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8日目休み時間3

『さて、ご注文をどうぞ。』


「まず、手始めに、実力を見せてもらいたいわね。

魔法陣を実際作ってるところを見せてちょうだい。」


『作っているところを見せろ、と言われてもどの程度の魔法陣がお望みかわかりませんね。

どんな魔法陣がお望みですか?』


「この部屋にある魔法陣と同じくらいのなら私の持ってるテキストにも書いてあるわ。

もっと複雑なのでお願い。」


『へぇ、この規模の魔法陣が書いてあるんですか、すごい本ですね。

それでは、たとえばこれの倍だとどうですか?』


「そのくらいなら実力がわかりそうね。

うん、それでお願いするわ。」


『なるほど。

かなり難しいものをお望みのようですね。

 了解しました。引き受けましょう。』


「ありがとう。

 地下に大きな部屋が空いてるから、そこでお願いするわ。」


『了解。』


「そこまでの案内するわね。よろしくね。」



>地下3階、多目的室


「この部屋でお願い。

ここなら、使われてない部屋だから証拠隠滅の必要もないわ。

私くらいしかこんな階まで出入りはしてないはずだし。

ここなら大丈夫よね。」


(こくり)


(とんとん、とととん、ととんとん。)


「(お、足踏みが今までと違う感じになってるね。)」


「(そうね。今までよりリズミカルになってる感じがするわね。)」


「足踏みのリズムが詠唱の代わりになってるというの?

 やっぱりこれは参考になるわね。

 無理を言って頼んでよかったわ。」

 

(ととととん、とととととん、とととととん)


「(そしてだんだん速くなる、と。

 なんかちょっとこれ見ると不安になっちゃうなぁ。)」


・・・


(とととととん、ととん。)


「完成したみたいね。

 ・・・この、巨大な魔法陣は、いったいなんなの・・・!?」


『お待たせしました。

 注文通りの「36連複合魔法陣」です。

 こんな大物頼まれると思わなかったから苦労しましたよ。』


「え・・・36?

 私が注文したのって、アレの倍だから、6よね?」


『何をおっしゃっているのやら。

 あの部屋にあったのは、「18連複合魔法陣」ですよ?

 いやぁ、あれで物足りないとはすごいものだなと思いました。』


「あ、あの図形はどう見ても3連魔法陣だったわよ!?」


『「3連魔法陣を6セット」。波長を変えた魔力を使うことによって予想しない方向での相互干渉を避けたうえで複合連携させていたんです。

 まさか、魔法陣を見るのに「魔力認識」を使わなかったなんてことはありませんよね?

 魔力の流れを見ないで、どうやって効果を発揮している魔法陣の数を認識するというのか。

 魔力を流せない魔法陣なんて、ただの落書きと変わりませんよ?』


「み、見えないように魔法陣を作ってるなんて詐欺よ、無効だわ!」

 

『「チョークを使わない」とあなたが言っていたはずですが。

 チョークは視認できる文字を書くための道具。

 それを使わなければ文字が肉眼で見えなくなるのは当然でしょう。』


「それならなんで3個だけ見えるようにしてたのよ!

 騙すためなんでしょ!?」


『偶然、6波長のうち一つが肉眼で見やすい波長だっただけですね。

 魔力認識を使えば、同じ強さの魔力で描かれていることはわかるはずです。

 自分で使うための魔法陣なら、色なんて付けない方が魔力効率は良いですから、わざわざ色づけたりはしません。』


『あなたは『自分が視認できる魔法陣』なんて言い方はしませんでしたよね。

 『この部屋にある魔法陣』という言い方をしていたはずです。

 つまり、その数を勘違いしたのなら、『あなたのほうに問題があった』ということになります。

 私が回復するために作った魔法陣なわけですから、『ほかの人に見えるように作る義務はなかった』わけですし。

 それ以前に、『他人が作った魔法陣を見るのに魔力認識を利用しない』なんていう『ありえないレベルのミス』まで考慮する義務はないはずですし。

 普通の買い物に例えるなら、『目を閉じてたから商品の量が見えなかった、だから商品は受け取るけどお金は払わない。』って言うくらいのレベルですよ。』


『そんなわけで、魔法陣のために消費したFPは・・・

 この表示通り、10万4976のようですね。。

 はやてさんの情報によると10点1Sくらいするらしいので、とりあえず10点1Sで計算した場合、1万497になります。

 1万497、プラス、魔法陣36個分で360S。合計1万857S。お支払いお願いしますね。』(にっこり)


「い、一万Sなんて払えるわけないわよっ!?」


『FPのぶんに関しては最初に言ってた通り、現物でもいいですよ。その場合10万4976点と360Sですね。

 まあ需要と供給っていうものがありますから、魔力結晶よりはお金で払った方がコストは安いでしょうけど。どうします?』


「10万点ぶんなんて無理に決まってるじゃない・・・

 100万点消費しないと作れないのよ。」


『それならば『なぜ上限金額を設定しなかったのですか?』

 自分で注文しておいて、『手持ちがないから安くしろ』なんていう理屈が通るとでも?』


「さ、『錯誤による契約無効』を宣言するわっ。

 こんなありえない金額言われるなんて想定してなかったんだから。」


『チョークを使わないなんて『見たことのない手法』だと言ってましたよね。

 通常必要な道具を使わない、という時点で、『通常の方法と違う』わけですから、

 『追加情報なしに必要なコストを計算するのはもともと不可能』であるといえます。

 それなのに、『コストを私に聞かず』『上限を提示することもせず』『前金さえ支払わず』『これの倍、などという大雑把な注文をした。』

 そして、『こちらは注文通りの作業をすでに終わらせている。』

 コストが想像を超えた、などという理由で、支払いを拒否できるものなんでしょうか?』


「・・・ごめんなさい、もう許してぇぇぇ!」


「あ、にげた。」




・・・




(ごそごそ)

「あれ、びん、でてこない。

 どこ、だったかな。」

(ごそごそ)


「あ、これじゃない?

 隅に置いてあったよ。」


「あ、それ。

 あいあとー。」

(ごくごく)


「すこし、かいふく。」


「それってこの前空き瓶買ってたやつだよね。

 中身は何入ってるの?」


「まりょく。」


「詰められるもんなの?」


「なんか、ですぎたときに、いれてみたらはいった。」


「入れてみたら、って、できるもんなんだ。」


「いがいにいける。

 あじはしない。」


 ・・・



「このくらいやれば、すとーかー、されない?」


「まあ近づきたくもなくなったのはたしかでしょうね。」


「白ちゃん、かなり容赦なかったねぇ。」

 

「そーでもない。

 ぬけみちだらけ、と、おもう。」


「抜け道?そんなのあったかしら?気づかなかったわ。」


「たとえば、このまりょくのりょうについてくちどめりょうようきゅう、とかいうてもある。

 まあだれもしんじないだろーから、そのじょうほうにかちはあんまりないけど、こうしょうのざいりょうくらいにはならないこともない。」


「ああ、魔力10万点、とか普通に出せるのがおかしいってことか。」


「そう。いちどにだしたわけじゃないから、それなりのどーぐとかあれば、できるとおもうけど。」


「それと。こっちが「えふぴーのぶんはげんぶつでいい」っていってるんだから、かいふくりょうあっぷのけーき、とかでもよかった。

 だれも「まりょくこうせきとげんきんしかうけつけない」なんていってなかったし。」


「あー。そーいえばそうか。

 回復できる分の、っていう考え方なら、ふつーの食べ物とかでも回復してると言えばしてるのか。」


「そう。なんでもたべればいいってわけじゃないけど。おいしいものならすこしかいふくするかも。」


「それに、もともとこのあしもとのまほーじんが、まりょくせつやく、まりょくかいふくのため。

 ここのうえでおいしいものでもたべてれば、そのあいだにかいふく。」


「つまり、『回復できる量の素材』ってのは、『回復するまで時間をつぶせるお菓子』でよかったと。」


「せーかい。おなかへってなければ、あのくらいならすぐかいふくする。このまほーじんのうえなら。」


「まあさっきのがまたもどってきたら、いちまんはっぴゃくごじゅーなな、せいきゅうすればしずかになる、とおもう。

 めでたしめでたし。」


「まあ静かにはなる、だろーねぇ。」


「私たちの給料だと100年分くらいだものねぇ。

 第2書庫の人ならかなり多く稼げるだろうけど、それでも少なくても何年かは間違いなくかかる金額だと思うわ。」


「これで、さいごのいちにちはしずかにすごせそう。よかった。」


「え?最後の一日ってなんのこと?」

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