しりあす、もしくはしりある。
「こないとおもう。」
「え?」
「み?
なにかびっくりすることあった?」
「来なくなっちゃうの?」
「らー。こなくなる、とおもう。
いまのところ、こないほうがいいみたいだし。」
「えっと、来ないほうが良いっていう理由、聞いてもいいですか?」
「りゆーはひみつ。
ちょっとだけしりあーなりゆうだから、きかれてもいえない。」
「その理由って、なにか対策すればなんとかなるものなのかしら?」
「できるかも、だけど、できたとしても、ここにくるりゆうはない。
なんか、ふたりとも、コンポンテキなところで、にんしき、ちがってる?
いまのじてんで、まりあさんのさっきのしつもんのもんだいは、かいけつしてるよね?いまはたべつづけてないわけだし。
だから、はなしはおわってる。べつにほうこくきくひつようはない。たぶん、またつぎのもんだいがおきててはなしがながくなるだけだろーし。」
「たしかに、解決してるわ。それに、次には間違いなく何かの問題は起きてると思うのも確かね。」
「それと、こびっとさんには、「ぐうぜんあったら、いどうするあいだならはなしきくかも」っていっただけだから。
このまちにわたしがこなければたぶんあうこともないだろうけど、わたしはここにくるってやくそくしたわけでもないし、もんだいはない、はず。
まず、こびっとさんがこのまちでまってるかもしれないってことをわたしがしったじてんで、「ぐーぜん」とははんだんできない。」
「・・・たしかに、僕が待ってる時点で、偶然にはなりませんね。」
「だから、いまのじてんでは、なんのいみがあって、わたしのよていをきくのか、かんしょうしようとするのか、わたしにはりかいできてない。
わたしのこうどうにかんしょうしようとするなら、さきにやらなくちゃいけないことがあるよね?」
「えっと・・・。」
「わからないならいい。そろそろねむくなるじかんだから、かえる。さよなら。
たぶんにどとあわないとおもうけど。」
「あ、ちょっと待って!」
「らー。
『ちょっと』はまてないけど「ちょっと」ならまつ。」
「すこしだけ考えさせてもらえませんか?
僕が「先にやらきゃいけないこと」について。」
「み?
かんがえることはじゆう。
わたしはかんけーないから、ひとりでいちにちでもひゃくねんでもかんがえてたらいいんじゃないかな?」
「いや、そうじゃなくて!
明日以降でもう一度だけ、僕たちの話を聞いてもらえませんか?」
「らー。いいよ。
でも、えるふあいてに、きかんしていしないと、ひゃくねんごとかいわれてももんくいえないとおもうよ?
えるふって、『すこし』でひゃくねん、『ちょっと』でじゅうねんっていうかんかくのもちぬしもいるらしーし。
それじゃ、ろくにちごの、あさ、さえずりのときのにしょうこくあと(6時10分)、このまちのとしょかんのまえで。どちらかにようじがあってごうりゅうできなかったばあいは、としょかんうけつけにめもをのこしてれんらくとる。それでいい?」
「はい、ありがとうございます!」
「それじゃ、またろくにちごに。
またあれつかうから、はなれててね。」
『詠唱省略・転移門』
扉を開けるような動きをした後、姿を消した・・・。
「掲示板で相談、かな・・。」
「私も相談に参加させてもらうわね。エルフちゃんにはちゃんとこれからの生活のめどついてから改めてお礼を言いたいし。」
・・・
転移の魔法陣を通り、床にいくつもの魔法陣が描かれた大部屋に出た。
床の魔法陣のいくつかが輝き始める。
「むー。やっぱりか。
なんかへんなかんじはしてたけど。
やっぱりこっちのとしょかんのまほうじんしゅうふくしといてよかった。」
自分の体を見ると、胸のあたりがかすかに光っているように感じた。
「むー。こきゅうきかんかろっこつかそのあたりみたいだね。だめーじうけてるのは。」
「『あいてむぼっくす』。
つくったぽーしょんの、いまのところいちばんいいの、これかな?」
空間からポーションを出し、ゆっくりと1本飲み干す。
胸の光が、ゆっくりと消えていく・・・。
「あのときのせきのだめーじ、けっこうおおきかったんだなぁ。
うっかりしぬとこだった。あぶないあぶない。」