8日目休み時間2
『話すの面倒なので筆記します。
聞くことは普通にできます。こちらに聞くつもりがある間は。』
「私の名前は『七詩』。魔法陣使いよ。
あの魔法陣作ったのあなたなのよね?
あの魔法陣を書くのに使ったの、魔法陣用チョークじゃないわよね。チョークじゃあの色は絶対出ないはずだもの。
チョークを使わないやり方なんて聞いたことないわ。
魔法陣を作るときに呪文は使うの?
魔力結晶はどのくらい使うの?
魔法陣1回書くのにかかる時間は?
複合魔法陣、最大でどのくらいまで複雑なの作ったことある?」
『話聞いてなかったわけじゃないので、繰り返す必要はありません。
返事をする必要性が全くなかっただけの話ですから。
取引したい相手に名乗る名前が『ナナシ』って時点でどうかと思いますが、
まあ私の名前も同じようなものなので、まあそれは良いとしましょう。
『魔法陣使い』、ですか。
そう名乗るからには、それなりの知識と経験はあるものと判断します。』
「それでいいわ。
私だってかなり勉強と練習はしてるから、知識はあるわよ。」
『それなりの知識があるなら、いきなり先ほどの質問をしてくるということは、『常識』がないと判断。
まともな会話が成立しそうにないので、返答は拒否。』
「『常識がない』?
そう判断した理由は答えてもらえるかしら?」
『知識は財産。
それを譲ってもらおうとするなら、それなりの代償を支払うか、タダでも教えたいと思われる関係を作ってから。』
「そちらにもメリットがあれば取引の可能性はあるってことかしら?
あなたの知らない魔法陣を教えるってのはどう?」
『『持っていない物を出す』ために『こちらの手持ちを明かせ』と言う?
こちらが出す情報のほうが多い。却下。』
「それなら、魔法陣に使える魔力結晶はどう?」
『魔力結晶。
・・・FPの回復の石?』
「そうそう。それよ。
私の指示の通り魔法陣作って見せてくれたら、FP消費した分回復できる量の魔力結晶渡すから!」
『消費した分、って、全然利益無い。こちらに。』
「魔力結晶は作るときには10倍くらい魔力消費するのよ?
値段だって高いんだから。」
『私が魔法陣を作ったとして、そのために浪費した分、回復に使えばなくなる。
製造にいくらかかるかなんて聞いてない。私は『そんな無駄なもの』作らない。』
「それなら、魔法陣1個指示通りにできるごとに10S追加するわ。これでどう?」
『10S。
金銭感覚ないのでどの程度の意味かわからないけど。
複合魔法陣の場合?1個?』
「その場合はちゃんと使った魔法陣の数だけ出すわ。
3個複合なら30S、っていうふうに。」
『つまり、『魔法陣のために消費したFP量を回復できる量の魔力結晶』と『魔法陣1個当たり10S』・・・。』
「みーたん、はーたん、」
『魔力結晶の相場っていくらくらいするものなんでしょうか?』
「わからないわ。ごめんね。」
「10点ので1Sくらいだったかな?」
『・・・なるほど。ありがとうございます。』
『私がその依頼を受けたと仮定して、消費したFPの量の判定はどうやってするんですか?』
「そういうときのための測定器があるので大丈夫よ。」
『・・・まあいいでしょう。
注文を聞くだけ聞きます。
危険なものや不可能なものや割に合わないものなどなら聞いた後でも断りますけど。』