まだ解けていませんでした。
早朝。仮眠室で二人が目を覚ますのを確認し、本を閉じて挨拶をする。
「みーたん、はーたん、おあよー。」
「あ、白ちゃん、おはよー。」
「白ちゃん、おはよう。」
「あたしたちは食堂でご飯食べてから仕事行ってくるけど、白ちゃんは朝ごはんどうする?」
「むー。
まだあいてむぼっくすにいろいろのこってたから、それたべることにするー。」
「そっかー。
それじゃ、行ってくるねー。」
「行ってきますね。」
「らー。いてらしゃー。」
・・・
「さて。
コビットさんとの待ち合わせは今日だったな。」
「不意打ちは過保護の指輪のダメージ無効化能力と羽衣のダメージ軽減である程度までは防げる、はず。
属性攻撃ならほかの装備で軽減できるから多少は防ぎやすくなる、と。
だが、一撃までは大丈夫だが次からは危ない、という程度に認識しておくのが無難か。」
「装備よし、睡眠も充分。
そろそろ行くとしよう。」
『詠唱省略・転移門』
空中に魔法陣を描き、魔法陣を扉に変え、扉をゆっくりと押し開く。
扉を抜けた先の部屋には、鎖で手足と首を拘束された4人組が座り込んでいる・・・。
4人を避けるように部屋の端のほうを歩いて、出口のほうに歩いていく…
「ちょっと待って!」
「み?
れいのよにんのなかのひとりか。なにかよう?」
「先週はごめんなさい。本当に反省してるわ。」
「はんせーなんかしなくてもいい。
あなたたちがいましなくちゃいけないのは、そのくさりをとくこと。」
「がんばって解こうとしても解けなかったのよ。
解き方のヒントだけでも教えてもらえないかしら?」
「がんばればたぶんとける、とはいったけど、いつとけるとはいってない。
いまのちょうしでいけば、あとじゅうさんにちくらいでとけるんじゃないかな。」
「俺たちにできることならなんでも協力するから、もうちょっと役に立つヒントをくれ!」
「せんしゅう、「くさりをほどくこととひきかえに」きょうりょくさせよーとしてた、よね。
それなのに、おなじしくみのくさりをとけないってことは、じぶんができないことをやるみたいなこといって、うそついてたってことになるよね?
そんなあいてにたいして、とりひきをもちかけるひつようもかんじないし、とりひきにのるひつようもない。
とりひきあいてとしてにんしきするにはしんようがたりない。
だから、わたしは、『くさりのときかたは』おしえない。」
「えっと・・。
たしかに、解き方はわからなかったわ。
でも、初めて使う魔法だったし、わからないのは仕方ないでしょ?」
「そのわからないものを、こうしょうのざいりょうにつかうのがまちがってる、よね。
できるかどーかわからないものなら、せーこーほーしゅうのかたちでけいやくしないと、じっこーできないばあいはうらぎりになる。
これいじょうながばなしするほどひまじゃないから、わたしはいくね。
まあがんばってといてもいいし、とかなくてもいーよ。わたしにはかんけいないから。それじゃ。」
ゆっくりと扉を開け、建物の外に出る・・・。
白ちゃんの現在の装備
涼風のワンピース
涼風の羽衣・本装束
ゼライムぱんつ
過保護の指輪
極光のチョーカー
流水のブレスレット
大地のアンクレット
事前詠唱済み魔法
偽典・灼熱のドラゴンブレス
魔力障壁