あいさつの意味について考える
なぜ2人に対するあいさつだけ変えてないのかの理由説明。
仮眠室。
エルフが、白紙の本を開き、目を閉じて右手で紙面に手を当てている。
見開き2ページ分に、始めはうっすらと文字が現れ、文字の色はだんだん濃くなっていく。
充分に濃くなったところで、次のページを開き、同じく手を当てて文字を記していく…。
「ただいまー、って、(作業中だったか。静かにしてよう)」
「(そうみたいね。)」
目を開き、ゆっくりと本を閉じる。
「にゃー。これで5冊目完成ー。」
「あ、終わったみたいね。お疲れさま。」
「そしてただいま~。」
「み?二人とも帰ってきてたんだ、気づかなかったー。
みーたん、はーたん、おかぁいー。」
「えっと、白ちゃん、最近気になってたことあるんだけど、聞いて良いかな?」
「らー。どうぞー。」
「白ちゃんって、こっちの言葉勉強してだんだん上手になってきてるよね。
でも、なぜかあいさつだけ前のままだよね。
それがなんでなのかなーと少し気になった。
あ、別にダメってわけじゃないんだけど、ちょっと気になっただけ。」
「むー。
こっちの言葉、あいさつの意味が分からないから、直してない感じ?」
「あいさつの意味?どういう意味かしら?」
「むー。
たとえばこっちの言葉の「おはよう」って言う言葉が、朝のあいさつ、っていうことはわかる。本にものってたし、みんな朝しか使わないし。
でも、その「おはよう」っていう言葉の意味が、私が調べたはんいではみつかってない。」
「意味って、あいさつに意味なんてあるの?
朝だよ、とか、起きたよ、ってくらいなんじゃない?」
「私が住んでた国の、たぶん似たような言葉だと、「あなた、きょう、はやい、おきている、ていねいにいう、かくにんする」っていういみのことば、だったかな。
それをみじかくして、「はやい」っていういみのことばだけのこってる。
もとの言葉のいみがわかって使うなら問題ないけど、いみもわからず使うなら、ほんとうにただ「はやい」っていってるだけ、になってしまう。」
「あいさつが「はやい」「はやい」になっちゃうわけか。
たしかにそれは変な感じするかな。」
「ちなみに、「おかえり」だとどうなるのかしら?」
「むー。
私が住んでた国の言葉だと、もとのことばは「かえる、しなさい」にていねいにする言葉が付いた感じ。
だから家で使うと「この家に帰ってお休みください」くらいのいみかな?
みじかくしたことばは「帰れ」かな。」
「帰れ、になっちゃうのね・・・。」
「それだったらたしかに元の意味知っててあえて使ってるならいいけど知らないで使ってたらただの悪口になっちゃうよね…」
「らー。そんなかんじ。
だから、どーでもいい相手には使えるけど、みーたんとはーたんにはつかいたくない。」
「あ、でも、白ちゃんのあいさつだって、発音は少しちがうけど、私たちのあいさつをもとにしてるなら同じ言葉使ってるんじゃない?
そのへんはだいじょぶなの?」
「むー。
ことばしらないときに、音として聞き取って真似しよーとして真似しきれなかったことば。
だから、声真似する鳥が、人の言葉を真似したよーなことだから、ことばのいみが関係することはない、だからだいじょぶ、なはず?」
「そーなんだ。
って、あたしらはわざわざそんな言葉の元の意味が悪い意味だから悪いこと言われた―、とか言ったりしないし思うこともないから気にしないで大丈夫だよ?」
「むー。
そーなんだけど、なんかこうはっきりしないまま使いたくない感じ。
でも、いまのいいかたがいやだったらいつでもなおす、そのときはいってね。」
「うーん、それなら今のままでいいんじゃないかな?
別に意味は通じてるわけだし、なんかなごむ感じな発音だし。」
「そうね、今のままのあいさつで全然問題ないわよ。」
「にゃー。それじゃ、あいさつはそのままにするね。」
「そいえば、私とみやっちのこと呼ぶときに「はーたん」「みーたん」になるのも同じような理由かな?」
「らー。だいたいおなじ。
なまえのあとにつける「チャン」とか「サン」とかのいみがわからない。はつおんもさいげんしにくい。
ひとによっていみがかわることばは、むずかしい。」
「あー、たしかに、ちゃんとかさんとかの意味はって聞かれても難しいかな。
方言とかもあるし、意味が違うと言えば違う気もする。言い方の雰囲気でなんとなーく、ってのは知らない言葉だと難しいだろうしねぇ。
まあそっちも今まで通りでいいんじゃないかな?
雰囲気で、良い感じの意味で読んでくれてるのはちゃんとわかってるからね。」
「にゃー。それじゃ、よびかたも、このままにするね。」
おはよう=「今日はお早く起きていらっしゃいますね」の略
おかえり=「おかえりなさいませ」の略
という解釈してます。
ゲーム内での人間語の「おはよう」という言葉は、白ちゃんからすると「全然意味は分からないけど、朝のあいさつだろうな、というところは想像がついた、そして発音の再現はできる」程度です。