成長の代償
夜明け前。帝国中央図書館、仮眠室。
みやとはやてが目を覚ますと、部屋の隅で何かが転がっている・・・。
「おはよう。
あれ? そこで転がってるのって、白ちゃんよね?」
(ごろごろ)
「み?
おあよー・・・。」
「おはよー。
なぜか、毛布にくるまってころがってるね。新しい遊びかな?
そのわりには声に元気がない感じだけど。」
「あそび、ちがう。
はずかしい、がまん、もくてき、ごろごろ。」
「恥ずかしい、って何かあったのかしら?」
(ごろごろごろ)
「むー。
いいたい、ない。
でも、しりたい、こたえる、は、ある。」
「あ、言いたくないことなら言わなくてもだいじょぶ。
あたしら二人は食事行ってから仕事行かなくちゃだし、ゆっくり立ち直ればいいんでないかな?」
「そうね。仕事が終わったら戻ってくるけど、それまで5刻(10時間)はあるから、ゆっくりしてて大丈夫よ。」
「あいあとー。それまで、なおる、する。」
「それじゃ、行ってきまーす。」
「行ってきます。
あ、お腹空いたら食堂とかでなんとかできるわよね?」
「らー。だいじょぶ。
たべもの、あいてむぼっくす、なか、ある。
それじゃ、ごろごろ、つづき、してる。
いてらしゃー。」
二人が部屋を出た後、また毛布にくるまって転がり始める。
「むー。
ぜんかいのじっけんでは、あのほうほうでのすきるのくんれんがこうかがあるのは、かくにんできた。
しこうかいすうをきょくたんにふやすことにより、せいさんじにさいていげんあたえられる『けいけんてんすう?』を、たくさんかせぐことができる、ってことかな。
そして、すきるがあるていどきたえられると、あるていどのじつりょくが、『とうぜんできるかのように』すりこまれるかんじ。ほんによるちしきではない、じっせんけいけんみたいなものまで、むりやりかきこまれるかんじ?
だから、すきるれべるだけあげれば、さいていげんのじつりょくは、しぜんとついてくるかんじ、かな。」
転がり続ける。
「じょういなくすりをつくったりしないで、ちからわざなじっけんですきるをきたえたから、じっけんまえ、ぜんかいてさぎょうでつくったときのかんせいひんのひんしつがきおくにはっきりのこっていた。
あのていどの、くすりを、『まあまあいいの、できた』とかいってたのもきおくにはっきりと。
きょうせいすりこみでおぼえたちしきでも、あのじてんのつくりかたがまちがいだらけだったことは、よくわかる。
むー。
このままでは、しぼうげんいんがはずかしさ、とかいうあたらしいことに、なるかも。」
転がるのをやめ、大の字になって寝る。
「むー。このはずかしいきおくを、のりこえるには。
ちゃんとしたてさぎょうで、いいくすりを、つくってきおくをうわがき、がいいかな?」
「まず、どーぐをいままでよりいいのにかえて、ざいりょーもそろえて、ちゃんとつくってみる。
あと、てさぎょーでつくったくすりのなかの、ひんしつわるめなものから、きょーかいにのーひんしてみてひんしつのぜったいてきなひょうかをしる、のがいいかな。はずかしいけど。
ひんしつのきじゅんが、いまだにじぶんきじゅんだしなぁ。ふつーのひとが、どーいうひょうかではんだんしてるのか、きじゅんがわかってない。」
「いいざいりょー、うってたりするかなぁ。
まあとりあえず、いってみよーかな。
でも、ころがるので、たいりょくつかいきった。もちょっとやすんでから。」