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はるまつり

「もうすぐ30日の帰還の刻(16時)。だから日暮れまで1刻(2時間)。

普段だったら明日から仕事だなーってガックリ来てるところですが!」


「ガックリ来てはいるわよね。」


「うん。たしかに。

まあそれはそれとして。

今日はお出かけしよう。」


「らー。おでかけー。

今日雪降っててさむいんだよね?」


「そーだね。雪降ってるしね。」


「むー。それなら、今日は冬用のわんぴーすにするね、ふくそー。」


「うん、その方がたぶんいいかな。

それじゃ準備できたら行こうか。」


「らー。ちょっとまっててね。」


・・・


「にゃー。じゅんびできたー。」


「えーっと、それ、冬用?

いつものと同じにしか見えないけど。」


「すこしだけ、ちがう。

寒さ対策の魔法が強めにかかってるから、同じ見た目でもあったかい。」


「そーなんだ。

・・・その服って、今一着しか持ってないはずだった気がするんだけど。

普通のと冬用があるってこと?」


「らー。実験用にまほーでふやした。

こーいうときに便利だね魔法は。」


「えーっと。たぶんだけど、そういう意味で便利なのは白ちゃんの魔法限定じゃない?

魔法で服を増やせたりしちゃうなら、服屋さん大変だよね。売れなくて。」


「普通の魔法使いにできないのは間違いないでしょうね。」


「み?

できないものなの?

複製コピーの魔法って、そんなに難しい種類の魔法じゃないはずなんだけど。」


「え、簡単な魔法なの?」


「らー。コピーするものにもよるけど。

ふつーの服なら、けっこー簡単に増やせるはず。」


「そーなんだ・・・。

って、白ちゃんの「簡単」は普通の魔法使いからすると「無理」っていう領域な気がするなぁ。たぶんだけど。」


「むー。簡単だと思うけどなぁ。」


「とりあえず、魔法の難しさを考える前に目的地まで行っておきましょう?

着いてから話せばいいんだし、せっかくだからいい場所取っておかなくちゃ。」


「あ、そーいえばそうだね。

よっし、白ちゃん、行くよー。」


「らー!」


・・・・


町はずれにある小高い丘のところまでやってきた。

雪がぱらぱらと降っている。

丘には敷物を敷いて食事会や宴会をしている団体がたくさんいるようだ・・・。


「ひと、いっぱいいるね。

でみせもある。」


「そーだねー。

今日はお祭りみたいなものだから。」


「そーなの?なんのおまつり?」


「それは見てのお楽しみー。

とりあえず適当になんか買って、どこかに座ろう?」


「らー!」


・・・・


丘を上る途中の斜面にレジャーシートを敷き、3人で腰を下ろした。

それぞれが出店で買った食べ物を広げて、食べ始める。


(もぐもぐ)

「このお好み焼きおいしい。店員さんの顔覚えておこうっと。」


「焼きソーセージもおいしいわ、今年は良い店多いみたいね。」


「にゃー。このカステラ、おいしい。おおきさもちょーどいいし。」


「・・・そろそろかな。

 白ちゃん、食べながらでいいから、上の方を見ててね。」


(もぐもぐ)

「むぐ?」


「あ、ごめん。そんなに急ぐことじゃないから、ゆっくり食べてからでも大丈夫だよ。」


(もぐもぐ、ごっくん)

「そろそろ?」


「うん。だから、上見てよう。」


「らー。何が始まるのかなー。」


丘に集まった人たちも食事会や宴会を一時中断して空を見上げている。

にわかに薄暗くなってきた空の下、はらはらと降る雪が少しずつ数を減らしていき、やがて降るのをやめる。

そして、そのかわりに、どこからともなく花びらが降り始める・・・・。


「これを見ると春が来たって感じするねー。」


「そうね。一年に一度しか見られない光景だから毎年見てるけど、何回見ても良いものね。」


「にゃー。おはなー。

 どこからふってるのかなー。」


「あ、喜んでくれてるみたいね。」


「そーだねー。誘ってよかったー。」


「・・・むー。あつい。」


「あ、そーいえば少しあったかくなるのか。春だし。」


「暑い、から、ぬぐ。」


「え、っと。

 白ちゃん?その服の下、なにも着てないわよね?」


「だいじょーぶ、ぱんつははいてる。最低限の防御は保てる。」


「いや、上も守りましょうね女の子なんだから。

 ・・・この表情からすると、冗談じゃなしに脱ぎだしちゃいそうね。」


「まわりに一枚脱いでる人はいっぱいいる。だからわたしがぬぐのもおかしいことじゃない。」


「いや、1枚しか着てない人は脱いでないからねっ!?

 みやっち、緊急事態。白ちゃんを背負って移動しよう、とりあえず人いないところまで。」


「そのほうがよさそうね。

 白ちゃん、とりあえず人がいないところまで背負って移動するので、もう少しだけ我慢してくださいね!」


「らー・・・。」


「お騒がせします!急病人通ります、道を開けてください~!」


・・・


「白ちゃん、落ち着いた?」


「らー。ふくのまほーもかけなおしたから、春の陽気にも耐えられるようになったー。

 ふたりとも、ごめんね。あつくてへんになってた。」


「うん、大丈夫ならいいのよ。」


「そーそー、まわりの人だって飲み会途中だったから覚えてないだろうし。気にしなくてだいじょーぶだよ。」


「にゃー。あいあとー。」


「そういえばさ。

 白ちゃんがいた国って、春でも寒いとかなの?」


「み?」


「いや、春になったらあったかくなるのってどこも一緒かと思ってたけど知らなかったみたいだし、考えてみれば春祭りも知らなかったみたいだしさ。

 冬と春が区別つかないよーな場所だったのかなって。」


「むー。

 ふゆとはるのあいだに、ちゅうかんくらいのさむさのひがある。

 だから、あんなにきゅうにあつくは、ならない。」


「へー。冬と春の間に中間の時期がある国もあるんだ~。

 服とか考えるの大変だねぇ。それだと。」


「そーでも、ない、かな?」

「冬と春の間に中間がある」、という発言は暑さについてのことです。

当然ですが、暦は普通に冬の次が春です。

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