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交渉(敵対的)

エルフの手足を拘束したことを確認し、皮鎧と青いマントを身に付けた青髪短髪の少年が喜ぶ。


「よし、決まったぜ!」


ヒビが入った石のようなものを投げ捨てながら、ビキニのような形の鎧を付けた赤髪長髪の女性が答えて言う。


「このために全財産使って結晶買ったんだから、効かなかったら困るわよ。でも、これで安心ね。」


さらに、仮面をかぶった長身の青年がささやくように言う。


「まだ安心するには早いよ。肝心の「交渉」はこれからだからね。お嬢さんには失礼をおわびしなくてはいけないね。」


金属鎧を身に付けた小柄な男が、つぶやく。


「詫びて済む段階は、とうに踏み越えたと思うが。交渉が始まってすらいないということについては同意する。」


「むー。くさりが、わたしのてあしにまきついている。

 ぶつりだめーじはないか。じゅんすいまほうならこんなものかな。

 じゅんすいにこうそくもくてきなわざなんだね。」

(くいくい)

「くさりは、かんぜんにまりょくでこうせいされてるかんじかな。

 こーいうわざ、けっこーべんりかもしれないなぁ。

 ちょっとけんきゅうしてみよーかな。」


「ちょっと、こっちを見なさいよ少しは!

 この状況でよく無視できるわね。」


「み?

 わたしにはなしかけてなかったよね。

 それなのに、みてほしかったという。

 ろしゅつしゅみのへんたいか。ふくそうもそれっぽいし。」


「へ、変態?」


「ねんれいにけたのこどもをよにんでしばる。

 これがへんたいでなかったら、なんなの?」


「年齢2ケタ、って、年齢2ケタが子供なら人間全部子供になっちまうだろ?」


「にんげんのかんかくではそーなのかもしれないけど。

 そっちのかんかくにあわせなくちゃならないりゆうはない。」


「変態なわけじゃなくて、理由があってやってるのよ!

 ちゃかすのはやめてもらえるかしら?」


「炎の同胞よ。

 無駄な会話をしている余裕はないと思うが。

 この会話にかかった時間分も、こっちの「負債」は増え続けている。」


「きづいたか。ひょうかをすこしあげないといけないかな。」


「その鎖をほどいてほしかったら、私たちが『中央都市』に行く方法を見つけなさい!」


「せんしゅうのこびとさんよりは、ひつようなものをすこしだけわかってる、いいこうしょう。

 ただし、もくてきとていじするじょうけんがばらばらでこうしょうのいみがない。

 かいじょしてもらうひつよう、ないし。」


「ずっと縛られたままでいいっていうのか?」


「まず、げんじてんでは、そのばしょのなまえのじてんでわからない、っていったのはしってるのかな?げんじてんで、うそをつくほどのかちもないから、うそはついてないよ。

 そして、このじょーたいでは、しらべることもできない。

 ということは、こうそくかいじょしないと、しらべられない。

 そして、こうそくかいじょされたじてんで、わたしをてつだわせることができるこんきょがなくなる。

 だから、どっちにしても、しらべることはできない。」


「誓約があるでしょ、誓約結べば裏切れないはずよ。」


「どのだんかいのせーやくをぜんていにしてるのかわからないけど。

 じょうけんまとめるのむりとおもう。

 ほとんどのせーやくなら、わたしはやぶってももんだいないし。

 やぶってもんだいありそーなのは、せいやくのむすびかたがむずかしいから、ここじゃできないし。」


「・・・ちょっと待って、内容考えるから。」


「ざんねん、じかんぎれ。」


光の鎖が、一本また一本と、光を失い崩れ落ちていく・・・。


「よそうより、すこしはやかったかな。」


「ど、どうやってあの技から抜け出したっていうの?」


「いわないよ?

 こんどはへんたいさんたちにじつえんしてもらうんだから。

 『異空間の宝箱』」


空間をゆがませ、その歪んだ空間から1本の容器を取り出す。

銀色に光っているはずの容器からは、おぞましい気配が発せられている。

その容器が取り出された直後、4人の人間たちは、心が乱され、得体のしれない恐怖で体の震えが止まらなくなり、叫び声さえあげられず、自分の力では震えを止めることもそれ以外の動きをすることもできなくなり、目を開けていても目に映るものは幻覚だけ。やがて抵抗する考えさえ浮かばなくなり、崩れ落ちるように座り込む。


「むー。

 ちょっとききめつよすぎたかな。

 まあいいか。うごけなそーだから、いまのうちじゅんびしておこう。

 ちょっとちがうわざだったらわたしのほーがしんでたわけだし、てかげんはすこしだけでいいよね。

 てきたいてきなこうしょうほうをえらんだわけだから、しっぱいしたときのはんげきくらいはかくごのうえだとはんだんする。」


4人の両手首、両足首、そして首に、そっと指を触れていく・・・。


「まーきんぐかんりょー。」


「そして、ろくぼうせいがたにまりょくけっしょうおいて、っと。

 ちょっぴりおおめにまりょくをこめて。」

『六曜捕縛獄鎖陣』『封魔結界呪』


エルフが手を開いた場所に、空間のゆがみが現れる。

ゆがみから4本の鎖が現れ、それぞれが途中で5本に分岐し、4人の両手首、両足首、首を拘束する・・・。


「「くさりをほどく」っていってたことばがでまかせじゃなければ、なんにちかがんばればほどけるだろーね。まほうのしくみじたいはだいたいおなじだから。

 しばらくたったらにおいもぬけてめがさめるだろーから、そしたらがんばってだっしゅつ、してもいいししなくてもいいよ。

 それじゃ、さよなら。」


エルフは容器を拾い、歪んだ空間の中に投げて、ゆっくりと歩きだす・・・。

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