幸運の町5
カジノ敷地内、「ゲームセンター」。
相変わらず、ディーラー役のゴーレムが多数配置されているが、ゲームで遊んでいる客は一人も見当たらない。
ポーカー台の陰から、老婆が現れた。
「こんな場所にまた来たのかい、お嬢ちゃん。物好きだねぇ。
まあのんびりしていくといいさ。」
「らー。のんびり、あそぶ、します。」
・・・
カードの束を持ったゴーレムをみつけ、その前に立ってみる。
「これが、せんかいやってもあたらないっていうかーどあてかな?」
「よぉ、そこのお嬢ちゃん。
トランプから俺が引くカードを当てれば、豪華な賞品が手に入るぜ。
気が向いたら挑戦してくれよな。」
「こえのひびきはこのまえのかめらさんとおなじか。つかいまわしだね。
げーむないようは・・・あった。これか。」
『セカンド・ディール』
「トランプから俺が一枚選ぶ。
俺の選ぶカードを事前に予想して見事当てればお前さんの勝ちだ。
事前にシャッフルするかどうかは自由だ。」
「・・・なるほど。
これは、せんかいやってもあたらないね。」
「げーむのなまえのじてんで、ふつうにかたせるつもりがない、わかる。
ふつうにかてないってことは、ふつうじゃなければかてるのかも?
もしかしたら、ここのげーむって、ぜんぶ、まともじゃないやりかたがせいかいなのかもしれない。
かめらのげーむも、ふつうにやったらぜったいむりそうなかんじだったし。むずかしいやつは。
すこし、かんがえてみよかな。」
「むー。
もしかしたらできるかも、っていうほうほうはおもいついた。
でも、そろそろねむくなりそーなよかんがするから、いまのうちにかえろう。」
ゲームセンターから外に出て、周囲に人がいないことを確認する。
「にゃー。
ここなら、まきこまなくてすみそう。」
『詠唱省略・転移門』
空中に描かれた扉を通り、第127辺境図書館へ転移する。
「ねむくなるまで、すこしここのほんよむことにしよう。
でも、そろそろねむくなりそーだから、ひゃくさつくらいしかよめないかも。」