材料仕入れ続き
「あ、あの店武器屋みたいだね。
良いの無いか聞いてみたらどうかな?」
「らー。
いってくるー。」
「いってらっしゃーい。
あたしらは近くの食べ物の屋台見てるね。」
「にゃー。
わたしのぶんも、すこしかっておいてね。」
「りょーかい。」
二本の長剣が描いてある看板を飾っている屋台を見つけ、近づいた。
奥には剣がたくさん並んでいる。
赤い髪の人間族の青年が、退屈そうに座っている。
客は寄り付いていないが、客を呼び込もうとする様子もない・・・。
「ぶきやのおにいさん、こんにちはー。」
「よう、こんにちは。
なんか用か?
まあこんな店に用があるやつもいねぇと思うが。」
「にゃー。まよいのないぜんひていですね。」
「なんだ、そのセリフ言うってことは、お前さん獣人族か?
獣人族ならうちで売ってる鉄くずなんかより素手で戦った方がよっぽど強いと思うぜ。」
「その、てつくずを、かいたいです。
ざいりょー、てつ、つかう。」
「材料ってことは、鍛冶にでも手を出すのか?
やめとけ。鉱石も掘りに行けねぇような実力じゃ、材料をムダにするのがおちだ。」
「ほりにはいけないけど、このくらいのものなら、つくれるよ?」
魔銀の指輪を出して見せた。
「・・・この指輪を、お前さんが作ったって言うのか?」
「らー。つくった。
そういってもしんじられないかもしれないけど、これをもってるじてんで、「つくりかたをしってる」か「つくれるひとをしってる」か、のかくりつがたかいことはしょうめいできるよね?」
「まあな。
この領域のものがほとんど出回ってないのは確かだし、そんなの持ってる時点でお前さんかもしくは仲間がかなりの実力者なのは証明できるな。」
「それじゃ、てつうってくれる?」
「ああ。わかった。
武器としての性能は度外視でいいんだな?材料としてなら。」
「らー。おれそうなのでも、おれたのでもだいじょぶ。」
「それなら、鉄の長剣の失敗作2本で銀貨1枚、折れたのなら1本大銅貨3枚だな。
念のため言っておくが、そのまま転売しようとしても無駄だからな。素人でもわかるくらいの駄作だ。
ほら、この程度だからな。見ればすぐわかる。」
見せられた剣は、見るからにゆがみがあり、切れ味も悪そうだ…。
「らー。てんばいはするつもりないからだいじょぶ。
それじゃ、しっぱいさくぜんぶ、でいくら?」
「長剣が24本、折れた長剣が5本。13枚と大銅貨5だ。
もし全部買うなら端数削って13でいい。」
「それじゃ、ぎんかじゅーさんまい。」
(じゃらじゃら)
「毎度。
配達頼んどくか?街の中なら大銅貨2でいけるぞ。」
「さっきのねびきぶんでまにあうね。
あ、そのまえに、ぎんとかみすりるのざいりょうはうってる?」
「銀は使う予定があるから手放せない。
ミスリル鉱石なら少しだけあるが、高いぜ?」
「いくらくらい?」
「ギルド買取価格で銀貨12枚だったから、売るなら銀貨100枚ってとこだな。
そこにおいてある木箱一杯ぶんだ。質は正直言ってよくわからん。」
「ちょっとだけたかめなかんじかな?
げんぶつみないとわからないけど。
ちかくにいってみていい?」
「ああ。いいぜ。」
「ありがとー。
・・・むー。
じゅんどはよくわからないけど、たしかにみすりるこうせきだねー。
ぎんかはちじゅーまいくらいにならない?」
「買う気か?
本当に買うなら90までなら下げるぜ。」
「むー。
はちじゅーご。」
「88。」
「はちじゅーなな。」
「・・・それでいい。
しかし、87枚、本当に払えるのか?」
「はらえるよー。」
(じゃらじゃら)
「これでちょーど、だよね。」
「・・・毎度。
って、銀貨100枚も持ち歩いてたのか?」
「らー。
ちょーどひゃくまいだったから、なくなった。」
「まあ俺は他言するつもりはないから大丈夫だとは思うが・・・。」
「それじゃ、いまからないしょね。」
「おう。客の情報は他言しないぜ。」
二人が紙袋を抱えて帰ってきた…
「やっほー。買ってきたよー。いろいろ。」
「白ちゃん、ただいま。」
「おかぁいー。」
「あ、これが買うって言ってた石?
何かの材料に使うのかな?」
「らー。いいかんじのいし、かえた。」
「へー。
見分けつかないなぁ。良い石なんだー。」
「そーだよー。
あと、てつもかえた。」
「おー。これかな?剣がいっぱい。」
「らー。それー。
そいえば、はいたつ、ってどこでたのめばいいのかな?」
「仕事に使ってる配達屋さんいるから呼ぼうか。
重い物でも運んでくれるから大丈夫だよ。」
「にゃー。それじゃそのはいたつやさんにしよー。」
買ったミスリル鉱石は、総重量100Kg~200Kg程度、見た目はただの石にしか見えません。純度は謎です。