第9話:なんでだよっ!
「も…無理」
血で染まった両手を見つめる。床も、羽織わされた割烹着に似た服も赤い。
重傷者三人分のソレは、見ただけで気分の良い物ではないのだよ?しかも、触れていたのだから精神的なダメージは深刻です…。
ガララ…と台車で最後の一人が運ばれていく音がする。
「君が来てくれていなければ彼らの命はなかったかも知れない。」
騎士らしき人が私の両手を赤くしている液体を丁寧に拭ってくれているのだけども…。
タオルならともかく既に赤く染まったハンカチは肌に摩り込んでいるみたいで凄く嫌だ。
血に慣れてる訳じゃないんで風呂とか貸してほしい。
(つД`)
身なりを整えて、ご飯食べて、書簡持って城に来たら…城の中がまるで戦場のようでした。
城の中っていっても、医務室だけだったんだけどね。
私が来るしばらく前に魔獸討伐で重傷を負った兵士が運びこまれてたらしいのですが、回復術士が不在だったらしく途方にくれていた所へ私が来たっと。
神官や僧侶みたいに信仰による回復ではありませんが、気法師も回復術が使えますからね。
使ったのは、術式による回復ではなく、直接患部に"気"を送り自己再生を促す形にした訳だが効果は抜群。
無事に傷口は塞がった。
ただ、【神の奇跡】がルーツではないので、気功による回復は自然回復の加速にでしかない。最終的な時間はかかる(細胞の活性化を促すため失われた血も必要量が作られる)、しばらくは大量のフケやアカなどの老廃物に悩まされるんだZE。
なにはともあれ、お大事ぬぃ~。
今日は書簡だけ置いて帰っていいですか?
…ダメですか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「宿に戻るのですか?
こちらで何か気に障るような事でもございましたか?」
「とんでもございません。
至れり尽くせりでもうしわけないくらいです。
書簡以外の荷物を部屋のに置いてきているので…。」
「そうでしたか、荷物だけでしたら私のほうから手配できますが?」
普通ならお言葉に甘えさせてもらうんでしょうけど、半日程度の滞在でオレのチキンハートはもうボロボロなんだよ!
予想外の歓待まで受けてしまうし、なんだかんだで人が来るので心の休まる時がないくらいです。
いくら書簡があったとしても、タイミングを怪しむくらいの挙動をすべきでしょう!して欲しかった!(ぇ
そしたら折りを見て、いわれのない誹謗中傷とか受けたとか泣きダッシュしてエレックにとんぼ返りとかできたのになぁ…。
…ち、残念(暗笑
メイドさんはともかく、いい香りしたオッサン達が様子を見に来るのが辛い。
過齢臭ならわかるんだ。
…ねぇっ!華麗臭って一体なんなんだよ!?
妙齢の〇〇とかならまだしも、老齢のおじさんから、すんっっげっっ!!いい匂いするなんて考えもしなかったわっ!!
貴族ってすげーわ、もうお家(宿屋だけど)かえりたいのー!
ひーきーとーめなーい…………でーっ!!!!(必死
とは言えないから、とりあえず日本人特有の愛想笑いでお茶を濁して逃げ切りました。
その辺りは、ツイン〇ーボの如く、逃げ切りましたー!!(喜
それから、祠(門)はながいこと手が入っていないようでした。非常事態以外は使わないとなれば当然でしょうか?
ポータルゲートの魔法陣が床に描かれていて、それを雨風から守るために後から作られた建物が番人の住居になっています。陣が長期にわたって維持出来る様に"龍脈"が地面に頭をだしている場所に配置されているとの話しです。
…コンセント?
龍脈の出口は特定の精霊が住んでいるらしく、固定ポータルゲートを使う=他人の家の中を通る、みたいな形になるんだそうです。
呪文やアイテムのゲートはルートが違うらしいですね。
野原とか開けた場所限定になってますからね。
精霊はエネルギーの塊が意思を持った者なのだが、龍脈から摂取するエネルギーと人から貰うエネルギーは”味”に違いがあるらしく、毛色の違うエネルギーを持った者を巫女や隠者として囲いたがるのだそうな。
はたして、人柱持参でご機嫌取りをする必要があるのか?
肝心の精霊との面会は全くできてませんが構わないです。
…研修期間以上に居座る気なんてないですから。(姫スマイル
では、アデューW
ツインター〇、大逃げで有名なおうまさんです。逃げ切れずつかまる事もしばしば。フラグが二本ほど…なにかあるかな?