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飲み会と質問タイム

 リザードマンはたぶんこれからも出てきません。

 リザードマンについての説明は読み飛ばして大丈夫です。

 「長い説明してるなー」で充分。

酒場「ドワーフの酒蔵」。

今日もウサギの耳が付いた店員さんが接客をしているようです。


「いらっしゃい、ドワーフの酒蔵へようこそ。

って、あれ?コビットくんじゃない。また来てくれたのね。

そっちのふたりははじめましてかな?コビットくんのお友達?」


「うん、そんな感じかな。」


「み?はじめましてー。

シロ、です。」


「はじめまして。マリアよ。」


「・・・えっと、二人の名前聞いちゃってからじゃ遅いかもしれないけど、偽名でいいかな?」


「らー。もちろんだいじょーぶ。

けもの耳の人に名前聞くのはよくない、しってます。」


「あれ?そうなんだ。知らなかった。

そういえば名前名乗ってるの聞いたことなかったね。

みんなにはバニーちゃんって呼ばれてたみたいだけど。」


「その呼び名もちょっとはずかしいんだけど、本名に比べたら全然軽いものだから気にはしないことにしてるわ。

みんなも好きな呼び名で呼んでね。

二人ともなんだか同類っぽい気配感じるし、仲良くしたいわ。」


「にゃー。よろしくー。」


「よろしく。同類っぽいと言われても共通点はあまりないと思うけど、仲良くしたいという点については同意するわ。」


「それじゃあらためてよろしく。」


「うん、よろしく。

3人とも、飲みに来てくれたということでいいのかな?

あいさつだけでも歓迎だけど。」


「のみにきたー。」


「うん、飲みに来たんだ。

できれば、奥の個室で飲みたいんだけど。」


「それじゃこっちにどうぞ。」


・・・


「ここが個室よ。一応特別席ってことになってるわ。

あ、コビットくんがいない間に物価が上がってしまって、ここのメニューも一品10チップになっちゃってるわ。

それと、ここの席からしか頼めない裏メニューがいろいろあるけど、それは値段が違うから注意してね。」


「物価上がってるのはほかの街も同じだったから大丈夫。

それじゃ、僕はエールと灼熱ソーセージお願い―。」


「私には赤ワインを中樽で。なるべく安い種類でお願いね。」


「はい、エールと灼熱ソーセージね。

ワインの中樽はそこに積んである樽と同じ大きさなんだけど、大丈夫かしら?間違ってないわよね?」


「あらそのくらいなの。それじゃ中樽2つお願い。」


「あっ、はい。

赤ワインを中樽2つね。

・・・ドワーフみたいな注文ね。」


「ワインならいくらでも飲める体質なの。

ところで、シロちゃんはなに注文する?」


「めずらしーお酒、ってなにかありますか?」


「珍しいお酒ね?

強いお酒なら火酒「ドワーフ殺し」、これは獣人族にとっては普通だけど、人間の街では珍しいらしいわ。

変わった味の物だと迷酒「無限迷宮」。

飲みやすいものなら「百花蜜の蜂蜜酒」があるわよ。」


「それじゃ「無限迷宮」をちいさいこっぷで、あとべくさしおんを小さい皿で、あとスープの辛くないのがあればおねがいします。

あと、「百花蜜の蜂蜜酒」をお土産に買っていきたい。」


「うーん、本当はここで飲んでいってもらいたいんだけど。

いいわ。持ち帰り用にビンに詰めてあげる。

でもちょっとだけよ。」


「にゃー。ありがとー。」


・・・


「注文した分そろったかな?それじゃごゆっくり。」


「ありがとう。」


「そんなわけで、まりあさんの回復祝いに飲み会をすることになりましたー。

さっそく、かんぱーい。」


「乾杯!」


「乾杯!

そういえば、シロちゃんもお酒は飲めるんだったわね。

外見からは想像もできないけど。」


「らー。のめるよー。

細かい説明は省略するけど、わたしのばあい、体質的な理由でお酒のほーが安全な感じになってる。

だから、始めてはいった店で飲み物頼むときはお酒にすることにしてる。

まあ外見がこれだから出してもらえないことのほーがおおいけどね。」


「ああ、ちっちゃいですもんねシロちゃんの外見は。」


「らー。ちいさい。

たぶんおとなにみえるよーになるまで短くても何十年かはかかるみたいだし。

だから、こういう店は良いなぁ。」


「ここはドワーフの名前が付いている店だから外見が多少不自然でも気にしないで接客してくれる、ってさっきのお姉さんが言ってました。」


「らー。そうだね。

ドワーフは子供でもお酒飲むから、ドワーフの酒場は子供でもお酒注文できる。」


「えっ、もしかして人間の子供でもお酒注文できちゃうんですか?

 同類っぽい、って言ってたから人間族以外の気配を感じた時だけだと思ってました。」


「らー。できるよ。

この世界、お酒を子供が飲めないのは正義と契約の神の信徒だけ。

ドワーフはほとんどが酒と宴の神の信徒だからね。ドワーフの酒場は酒と宴の神の領域。だから、子供がお酒飲んでも問題なし。

まあドワーフの場合、昔かなりとんでもない環境に住んでいた時代に、その環境に対応するために薬酒を飲むようになったのが始まりだから、ドワーフに対しての「子供にお酒を飲ませるな」っていうことばは「子供を殺せ」っていうくらいの意味にとられる可能性もある。

だから生きていくならお酒を飲むのは当然のこと、っていう感じ。

いまでは薬じゃないお酒のほーが多いらしいけどね。」


「あら、単に酒好きな種族ってわけじゃなかったのね。」


「今ではそれで間違ってないよ。きれいな水を輸送する方法もないわけじゃないんだし。

でも場所によっては飲める水買うよりおいしいお酒のほうが安かったりもするし、ドワーフは酔っぱらって体おかしくなるとかはほとんどないらしいから、実用的な意味も残ってるかも。

だいたいのことには、それっぽい理由がある。

理由をつけてもよくわからない物もあるけど。」


「そうなんですかー。

あ、忘れてた。

とりあえず、質問料の銀貨渡しておきます。足りなくなったら言ってください。」


「らー。ありがとー。

それじゃ、しつもんあったらどーぞ。」


「それでは質問します。

シロちゃんが今回移動してくるのに使った方法って、人間でも同じことをすることは可能ですか?」


「むー。

人間にもいろいろいるだろーけど、今回の方法はたぶんできる人間はいないんじゃないかな?

この方法は、転移門を作るだけなら魔法書とかで再現することも不可能ではないと思うけど、門を維持するのは普通の人間の魔力じゃ無理だと思う。

たぶん無理にやろーとすると空間のゆがみに巻きこまれておしまいだね。

つぎどーぞ。」


「「何かを知るとき、失ってしまうもの」ってなんだかわかりますか?大切なものらしいんですが。」


「「何か」の内容によると思う。

どんなものでも知ったとき必ず失うこと、なら、その知ったものについて「知らないこと」かな。

知らないという状態から知っている状態に変化することを「知る」と表現するわけだから、知ったことについて「知らないという状態」を失う。

この予想が正しいとすれば、「知らないということが大切」、つまり、へたに予備知識があると、間違った答えに誘導されてしまうようななにかなんだろうね。たぶん。

次どーぞ。」


「おすすめのティムモンスターを教えてください。」


「むー。

好きなのを選べばいいんじゃないかな?

実用性っていう意味で聞いてるなら、「必要な最低限の能力」と「許容できる最大限の欠点」を持つモンスターを選ぶのがいいね。

モンスターは、能力や性質をおおざっぱに言うと「特化型」「バランス型」のどちらかに分けられる。

特化型は、その能力が役に立つ場面ではものすごく強いけど、役に立たない場面ではすごく弱い。

バランス型は、平均的にそれなりに強いけど、特化型の得意な分野ではかなわない。

総合的な強さの点数みたいなのがあって、それをどう配分してるかって感じかな。

だから、「使う目的が狭い範囲で決まっている」なら「目的に合った能力の特化型」が強い。

「いろんな場面でそれなりに使えるように」なら「バランス型」がいいかも。

例えば氷のからくり人形アイスゴーレムを雪原で使えば強いけど、火山で使えば弱くなっちゃう。

でも、もしずっとものすごく寒いところで生活するつもりだったら、ずっと強い状態で使えるから便利。

レベルが高いモンスターなら全部が強くてどこでも得意ってのがいるかもしれないけど、そーいうのはだいたい代償コストが多くなってるはず。

どっちかというともともとが弱いモンスターを鍛え上げたほうが代償コストを安くできるみたいだから、お気に入りでこの子を鍛えたいって思うようなのがおすすめ、とも言えるかも?

おおざっぱにどの種族が有利っていうのだと、妖精とか機械系モンスターとかは、契約コストのわりに能力高いらしいよ。」


「そーいえば、まほーとか教えてほしいって言ってた人は、なんて言ってたの?」


「あ、はい。

剣の技を教えてほしいと言っていた人のほうは、魔法剣には興味がないと言っていました。

魔法を教えてほしいと言ってた人は、見れば改良点がわかるかもしれないということなら一度見てほしい、と言っていました。」


「み?別の人だったんだ、それ。

それなら、今度どこかで魔法見せてもらえれば、文法がおかしいところあるかどーかは教えられるよ。

おかしかった場合は、どの程度おかしいかによって対応変わる。ふつーの魔法の文法がどの程度の物なのかもわかってないけど。

できればその魔法を覚えた時の魔導書とか魔法書とかがあると調べやすくなる。

試しうちしていいような場所あるかな?」


「それならカジノ内に戦闘の練習ができるシミュレータがあります。

魔法にも対応していたはずです。

あ、でもカジノの町は例の4人組のようなのがまたいる恐れが高いので、他の場所を探しておきます。」


「み?そんなのあったんだね。

カジノで大丈夫だよ。カジノの中で襲われるようなら、ほかの場所でも防げないだろうし。

今度、いつ相手の人がひまか聞いておいてね。」


「はい、連絡しておきます。」


「それじゃつぎどーぞ。」


「リザードマンとの交渉のやり方を知っていたら教えてください。」


「むー。

逆の立場で考えればわかると思うけど、かなりの無茶言ってるよ。それ。

「人間族との交渉のやり方を教えてください。」って言ってるようなもの。

立場、性格、相手の持つ情報などによって、結果は違うよね。

だから最低限のマナーくらいしかわからない。それでもいいなら話す。」


「あ、はい。全く情報がない状態なので、最低限の情報でも助かります。おねがいします。」


「それじゃ、話すね。

まず、リザードマンっていう呼び方は、人間同士で話題にするときいう程度ならいいけど、リザードマンに向かって言ったらだめ。

呼び方いろいろあるけど、安全なのは相手に名乗ってもらった後に名前で呼ぶことかな。

その場合、人間が名前のあとに付ける「サン」とか「チャン」とか、そーいうのはつけないほうが良い。

名前で止めることによって相手の強さをたたえる意味になる、だったかな?つけない方がていねいな意味になる感じ。

「勇猛なる」とか「偉大なる」とかはつけてもいいけど、相手の強さに応じてつけなくちゃいけないから少し難しい。

名前だけで呼ぶのが一番安全かも。

あと、リザードマンは「俺様 強い お前 強いか」とかいう感じで話してくることがあるけど、しゃべり方真似したらだめ。

リザードマンがリザードマンの話し方で話している、っていうだけで人間の話し方が通じないわけじゃないから、人間の話し方で話すのがいい。

あと、リザードマンが人間に話してるときはだいたいていねいに話してくれてる。だから、人間ことばでていねいに話す。

お前、とか、貴様、とかはリザードマンの言葉ではすごくていねいな表現。人間の言葉で解釈すると変な意味らしいけど。

リザードマンの外見的特徴について評価するような発言するのはだめ。褒めるのもだめ。特に鱗について言うのは危険。

もし相手に聞かれた場合は答えるしかないけど、なるべく見た目以外の表現が安全かな。

それから、人間に慣れている相手ならいいけど、人間を見慣れていないリザードマンからすると、人間の姿は人間にとってのゾンビとかそーいうモンスターと同じくらいに不気味らしいね。

彼らの「鱗」は人間にとっての「肌」「服」「武器」「鎧」みたいな意味がある。人間を見慣れていないリザードマンが、鱗がないイキモノを見た時どのような反応を見せるかは、想像にお任せ。

あと、交渉の時は相手のほうが立場が上って考えて話すといい。

うろこが生えてないってだけで、リザードマンからすれば格下の存在って認識される。

初対面の時に戦闘にならないですめば、会話自体はかなり成り立ちやすい相手なはず。

でも、交渉相手として認められるかは別問題。

お前は鱗はないけど~だな、という感じに、鱗がないって言われた後に否定形の文章が続けば、かなり認められた感じ。最低限の交渉は可能になってるはず。

まあそこまでが長いだろうけど。

相手から交渉持ち掛けてきたときは普通に話して大丈夫。

だいたいこんな感じかな。

しつもんきくのおわり。眠くなる前に食べないとだから、いそいでたべる。」


「ありがとうございました。

そうですね、料理は冷める前に食べたほうがおいしいですし。」


「あ、お話し終わり?

 ごめんね、話聞かないで飲んでたわ。

 おいしいわね、ここのワイン、安いし。」


「にゃー。安いのは良いね。

 わたしもあとでわいんたのもーかなー。」


「樽で頼んであるからコップだけ頼めば大丈夫よ。

 あ。でも高いの頼んだ方が味は良いのかしら?」


・・・


(ごくごく)

「無限迷宮、おもしろいお酒だなぁ。

 精神系の状態異常になるためのお酒っていうかんじかな。

 わたしにはきかないけど、きくなら状態異常からの治療の訓練に使えるかも。

 でも、状態異常がランダムだから訓練に使うにはちょっと危ないかな?」


「ここのワインは安いわりにおいしいわね。

 回復量は質にはあんまり影響しないみたいだけれど。」


「むー。

 ワインは、ものすごい安いのになると、コショウとかいっぱい入れて腐りにくくしようとしてるのもあるよ。

 そーいうのだと、人間でも慣れてないと飲めないくらいらしいから、たぶん回復しないんじゃないかな?」


「あら、そんなものもあるのね。

 安いもので、って頼んでも普通の出てきてたから、普通に飲めるのが当たり前だと思ってたわ。」


「ふつーの酒場では出さないだろうね。

 食料とかお酒が手に入りにくい場所とか、スラム街とかでなら普通に出るかもだけど。

 この酒場ならたぶん、飲みたいからぜひお願いします、っていえば注文できると思うよ。」


「えっと、体力減るかもしれないみたいだからやめておくわ。」


「らー。そのほうがいいとおもうー。

 おいしいけど体力減る、とかだったら大変だしね。」

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