幸運の町2
カジノ敷地内『ゲームセンター』。
どんなゲームがあるのか、順番に見ながら歩いている・・・。
「さて、どんなげーむがあるかなーと。」
「よぉ、そこのお嬢ちゃん。
カメラの腕前に自信はあるかい?
撮影ゲームで俺と勝負して勝てれば、賞品が手に入るぜ。
気が向いたら挑戦してくれよな。」
「みっ!?
びっくりした。
だれかがちかくをとおるとしゃべるよーになってるだけか。」
大きなカウボーイハットをかぶった青年の姿をしたゴーレムが、腰の「カメラベルト」に取り付けたカメラに時々素早い動きで手をかけている。
ガンマンの早撃ちのような動き、この場合は早撮りとでもいうのだろうか?
「なんでてっぽーじゃなくてかめらなんだろ、これ。」
「よぉ、そこのお嬢ちゃん。
カメラの腕前に自信はあるかい?
撮影ゲームで俺と勝負して勝てれば、賞品が手に入るぜ。
気が向いたら挑戦してくれよな。」
「かめら、って、こっちのせかいにもあるんだなぁ。
あ、えすえふみたいなかくうのはなしのどうぐってかのうせいもあるかな?
あっちのれーざーがんみたいなかんじで。」
「よぉ、そこのお嬢ちゃん。
カメラの腕前に自信はあるかい?
撮影ゲームで俺と勝負して勝てれば、賞品が手に入るぜ。
気が向いたら挑戦してくれよな。」
「ちかくにいるあいだこのせりふくりかえすだけ、みたい。
せっかくだから、さいしょはこれあそんでみよー。」
「げーむせつめい、あった。」
『スナイパーカメラマン』
「俺の影を撮影することができれば、俺の体力が減っていく。
ノルマのところまで体力を減らせたらお前さんの勝ち。ノルマまで行かないうちに時間切れになればお前さんの負けだ。
ダメージが大きくなる撮影法はいろいろあるから、探してみてくれ。
何も考えずに撮影するだけじゃ、勝利は遠いぜ?」
「なるほどー。
それじゃ、いちちっぷいれて、すたーと。」
銅貨を一枚入れると、青年ゴーレムはカウボーイハットを指で押し上げ、にやりと笑った。
「俺に勝負を挑むやつが来るのは久しぶりだな。
まあ手加減してやるから安心しな。」
「難易度を選んでくれ。
成功報酬は難易度が高いほうが良いものになるぜ。」
難易度 EASY ノルマ100ダメージ以上 制限時間180
難易度 NORMAL ノルマ300ダメージ以上 制限時間300
難易度 HARD ノルマ1000ダメージ以上 制限時間420
難易度 VERYHARD ノルマ10000ダメージ以上 制限時間900
難易度 MANIAC ノルマ100000ダメージ以上 制限時間1800
「んーっと、さいしょだからいーじー。」
「次はカメラの種類を選んでくれ。
カメラは、撮影間隔、撮影威力などの特徴が違うものがいろいろあるぜ。
撮影威力って言葉は初耳だろうが、威力が高ければ一撃で俺の体力を大きく削れるってわけだ。」
目の前に5台のカメラが現れる。
「カメラはいまのところ5種類あるぜ。
クラシックカメラは、両手で持って、自分でシャッターを押す、骨董品みてぇなカメラだな。威力は高いが両手で持たないとまともに撮れないようになってる。
軽量カメラは、シャッターを自分で押すのはそのままだが、片手で持っても撮影できるカメラだ。姿勢が多少崩れても、威力が落ちにくい。
連写カメラは、1枚当たりの威力は低いが、その名の通り連続で撮影できる。
視線連動カメラは、見てるところを撮影する、って思ってもらえれば良い。細かい照準合わせとかしなくても当たるから、楽と言えば楽だな。威力は低めだ。
自動撮影カメラは、完全オート撮影だ。ゲームとしての意味がねぇと思うんだが、とりあえず顔らしきものを見つければ勝手に撮影してくれる。威力は特に低いな。」
「むー。
しせんれんどうと、じどうさつえいはこーげきりょくひくそうだし、くらしっくはおもそーだから、けいりょうかれんしゃかなー。
とりあえずけいりょうかめらにしておこう。」
「最後はフィルム数だな。
5枚ごとにリロード、100枚の使い切り、無限から選べる。無限にすると威力は大幅に下がるぜ。」
「んーと。
じかんのたんいがびょうだとすれば、さんぷんでひゃくまいはなくならないだろーから、ひゃくまいあればじゅうぶんだね。
ひゃくまいのつかいきり。」
「それじゃ始めるぜ。準備は良いな?」
「らー。いつでもどーぞー。」
青年ゴーレムが5メートルくらい後ろに下がった後、白から2メートルくらい離れた場所の天井から、スクリーンが下りてくる。
スクリーンには、1階に2つ、2階に2つ、計4つの大きな窓がある建物が描かれている。
「3、2、1、スタート!」
右上の窓の中央に、カウボーイハットをかぶった人の影が現れている。
「いた。」
影をカメラで撮影すると、「10」という表示が出て、その後影は右側に移動し、窓の範囲から姿を消した。
次に、左下の窓に、影が現れた。
その影を撮影すると、「11」という表示と「2HIT」という表示が現れ、影は左側に動いて窓の範囲から姿を消した。。
「れんぞくでとると、こーげきりょくあがるのかな?
あ、しっぱい。」
間違って他の窓を撮影してしまったが、なぜか「3」という表示と「3HIT」の表示が現れた。
「むー。
はじっこにでもうつっていればめいちゅうあつかい、だけどまんなかのほーがだめーじおおいかんじ、かな。
そして、けっこーめいちゅうはんいはひろい、と。」
そのまま撮影を続ける。
「しゃしんとられるごとにいどうするみたいだけど、いどうするほうこうはきまってるみたいだから、おいうちもできるかな。うまくやれば。
いーじーなだけに、うごきはかなりおそいみたいだし。」
「でも、すばやくうごこうとすると、うごきにくいな。
やっぱりしんたいのうりょくがかなりひくいんだなぁ、このからだは。かめらおもいし。
あ、じかんぎれ。」
スクリーンには「168ダメージ/ノルマ100」「ノルマクリア」の表示がされている。
「なかなかやるな、と言いたいところだが、俺が本気を出したらこの100万倍は強いからな。
覚悟があるなら、次はノーマルに挑戦してみな。」
ゲーム台の下の賞品取り出し口に、飴が一粒出てきている。
「しょうひん、あめひとつぶか。
まぁいちばんかんたんなのだし、このくらいかなー。
つぎはのーまるやってみよ。むりそうだけど。」
(ぱく)
「あ、けっこーおいしい。」
・・・
「むー。
とりあえず、なんいどあがると、まどのかずがふえる、まとまでとおくなる、てきのうごきはやくなる、っていうかんじかな?
のーまるまでならなんかいかやればくりあできそーだけど、そのうえはあきらかにむりそう。」
「そろそろつかれたし、かえろーかな。」
ゲームセンターから出て、図書館の方向へ歩いていく・・・。
「あれ、もしかして、きみ、エルフ族!?」
「み?」