8日目休み時間4
「え?最後の一日ってなんのこと?」
「えっと。
いまが、はちにちめ。」
「きたときから、ななじゅーに××、ひゃくはちこくあと、いえからよびだしされて、ここからいなくなる。
だから、じゅうにちめの、あさはやい?」
「え、帰っちゃうの!?
いや、お家と連絡つくのなら、それは良いことなんだけど・・・。」
「108刻!?
・・・白ちゃん、大事なことだからしっかり思い出して答えてね?
呼び出しされるのは、『9日後』か『108刻後』か、どっちかな?」
「ひゃくはち。」
「・・・えっと。
ちょっとだけ、席離れるね。
仕事の相談しなくちゃいけないの、思い出したから・・・。
みやちゃん、こっち来て。」
・・・
「どうしたの?
108刻、って聞いて驚いてたけど。」
「・・・『せっかちエルフの物語』読んだことある?」
「ないわ。
その話がどうかしたの?」
「『せっかちエルフ』っていう主人公が、かなーりのんびりさんなの。
で、うちの国のやつらはヒマすぎて面倒なしゃべりかたするんだわーって感じの話をするのね。
たとえ話とか、あいまいな表現とか大好きらしい。
で、108刻ってのは、『9日』っていう意味じゃなくて、『少なくても100年以上、ひょっとしたら永遠に来ないかも』っていう意味だったりするわけ。
『100』と『8』にたくさんという意味があって、それ組み合わせた『108』が『すごくたくさん』になるらしい、そんな感じ。」
「え、そんな意味なの!?」
「いや、その小説が単なる作り話って可能性もあるんだけどね。
ひょっとして本当の意味って可能性もなくもないかなとか。
だって、普通に考えたら、『108刻』なんて表現じゃなくて『ちょうど9日間』とか表現するんじゃないかなと。」
「・・・たしかに、1日のことを12刻って数えることは、めったにないわね。あまり聞いたことない。
それに、迎えをよこせるような余裕があるなら、普通全裸で送り込んだりしないわよね。」
「ああ。そーいえば全裸でいたんだったね。初日。」
「・・・と、いうことは。
迎えは来るかもしれないし、来ないかもしれないと考えておかないといけない、っていうことかしら。」
「うん、まあ白ちゃんには言えないけど、最悪のパターンも考えとかなきゃいけないと思う。
まあとりあえず、しょちょーには言っとこうと思うんだけど、いいかな?」
「ええ。それは問題ないわ。
いきなり消えたらびっくりするでしょうし。」
「そだね。
あ、そろそろ午後の仕事の時間だ。
白ちゃんにあいさつして、仕事に行こう。
続きの話は仕事のあとでね。」
「わかったわ。」