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交渉成立

目覚めの時の4小刻前(9時40分)、第777小図書館、正門前。

小人とドワーフが、小声で話している・・・。


「そろそろ予定の時間の30分前ですね。」


「そーやねー。

あんま早すぎても例の4人から情報が伝わって待ち伏せ、とかにならんとも言いきれんし、このくらいがええんやないかなー。

ほんじゃ、例の部屋の伏兵探し、始めよかー。」


「ふくへー、いなかったから、だいじょぶー。」


「うわっ!

あ、シロちゃんでしたか、おはようございます。」


「おわ!

・・・なんでこんな近くにいるんや?

ついさっき周り見た時は見つからんかったのに。」


「わかりにくいよーにする装備、使ってたからだね。

こびっとさんと、もうひとりはあったことないよね。

ゆー。はじめましてー。人間風の呼び方で名乗ると「白」、です。」


「あ、すんません挨拶遅れて。

タヌキっていいますー。まあ偽名やけど。よろしくー。

見てのとーり、ドワーフ女ですー。」


「にゃー。偽名は、魔法対策には、良い方法。

しってるとおもうけど、エルフおんなですー。」


「あ、そうなん?教えてくれてありがとなー。

って、敬語使わんとまずい感じだったかな?」


「あんまりていねいでも、わかりにくいから、普通で良い。

普段使ってるくらいの、しゃべり方のほーが、わかりやすいかな。」


「それでいいならありがたいわー。

敬語は苦手なんや。」


「えっと。

それで、わたしをよぶときのじょーけんをきめるんだったよね。」


「あー。その話やった。

酒場に場所とってあるから、そこで話したらいいんやないかな?」


「らー。そうするー。」


「あ、はい。そうしましょう。」


酒場の店員と短い会話をした後、酒場の奥の個室に案内される・・・。


「んじゃ、ごゆっくりー。

ちょっと料理は高めやけど、音漏れはないし、良い席やで。」


「み?

たぬきさんは、まざらないの?」


「あー。

真面目な交渉とかはあんま得意じゃないから、帰るわ。

ないしょにするとかできない性格やからな。

ま、そんなわけで、またどっかであったらよろしくなー。」


「らー。またどこかでー。」


「タヌキさん、ありがとうございました。」


・・・

注文した料理がテーブルに並んでいる。


(ぽりぽり)

「ここのべくさしおんも、けっこーおいしいなぁ。

 まじめなみせがおおくて、いいまちだなー。」


「えっと、交渉とかいう話の前に、お詫びさせてください。」


「み?

おわび、することなにかあった?」


「図書館入口の4人組のことです。僕が流した情報のせいで彼らに襲われてしまったんです。」


「むー。

あのときの情報は、コビットさんが入手した情報、どー使うかは自由。

口止めしてたわけでもないし。

情報流す前に確認とってたし。

そもそも、私が隠せてなかったのが原因だし。

そんなわけで、例の四人組のことについては、気にしなくていー。」


「でも、私たちと同じ団体、って言っても意思が統一されてるわけではありませんが。

その団体から危険なことをした者が出てきたわけですし、その原因が私が書いてしまった情報なわけですから・・・。」


「同じ団体に属してたら責任取らなくちゃいけないんだったら、わたしはどこに居る時、何をしている時でも「殺されても自業自得」という程度の責任はあると思う。アレと血縁って言う時点で。

だから、そーいう理屈が成り立つんだったら、「あの4人がやった程度のことは甘い、もっとやれ」、と言わなくちゃいけない。

そんなわけで、あの4人については責任を取るとかそーいう考えは「しなくていい」、じゃなくて「されたら困る」かな。まず時間の無駄だし。」


「あれ、って何者なんですか、とは聞かない方がよさそうですね。」


「らー。しないほうがいいね。

かかわらないで済んでる間は知ろうとしないほうが良い、っていう程度のイキモノであることはたしか。

イキモノかどうか、ってところがさだかではないんだけど。ここ数年姿見てないし。

そのはなしはやめて、こーしょー、しましょ。

じょーけんきめるー。」


「えっと。

それでは、まず、条件を決める前に、最初にいくつかお聞きしていいですか?」


「どーぞー。

答えられるものなら答えるかも。」


「それでは、エルフ族のかたは、変装などして、正体を隠すことについて、どう思いますか?」


「み?

「エルフ族は」っていわれても答えられない。

エルフは、わりとすきかってにうごくらしい。とくに、人間がいるよーな所に出てくるエルフはかなりの変わり者だから、「エルフ族」とまとめられるような性格してないとおもう。

とりあえず「わたしなら、どーとも思わない」ってこたえておくよ。わたしじしんも、ひつようならかくれるし、ひつようなければかくれないし。」


「それでは、シロちゃんは、変装して種族を隠すこと、または転移の出現場所を別のところに変えることができますか?」


「むー。

出口を新しく作れば、場所変えることはできる。

変装は、特定の条件を持った人以外に見つかりにくい、っていうくらいの魔法ならいくつかあるけど、完全に隠れるのは無理。

でも、この姿が目立つのも、変なのに狙われる可能性があるのもそーてーずみ。

そのへんを考えるのは私がやるべきことだから、考えてもらわなくてもいい。

あどばいざー、ということは、質問に答えてほしい、というかいしゃくで良いんだよね?」


「あ、はい。質問に答えてほしいということで間違ってません。」


「らー。そこは認識が一致。確認。

つぎに、前提条件を言っておくね。

まずひとつめ。この協力関係は、互いの行動や目的が対立しない間だけ成立する。どっちかがこなくなったらそれまでってことだね。

ふたつめ、私への質問内容が「敵対しそうな内容」だったとしても、答えなければ済むだけだからそれは敵対的行動とは判断しない。

みっつめ、ただし、「全く同じ内容の質問を何度も繰り返す」など、質問に答えることを想定していないような質問した場合、質問に答える意味がないと判断するかもしれない。

よっつめ、私は今回の協力関係よりも、同居人もしくは飼い主のほうを優先する。あっちの考えしだいでは、突然来なくなったりすることもあるかも。

いつつめ。私は、コビットさんが所属する団体については興味はない。なんとかいう場所にたどり着けるかについても興味はない。

むっつめ。知らない、答えられない、という答えをする場合もあるけど、その時も質問1回と数える。

ななつめ、私は眠くなった時点で帰る。

そんなかんじかな。

それをかんがえたうえで、私に支払う報酬は?

どんな条件で、何を支払うのか。」


「「現金」、「本」、あとはアイテムと交換できる「チケット」などを考えていました。

あ、本の材料は植物ですけど、大丈夫だったら、ですが。」


「むー。

など、じゃなくて、なにをどのくらいはらうのか、きめて。

最初の条件を考えるのは、私の仕事じゃない。

交渉もちかける側がまず決めないと、話が進まない。

本はだいじょぶだよ。よむのすきだから。」


「えっと・・・。

まず、来てもらった時点で、私たちが集めた本をお渡しします。本の数は不安定になると思いますが、最低10冊を準備します。

それとは別に、質問1つするごとに銀貨10枚、またはそれに相当する物でお支払いします。

この条件でいかかでしょうか?」


「それに相当する物、の基準がわからない。それは「私がそれに相当すると認めた」場合、ってことかな?」


「あ、はい。

シロちゃんが銀貨に価値を感じていない可能性もある、って仲間にアドバイス貰ったので。」


「むー。

すこしだけ、わかってる、かな。

一枚あると、ごはんがたくさん、でてくる。

だから、銀貨が報酬ってのは、間違ってない。金額は間違ってるけど。」


「やっぱり少なかったですか?」


「ぎゃくかな。

質問するたび、っていうじょーけんなら、ぜんぶの質問に「知らない」って答えるのが一番簡単になってしまう。

「知らないっていう答えを認めない」って言うのも間違ってるしね。

こちらが正直に答えていると仮定すると、自分の知識を探る「手間」を使ってること、自分の手持ちにないという「情報」を明かしてること。どちらも知っていると答える時と大差ない。

知っていると答えるのとこちらの消費する物が変わらない時点で、報酬は同じくあるべき。

だから、質問するたびに10枚、という条件は、金額が多すぎると思うよ。

基本的には質問1つ銀貨1枚またはそれに相当する物、ただし知らないという答え、答えられないという答えでも金額は同じ。

 ただし場合によっては「いつもの金額ではこたえられない」って言う答えのこともあるかもしれない。

物価が上がった時とかはまた条件決めなおす、でどうかな?

これなら10個のうち1個当たれば損はしないってことになるよね?1問10枚払うつもりだったんだから。」


「あ、はい、その条件ならありがたいです、こちらが考えてた条件より良くなってますし。」


「それじゃそんなかんじでー。

こんかいはさーびすで、ねむくなるまでならきいてもいいよ。おためしー。」


「え、いいんですか?」


「らー。どうぞー。

次回頼む必要があるかどうかも、ためしてみないとわからないでしょ?

ききたいならはやめにね。ねむくなるまえに。」


「あ、その前に、今回持ってきた本をお渡ししますね。今回は少しだけしか持ってきていませんが・・・。」


「ありがとー。かりておきますー。

 こんどきたときかえすね。いっかいよめばじゅうぶんだから。

 それじゃ、しつもんどーぞ。」


「それでは、『洞窟など、モンスターの巣窟となっているところを突破しないとたどり着けない町が存在しますか、または存在する可能性がありますか。』」


「み?

そのききかただと、モンスターの巣窟になってない場所のほうが少ないくらいだし、当然「たくさん存在する」っていう答えになるね。

モンスターの巣窟となっている洞窟、に限定しても「たくさん存在する」だね。

質問のしかたがてきせつではないようなきがするよ。

つぎのしつもんどーぞ。」


「はい、次の質問します。

『シロちゃんの考え方について理解するために役に立つ本などはありませんか?』」


「み?

性格は、他のエルフともたぶん違うと思うし、私の性格について書いてある本は無いかな。

私と交渉するときに役に立つかもしれない本、という条件なら、「よいこのあくましょうかんじゅつ きそちしきへん」かな?

あの本は、あんまり友好的でない場合の、人間以外の種族との交渉の基本を勉強するという点ではかなり便利だと思う。こっちで入手できるかどうかは知らないけど。

ちょっと題名が危なそうな感じだからねー。

まあそれに限らず、普通の交渉術の本はけっこー役に立つんじゃないかな。

おわり、つぎのしつもんどーぞー。」


「えっと、『強い魔法、強い剣の技などで教えてもいいものがあれば教えてほしい』というのはどうでしょう?

質問じゃないような気もしますが・・・。」


「むー。たしかにしつもんけいしきじゃないのだね。

「強い魔法、強い剣の技などで教えてもいいものがあるか?」という質問だとして回答。

簡単に答えるなら、「現時点では無い。」が答え。

説明を追加した場合だと、

本人の身体能力、魔力適性、現在使える技などがわからないと、「強い」の基準がわからないし、どこまでの技が使いこなせるかわからない。

私の基準で強い魔法はあるけど、教えられない技と間違いなく使いこなせない技しかない。

一応魔力文字は読めるし呪文もある程度聞き取れるから、実際呪文聞いた場合は文法おかしいところがあればなおせるかも。

そんなわけで、「現時点では無い。理由は、教えてもいいものがあるか以前の問題として、教えられるものがあるかどうかを判断するための情報が足りない」が答え、かな。

それ以上の情報が欲しい場合は本人が会いに来て交渉しないとできない。

あと、私は剣は使わないから、魔法剣とかならそれに使ってる魔法について判断できるけど、普通の剣術についてはかなり単純な技までしか知らない。教えるほどの情報は無い。

次どうぞー。」


「シロちゃんが住んでいる町の位置情報、周りの町の情報などを教えてください」


「むー。

それは「飼い主の安全に影響があるかもしれないから、答えられない」だね。

この前の4人が使った技くらいなら大丈夫だろうけど、どんな技持ってる人がいるかわからないわけだし。

 つぎどーぞ。」


「次回はいつ会えますか?」


「むー。

どーしよか。

とりあえず、出口の魔法陣作って渡しておくよ。

来ても大丈夫な時は、たいらなところ、かべでもゆかでもいいから魔法陣の紙を開いておいてね。

無理な時はたたんでおいてくれればわかる。

あと、ほかの人に魔法陣部分を見せたり、渡したりすると消えるよーに仕掛けするから気を付けて。

『魔法陣作成』

はい、これ目印にして次回は来る。じかんは囀りの刻(6時)から目覚めの刻(10時)くらい。日付はわからない。

それじゃ、そろそろ眠いから帰る。」


「あ、はい。ありがとうございました。また今度お待ちしてます!」


「らー。またこんどー。」

『詠唱省略・転移門』


店を出て、空中に魔法陣を作り、魔法陣を通って転移した・・・。


「むー。

 はつおん、なおしても、ぜんぜんきづかれもしないんだなぁ。すごくつかれるわりに、あんまりたっせーかんがない。

 ちゃんとしゃべれてるかのかくにんにはつかえないか・・・。」

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