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ふわふわ。  作者: 水無月
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変化

間仲の背中から目がはなせない。なんでだろう。アイツ私になにかしたのかな?ドキドキしてキュウってなる。


「なにしてんのさ。こんなとこで。」


声のする方を見ると、薫が窓から見ていた。深呼吸して歩き出す。今の見られてた?


「おはよう。奈緒美は?」


話題を変えよう。


「あー・・担任に呼ばれて職員室。心は一緒じゃなかったの?」


さっきのは見られてなかったのかな?


「心も職員室に呼ばれてる。」


ふぅん・・とこころない返事をされて歩き出す。冷たいサラッとした風が吹いて、薫の髪に枯れ葉がついた。


「薫、止まって。」


ハッ?て顔で見てきたけど、取ってあげると顔が少し赤くなった。いつも口悪いけど、こんな時はちゃんと女の子なんだな。ちょっとおもしろい。


「前は・・こういうのあたし達にはしなかったよね。」


薫が鏡で全体をチェックし始めた。


「やだなぁ。友達なんだから普通だよ。」


ハハッと笑って薫を見る。薫も笑っていた。良かった。なんだか薫が言う事って時々すごく当たるから怖い。

今のだってホントは薫の言うとおりだと思う。私には心が一番で、いつも心しか見れてなかった。友達ができたからそうなのかもしれないけど、心じゃない人のことも見れるようになってきた気がする。


「じゃあ間仲は?あいつも友達?だから普通にあんな事できんの?」


やっぱり見られてたんだ。手にギュッと力が入る。間仲は友達。だけど普通にできてる訳じゃない。間仲を見てると、ドキドキして気になって普通にしてるなんてできない。


「ごめん。」


薫が小さくつぶやいた。


「あんたのこと責めたいんじゃない。だけどさ、なんか前と違うし。最近心も元気ないし、あんたは間仲とばっか一緒にいるし。あたし、あんたと心はいいかんじだと思ってたから・・。」


言い終わってピタッと止まった。


「ごめん。いいかんじとか、なに言ってんだろ。気に・・しないでよね。」


薫に『ごめん』とか言われるなんて初めてな気がする。


「ありがと。」


予鈴が鳴った。バタバタと私達を通り過ぎてみんな走って行く。


「行こうか?寒いし。」


ポケットに手を入れる。薫はうなずいて少し笑った。


『間仲とばっか一緒にいるし。』か・・。そうだったのかな?そんなに一緒にいたなかな?心も元気がないって言ってた。たしかに最近いつもと違う気がしてたけど、理由がはっきり分からないから私の勘違いだと思ってた。でも、やっぱり元気なかったんだ。私なにしてるんだろう。心が元気ないときに、なにもしてあげられてないなんて。間仲のこと考えたりして、なにしてるんだろ・・。


「ねぇ、聞いてもいい?」


後ろからついて来てる薫が、おそるおそる聞いてきた。


「なに?」


いつもなら、そんな断りいれないのに。突然聞いてくるのに。


「葵は間仲が好きなの?」


ビクンと胸の奥がはねた。言われた言葉が頭の中でグルグルする。


間仲ノコト好キナノ?間仲ノコト好キナノ?・・。


「・・分からない。」


薫はまた、ごめんと言った。後ろから先生達の声が聞こえてきて、私たちは小走りで教室に行った。ギュッと唇をかむ。

分からない?

なんで?だって私は心が好きなのに。分かってるのに、なんであんなこと言ったの?息をするのが苦しくなってきた。薫の言う事は時々すごい当たる。


私は前と違う・・?


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