8日目出勤前
「・・・むにゅ。おあよー。」
「おはよう。
結局帰ってこなかったわね。」
「み?」
「あ、今までこういうことがなかったわけじゃないから、心配はいらないと思うわ。
先輩との飲み会に付き合わされて朝の出勤前ギリギリに帰ってきたこともあるから。
まあ少なくとも仕事をすっぽかすことはないから、もしあっちに直接来るようなら、休み時間になったら首根っこ捕まえてくるわね。」
「にゅー。」(くんくん)
「あっち。におい。」
「匂い?」
(てくてく)
「にゃー。」
「あら?あんなところにいたのね。」
「あ、やっほー。おはよう。偶然だね。」
「おあよー。」
「偶然だね、じゃないわよ。なんで昨日は戻ってこなかったの?」
「戻ってこなかった?
つまり、合流する予定だったのはあなたたち、ということでいいのよね。
やっと見つけたわよ。」
「あ、あれ。
ひょっとして、私、かなり口滑らせちゃった?」
「うん、かなりね。
まあ時間の問題だった気はするけど。」
(ぐぅ)
「にゅー。」
>食堂
(ごそごそ)
「にゃー。」(券をかかげる)
「お、例の食券登場だね。
なに注文する?」
「・・・いた、めし?」
「あ、チャーハンだね。それ。」
「むー。」
「独特の読み方するからわかりにくいかもね。」
「ちゃー、はん。おぼえる、した。」
おお、1回で覚えるとは。覚えるの速くなったねぇ。
「べんきょー、たくさん、する、した。」
「4人席に座ったら、なんだか一人予定外の人が。
まあ予定通りと言えば予定通りともいえるけど。」
「あら偶然ね。
お邪魔するわね。」
「ほかにたくさん席空いてると思うんですけど。」
「あら、ここの食堂は、席確保できるのは人数分だけなのよ?
4人席に3人しかいなければ、4人目は誰が座ってもいいことになってるの。
あ、ちなみに、食べてる途中での席移動はできないわよ。」
(ぱくぱく)
「はじめまして。私の名前は『七詩』。魔法陣使いよ。
あの魔法陣作ったのあなたなのよね?
あの魔法陣を書くのに使ったの、魔法陣用チョークじゃないわよね。チョークじゃあの色は出ないはずだもの。
チョークを使わないやり方なんて聞いたことないわ。
あ、それとも特別な道具があるのかしら?」
(ぱくぱく)
「にゃー。」
「お、チャーハンはあたりだったみたいだね。
まあなんでもおいしそうにたべてるけどね。」
「魔法陣を作るときに呪文は使うの?
魔力結晶はどのくらい使うの?
魔法陣1回書くのにかかる時間は?
複合魔法陣、最大でどのくらいまで複雑なの作ったことある?」
・・・・
「にゃー。」(お腹ぽんぽん)
「お、さすがに満腹かな。
1食自分で注文したの初めてだもんね。」
「それじゃ戻りましょうか。」
「らー。」
「これ、毎日やられるんだったら相当きついよね・・・。」
「にゅー。」(こくり)
「社員食堂には3人席ってないものね・・・。」
「でも、毎回外食ってのはかなりきついしね。
いや、まあアレ使えば金額的にはできなくはないけど、なんかもったいない。」