー。最近あった人で、私のことおともだちかきかれてそんなものかなって答えた人いた。すんでたくにでも、わたしのことを「おともだち」っていうような言葉で表現してたひとがいた。
「おともだち」っていうのは、ふつうのひととちがうの?」
「えーっと。こういう場合ってどう答えたらいいのかしら。
辞書で調べたような言葉で答えるわけにはいかない場面よね。これ。」
「家族とか職場関係以外で連絡先を知ってる人、一緒にいると楽しいとか落ち着くとかいい感じになる人、あと役に立つ人かな。冒険者仲間とかだとそんな意味。
そのほかにもいろんな意味があるから、どんな場面で言うかによって意味が違ってくるかも。
まあだいたい片方だけが言ってる間はあんまりいい意味じゃない気がする。お互いが言ってれば仲良しかな。」
「むー。なるほど。むずかしいんだね。」
「そうだねー。
わざわざ「私たち友達だよね?」って確かめるのも気まずいしね。「違う」って答えるわけにもいかないだろうし。」
「そこで違うって答えられたら気まずいどころの話じゃないわね・・・。」
「すんでたくにで、ともだちひとりしかいなかったみたい。わたし。」
「・・・えーっと。一人いれば大丈夫・・・なのかな?
私もあんまりいないからよくわかんないけど。」
「人数じゃなくてどのくらい仲良しか、じゃないかしら。
私も多いわけじゃないからあまりわからないけど。」
「むー。比べる対象がないから、よくわからない。
たぶん、わるくはないとおもうけど。
この国みたいなところでの生活のしかた教えてくれたの、くろだし。」
「黒さんっていうのね。
どんなこと教わったか聞いて良いかしら?ちょっと気になるわ。」
「基本やりたいようにやれ。だよ。
そのほかいろいろおそわったけど、ひとことでいうとそんな感じ。」
「シンプルだねぇ。」
「シンプルね。
でも、エルフならそんな感じでいいのかしら?」
「らー。そうかも。
くろ、えるふじゃないとおもうけど。」
「そーなんだー。
エルフの国ってわけじゃないって言ってたもんね。そういえば。」
「にゃー。そんなことよくおぼえてたねー。」