表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/446

1日目20時~。 現時点での情報からの推理

 18時を過ぎたところで部屋へ移動し、約2時間ほど、ふたりの話を(意味はほぼ分からないが)聞いたり、頭をなでられたりした。


 2人が先に眠ったので、今のうちに今日の情報を頭の中で整理してみることにする。


 一日目の情報。

 

 この世界での今日の朝からゲームにログインしたので、ログインからゲーム時間で約半日、契約終了まで8日半程度。


 まず、私の姿はエルフになっている。これはメニュー画面で読み取れた情報からすると確定と考えていいだろう。

 おそらく設定時に聞いた「希少種族」だと考えられる。


 『天使と悪魔』の会話のすべて、メニュー画面の文字のほとんどが理解できなかったことから、「共通語」もしくは「人類語」(共通語ととりあえず呼ぶことにする)が使えていないのは間違いない。


 私の話す言葉は、「エルフ語」に自動翻訳されてしまっているらしい。

 まあほかの種族でも同じ言語を話す者もいるかもしれないがな。


 倒れたところを助けてくれた二人。一人は長髪ストレート、もう一人はウエーブがかかった肩までの髪だった。

 顔は…区別がつきにくかったな。双子かなにかなのかもしれないが。

 名前は「ミヤ」「ハヤテ」と聞こえた。

 名前は通じるようになっているのか、それとも名前まで妙な変換されているのかは今度確認しておこう。

 確認するまでは「長髪さん」「ウエーブさん」と暫定的に考えておくことにする。


 あの二人に受けた、今も受けている恩は忘れてはいけないな。ゲームでも。

 今は何ができるかはわからないが、エルフとして何かできることがあったらあの二人を誰よりも優先すべきだろう。


 そして、責任者らしきドワーフ。

 ドワーフ族は共通語を使えるようだな。人間のふたりと会話が成立していたようだし。

 その責任者に見せられた巻物で、私がエルフであるかどうかを確認する予定だったらしい。

 おそらくエルフ語で書かれていて、エルフ語が理解できない者には質問文がどこにあるのかもわかりにくいようになっているのだろう。


 だが、周りのダミー文字が『白』で、私のキャラクター名も『白』だったために、ダミー文字を読んだと認識された。

 キャラクター名が『白』だといったことで多少修正はかかったかもしれんが、良くて半信半疑といったところだろうな。疑いのほうが強いのが自然か。



 そういえば二人に『白』と名乗った時も、ウエーブさんがいろいろと話していたな。

 そしてその時何度も『白』と言ってたのはわかった。

 『白』という言葉自体に、何やら意味があるのかもしれん。

 よく使われるダミー文字なのかもしれないな。


 

 このゲームの中で、時計のデザインは短針だけになっていて長針はないようだ。

 そして、その針は24時間で1周するらしい。

 普通の時計なら文字盤の数字があるはずのところに、絵が描かれている。2時間に1つの絵だな。

 そして、絵があるのは6時から18時までで、20時~4時の部分は黒く染められている。

 おそらく、夜間は出歩く習慣や他者と会う習慣がないのだろう。

 そのあたりの時間は『夜』の一言で充分なのだろうな、おそらく。



 言語についていろいろ試してみた結果。

 

 私が日本語で話しているつもりの時は、『エルフ語』に変換されているらしい。

 エルフ語で話すと、人間との音声による意思の疎通はほぼ不可能と考えられる。


 現実で理解不可能な言語の持ち主と会話する場合なら、

 適当な単語、たとえばYESの意味で『リンゴ』、NOの意味で『バナナ』と言ったとしても、その2つの単語をずっと使い続け、音として認識してもらえば想像力で意思疎通は多少できるはずだ。


 だが、そのくらいの単純なことでさえ、伝わらないようにされている。

 まあプレイヤー同士ならお互い日本語は理解できるわけだから、ある程度妨害をしなければ普通に会話が成立してしまうだろうしな。

 よって、『声による会話で』『エルフ語の技能を持たない者にエルフ語を理解してもらう』のは絶望的に難しい、もしくは不可能であると考えられる。


 言語を使わず、単純な音を出す気持ちで声を出すと、その音は伝わるらしい。

 『音を何種類かだして、意味は向こうで想像してもらう。』

 そういう方法なら、YES、NO、わからない、わかった、などの単純な意思を伝えるための合図として使うことは可能らしい。


 また、ジェスチャーはある程度通用するようだ。

 少なくとも、うなずくとYES、顔を横に振るとNOという程度は元の世界と共通のようだな。

 ほかの種族は全く別の習慣を持っている、という可能性もあるので、とりあえず人間にはジェスチャーは通用するらしい、というところか。


 文字のほうのエルフ語は、相手は読むこともできるのだろうか?

 これは巻物にダミー文字があったことからして、不可能ではなく、難しいと考えられる。

 特別な訓練した者が時間をかけても読めないならば、ダミー文字を仕掛ける必要がない。

 あの巻物を一般人がパッと見た時点でダミーでない部分がわかる程度の難易度なら、ダミーを仕掛けても意味がない。

 

 そして、こちらが『共通語』を聞くときには、妙な変換されて意味不明な言語になっているようだ。

 いや、逆か。共通語から日本語への自動翻訳が適用されないので、理解できない言語だと思うだけだな。

 これは聞き取ったまま再現することが可能なら、会話に使うことも不可能ではないようだ。

 エルフ語で書かれた共通語学習のための本、などという都合のいいものは、ないだろうな。おそらく。


 まあこんなところか、現時点の情報は。

 

 そろそろ寝ることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ