8日目夕方
「よう、フォルスちゃん、待ってたぜ。」
「み?おまたせ?
しょちょー、なまえ、おぼえた。」
「ありがとな。
(・・・俺って、所長が名前だと思われてないか?)
ちょっと例の2人から聞いた話を再確認したいんだが。」
「らー。かくにん、する。」
(説明中)
「・・・そんなわけで、あさっての、あさ?」
「・・・なるほど。『108刻後』が明後日の早朝、な。」
「らー。」
「それだったら、例のふたりを明日休みにしとくから、おみやげでも買いに行ってみたらどうだ?」
「み?いいの?」
「ああ。
エルフが自国に帰るっていうなら、良い気分で帰るかいやな気分で帰るかでこっちの運命が決まるって言っても過言じゃないからな。
おみやげの資金もこっちで出す。」
「おもいだした。
これ、うれる?」
(ころころ)
「ん?
なんだ、なにかの鉱石か?」
「なんだろう?」
「いや、なんだろうと言われても、自分でわからんのか?」
「つくった、できた。」
「俺にもわからんから鑑定出して調べてもらうってことでいいか?」
「らー。おねがい。」
・・・・
「鑑定結果出たぞ。」
「どう?」
「正直言うとだな、お前さんがエルフだって話、半信半疑だった。」
「にゃー。しんよう、されてた。」
「でもな。
お前さんは、間違いなくエルフだ。
正確に言うと、『もしエルフじゃなかったとしても、少なくともエルフと同じ程度に考えないと危ない存在』、だな。」
「み?」
「一応聞くが、これと同じもの、1年で何個作れる?」
「むー。いちねん、むずかしい。」
「ん?一年以上かかるのか?
まあこの品質のものなら当然かもしれんが。」
「さっき、じゅう、つくった。
いちにち、ふつーに、さんじゅう?」
「・・・ちなみに、普通じゃなく作った場合は?」
「まほーじん、つかう、ひゃく?」
「エルフはドラゴンより怖い。っていう言い伝えがあるんだが。
その意味、今ようやく理解した気がするよ。」
「どらごん、いるんだ。」
「山奥とかにいるらしいぞ。めったに出てこないけどな。
まあそれはおいといてだな。
アレは超高品質の魔力結晶だそうだ。1個3千点越えてたらしい。」
「にゃー。
ちょっぴり、かいふく?」
「ああ、お前さんにとってはちょっぴりになるのか。
でも、普通の魔導士なら余裕で全回復だからな。
まあこの品質を回復に使うやつもいないだろうが。
で、売れるかどうかだが。
まあかなりの値段はつくだろうな。
どこに売るかによってだいぶ違ってくるが。」
「まず、うちの図書館でも買い取りはできる。安いけどな。
冒険者ギルドでも、まあ身分証作る手間はあるが、うちと同じくらいの金額で買取はしてもらえる。
まあうちが冒険者ギルドの買取り額真似てる、ともいうがな。
あと、オークションやってる商人組合に持ち込んでやれば、少なくともうちの買取りの何倍かにはなるはずだ。」
「どのくらい?」
「ああ、具体的な金額だとな・・・
ここでの買取が、現時点で1個30Sくらいだな。
あんまり供給増えると相場下がってくるだろうから、必ずこの値段とは保証できんが。
で、商人組合に売ったら、正確にはわからんが少なくとも200以上にはなると思うぞ。今の相場ならな。」
「それじゃ、ここで、じゅっこ、おねがい。」
「いいのか?」
「すぐ、できるし。」
「それじゃ、銀貨300枚用意させるから、少しだけ待っててな。」
「らー。まってる。」
・・・
「お待たせさん。銀貨300枚だ。確認頼む。」
「らー。
それと、だいに、ななし、いる?」
「ん?
第二書庫の七詩のことか?」
「らー。あれに、まほーじん、たのまれた。
つくったけど、りょーきん、まだ。」
「・・・詳しく聞かせてくれるか?
ここの職員に契約ごまかすやつがいたとは思いたくないんだが、こっちで確認して場合によってはきっちり締め上げる。」
(説明中)
「そんなわけで、じゅーまんてんくらい?」
「・・・いろいろとやらかしてたんだな。
教育不足だった。すまん。」
「これから、こない、だいじょぶ。」
「うーむ。
まあ一応の建前なんだが、職員が借金持ちってのは避けたいんだよな。」
「み?そーなの?」
「そーなんだ。一応な。
それでだ。
そのぶんの取り立ての権利、うちに売ってくれないか?」
「らー。いくらで?」
「360Sと、明日一日うちの食堂で食べ放題。でどうだ?」
「たべほーだい、だけでいい。
でも、きょうから、さんにん。
それでいい?」
「ああ。もちろんだ。
今日と明日、3人分だな。」
「それと、ななしには、しょーかんじゅつかこうしょうじゅつのべんきょーがひつよう。」
「ああ。たしかに必要だな。
基本から勉強させておこう。」