本探し再び
「・・・むにゅ。むー。
みーたん、はーたん、おあよー。」
「おっはよー!」
「おはよう。」
「み?
はーたん、なんか、うれしそう。
しごと、のひだよね?」
「いや、そーなんだけど、今日は1の日だから宝探しの日だったのを思い出した。」
「はやてちゃんはあのイベント大好きだもんね。私も好きだけど。」
「そりゃもちろん!
くじ引き大好き。タダならなおさら。」
「にゃー。本を探すとくじ引きできるんだったね。
わたしも、さがそーか?本のタイトルならたくさんおぼえてるよ。」
「うん、お願い~。
白ちゃんにはすごく期待してます。」
「お願いしていいかしら?
忙しかったら無理はしないでね。毎日いろいろすることあるみたいだし。」
「らー。
それじゃ、仕事にいくときわたしも連れていってね。
探す本、覚えないと探せないし。」
「もちろん。よろしくね。」
「らー。」
・・・・
「これが、今月の探す本のいちらん、だね。
それぞれ探す本は違うんだねー。」
「まあ早い者勝ちだと殺伐としたことになっちゃいそうだし、同じにしちゃうと場所の情報を教える商売とか始めちゃう人が出てきそうだからねー。
だから、それぞれ表は違うよ。」
「情報を共有して、教え合う場合もあるらしいわね。
他の人の探してる本の場所を知ってる場合もあるでしょうし。」
「なるほどー。」
「それじゃ私たちはそろそろ仕事に入るわね。
探してくれるのはうれしいけど、無理はしないでね。寝る時は仮眠室よ。」
「らー。いてらしゃー。」
・・・・
「やっとお昼休み―。さて探すぞー。」
「おかぁいー。
ほん、ばしょしらべておいたよ。」
「あっ、先月と同じ本棚配置図?
本の場所書いてくれたんだー。ありがとー。」
「らー。
でも、図書館だから読むために動かす人もいるだろうし、ずれてる物も多いと思う。
私が読んだ後にはここにもどした、わたしがみたときにはここにあった、っていうだけ。
読んだ日の記憶で書いたものも多いし。」
「うん、それはそうだよね。
宝探しのために図書館があるわけでもないんだから、読む人優先。それはしかたない。
・・・って、今回のメモすごいね。
棚の場所だけじゃなく、何段目の何冊目まで書いてあるの?」
「らー。こんかいたくさん、あつめるのにもたぶん時間かかるだろーから、くわしくかいてみた。」
「本の場所まで覚えてるんだ…。
えーっと、そーいえばさ。
白ちゃん、ここの本どのくらい読んだの?」
「み?
第一書庫の本は、手が届く範囲の高さの棚にあるのは全部読んだよ。
上のほうは魔法の手の魔法覚えてからだから、あんまり読んでない。
でもここの本は内容が重複してるのかなり多いから、内容で言うとほとんど読んだと言えるかも。」
「えっ、いくら読むの速いって言っても、速すぎない?
届く範囲の高さって言っても、一万冊どころじゃない数あるよね?
まだここに来てから2か月ちょっとだし、いろいろ他のこともしてるし。
どう考えても時間が足りないよね。」
「精神加速のまほー。
スキルがある程度以上高くなった時に実際の能力を超えた動きができないと計算が合わないことを帳尻合わせるために作られた救済措置?
それをまほーで再現してる。
簡単に言うと、ほかの人と争う状態じゃないときの作業効率を倍増させるって感じかな。
あと時間圧縮まほーとかいろいろ使うことで、普通に読むのの何十倍かの効率にはなる。
だから一日でたくさん読める。
空気椅子の魔法使えばどこでも座れて読めるし。」
「えっと。ちなみに、白ちゃんの「普通に読む」速さって、例のぱらぱらめくるだけのやつだよね?」
「らー。そうだよー。」
「あの速さの十倍以上か・・・。
たしかにそれなら、本棚単位で読むのも難しくはないかもね。」
「らー。かんたん。
でもねむいから、わたしはかみんしつにもどってねるね。おやすー。」
「おやすみー。ありがとねー。」
「おやすみなさい。ありがとう。」
「・・・この数、急がないと回収しきる前に時間切れとかあったりするかもね。」
「そうね、せっかく白ちゃんが書いてくれたものなんだから、残さず集めないとね。
はやてちゃん、行きましょう。」
「うん、全力で回収するぞー。」
ちなみに、本の重さはスキルで「司書術(図書運搬)」を覚えたため気にならなくなっています。本だけはたくさん運べます。