子供冒険者協会(2)
子供冒険者協会から出て、裏庭へ行こうとする途中で立ち止まった。
「あ、そーいえば、れいのいれものは、まだれんしゅーちゅーだった。
なにか、いれもの、かってこよー。」
「・・・これで、いいかな。
すこっぷと、おそろい。」
ピンク色の、軽いバケツを銅貨5枚で購入。
「じゅんび、できた。
こんどこそ、いってくる。」
駄菓子屋の裏にまわると、草でいっぱいになった裏庭があった。
手前は丈が低い草が多いが、奥の方には丈が高い草も生えていて、全体がどの程度の広さなのか見通すのも難しいほどになっている・・。
「まず、おおきいほうで、やってみる、かな。
よいしょ、っと。」
大きいほうのスコップを地面に軽く刺し、足をかけて腕の力と体重を使いだんだん深く掘っていく。
「これで、あとはつちとくさをわければ・・・。」
小さいスコップを使い、草を丁寧により分ける。
草をバケツに入れ、土は元の場所に固める。
「うん、なんとか、できそう、かな。
つづきつづき。」
土と草を掘り、草を選り分け、土を戻す。
ゆっくりとだが確実に、草を取り除いた・・・。
「ふー。つかれた。
わかってたけど、ほんとに、たいりょくないなわたし。」
「えっと、たしか、おみせのわきにあるすいどう?じゃないか、わきみずかな?
あれでてとあしをあらうといい、だったはず。
ついでにくさもあらっておこう。」
「・・・これでよし。
ほーこくほーこく。」
駄菓子屋の地下に移動し、協会の受付カウンターまで移動。
「すこしだけだけど、ほってきました。」
「お疲れさま。
えっと。今回の評価だけど。
掘った量は少なめだけど、作業も丁寧だったし、片付けもしてるし、手と足をちゃんと洗ってたのも良いことね。
全体的には、かなり良い評価になるわ。ハンコを多めに押しておくわね。」
「み?
これだけしか、ほってない、ですよ?」
「うーんとね。
正直言っちゃっていいのかしら。
最初のほうの階級で受けられる依頼はね、練習用って言ったらいいかな、依頼の仕組みを覚えてもらうためのものなの。
たとえば、草を取ってくる、とかだったら、きれいな形でとってきた方が評価が高い、とか。
お店に入るときに手とか足が汚れてたら迷惑だから評価が下がる、とかね。
だから、しくみをわかってるなーって感じの行動をとってると評価が高くなるわ。
もちろん、仕事の量をたくさんする、っていうのも評価を高くするにはいい方法だけどね。
練習用だから報酬は出ないものが多いけど、まじめにやって仕組みを覚えれば、一人前になった時にいっぱい稼げるようになるはずよ。
上の店のお菓子なんかカゴいっぱいに買えちゃうかもなんだから。」
「おおー。
かごいっぱい、いいなぁ。
わたしは、そんなにかっても、たべれないけど。
こどものゆめ、ですね。」
「そうよ~。
こう言っておくと、まじめにやってくれる子が増えるのよね。」
「なるほどー。
べんきょーになります。
それじゃ、またこんどきます。ありがとでした。」
「まいどありがと。また来てね~。」
1階の駄菓子屋に移動。
「良いなぁこの店、あたしたちでもお金持ちな気分になれるよ。」
「そうね。銅貨1枚でいくつか買える小さいお菓子もあるから、銀貨1枚もあればお金持ちな気分になれそうね。」
「あ、白ちゃん来た。おつかれさま~。」
「白ちゃん、お疲れさま。
何かいいもの取れた?」
「ざっそーばっかりだけど、けっこーとれた。
これで、つぎのけーかくが、できるかも。」
「おおー。
なにかの計画がすすんでたわけだ。」
「らー。
いろいろかんがえて、るのです。」