特訓中(2)
ふたりが特訓を続けている間、ほかの作業を試してみる。
大きなボールを持つように両手を構え、そのまま腕を伸ばす。
両手の間に魔力を多量に放出。
その魔力のごく一部を使い、空中に呪文を描き出す。
『魔力を束ね、魔力を捏ねて、私だけの箱を作ろう。
誰にも見えず、誰にも触れられない、とても大きな箱を作ろう。』
『異空間の宝箱』
放出された魔力は一瞬で消え去り、空間にゆがみが現れる。
ゆがみを安定させるために、さらに多量の魔力を注ぎ込む。
・・・ゆがみは『ゆがんだまま安定』し、別の世界に一定の空間を確保することになった。
その代償として、魔力を常に一定量吸い上げられることになる。
「にゃー。
なんとか、できた、かな。」
「白ちゃん?
なんだか、異様な気配を感じたんだけど。」
「あたしも、なんかすごいことが起きてるような気分になった。
なんかすごいことやってた?」
「すごいかどうかはわからないけど。
このりゅっく、おもくてもってあるくのたいへんだから、おきばしょつくった。
こーやって、ぎゅーっと、する。」
魔力で手をグローブのように覆い、空間を掴む。
空間をこじ開け、異空間の収納スペースの入り口を作る…。
「こんなかんじ、ものおくばしょ。
おもくないし、べんり。」
「どう考えてもすごいことな気がする・・・。」
「そうね。
魔力認識が全然できていない私たちでこんな気配を感じたってことは、そういうのわかる人ならどうなるのかしら、って感じね。」
「たぶんだけど、とんでもない量の魔力使ってるよね。その技。」
「み?
よく、わからない。
そーいうなら、すこし、せつやくできないかやってみる。」
白ちゃんは「アイテムボックス」のようなものが使えるようになりました。力技ですが。