9日目(3)
露店が並んでいる広場。
リアルの世界の露店を見たことがあるものなら、店の数や人の数に対して広場の土地が極端に広いことに気付くかもしれない。
そしてその後、全身鎧を着た者、大きな翼をもつ者などが歩いているのを見て、なるほど、と思うかもしれない。
「はーたん、くし、ごめんね。」
「いや、ほんっとーに、気にしなくていいからね。何度も言ってるけど。
あのくしは正真正銘の安物。ある程度使うと壊れるよーにできてるの。
だから気にしないで買い物買い物。
白ちゃん、行くよ~。」
「らー。おかいもの~。」
「さて。
何見ようか。」
「そうね。どうしましょうか。
端から見ながら歩いて様子を見ているのはどう?」
「そうだね、そーしよう。」
「鎧~。見ても仕方ないね。」
「そうね。私たちが戦うときは図書館の中だろうから鎧は着けられないわよね。」
「食事も、まだ早いね。食べてきたばっかりだし。」
「らー。おなか、へって、ない。」
「ペットモンスター。完全に関係ないね。」
「そうね。私たち住所不定だから飼えないわね。」
「うーむ。
意外と、見つからないもんだねぇ。面白い店。」
「み?あれ、なんだろう。」
「ん?なんか面白いもの見つけた?」
「てくび、つける、いし?」
「天然石のブレスレットだね~。」
「いらっしゃい。
おしゃれ用から戦闘用までいろいろそろってるよ~。
お嬢ちゃんみたいな細い腕にも合うように作れるから、気に入ったものあったら買っていってくれよな。」
「むー。
どれがいいかな。
みーたん、はーたん、どのくらい、おおきさ?」
「え?
あたしたちのサイズ?」
「らー。
あうの、かう。」
「買ってくれるの?
ありがとね~。」
「・・・ひょっとして、例の魔法陣のお金、なのかしら?」
「それと、ちがう。
べつの、おかね。」
「安心したわ。
それなら買ってもらっちゃおうかな。
ありがとう。」
「らー。
ふたりに、あうの、やすいの、いくら?」
「一番安いのだと10Cだよ。大銅貨1枚、普通の銅貨なら10枚だね。」
「それじゃ、これで、たくさん。」
(ちゃりん)
「えっ、銀貨2枚だと、20個買えるけど・・・。
(お二人さん、これこのまま売っちゃっていいの?
このお嬢ちゃんのお小遣いにしては多すぎると思うんだけど。)」
「(ええ。彼女がお手伝いでまっとうに貯めたお金なので、大丈夫です。
たくさん買うぶん、少しおまけしてあげてくださいね。)」
「(了解。まいどあり。)
それじゃ、この2人に合うやつを10個づつと、お嬢ちゃんに合うのも5個付けよう。おまけだ。」
「あいあとー。」
「まいど。また来てくれよな。」
「ひっこしするからむりとおもうー。」
「・・・そーいえば、なんでそんなにいっぱい買ったの?」
「まだ、ひみつ。
うまくいく、か、わからない。」