かん違い
状況がよく分からない。2人でいるって事は、間仲に告白されてたって事?腕の中の心が涙ぐんでいるのは、間仲に泣かされて他たの?どうして?間仲が女の子を泣かすなんて、そんな事しないって思ってたし、思いたくない。でも実際そうなってるし・・・。
心が鼻をすすっている。間仲でも心を泣かせたのは許せない。
間仲は壁によりかかって足元を見ている。怒ってたり、悲しそうな表情じゃなくて、何かつらそうに目がくもっている。
「間仲、なんで・・。」
最後まで言う前に、心がさえぎった。
「違うの葵。ちょっと間仲くんに聞きたい事があって・・。それで私が勝手に泣いただけで、間仲くんは何も悪くないの。本当だよ?」
かばっているのか、本当なのかよく分からない。じっと心の目を見る。
「心配かけてごめんね。探してくれたんだね・・・。」
下を向いて、私の手をギュッとにぎる。何を話してたのかは言ってくれないみたい。ちょっと切なくなる。
予鈴が鳴って、間仲がなにも言わずに歩きだした。横顔がちょっと怖かった。
「あ・・間仲。」
ゆっくりと私を見てきた。とっさに目をそらす。
「ごめん。かん違いして。」
心が手を強くにぎってくるのが伝わってきた。
「いや。俺こそ・・。」
小さくため息をついて行ってしまった。声が、ちょっとだけ震えていたように聞こえた。
「葵、私たちも行こう。授業遅れちゃう。」
教室に帰ると、奈緒美が心にパンを渡した。
「食べきれなくってさ。心にあげる。」
奈緒美が食べきれないとかありえない。底なしなのに。心の口に詰めこんでいる。
薫は「お帰り。」しか言わなかった。
席に着いて間仲をちらっと見る。いつも通りの様子でなにも変わらない。なにがあったんだろう2人に。心は聞きたい事があったって言ってたけど、じゃあ・・告白とかじゃないなかったんだよね。なんで泣いてたんだ?・・・もしかして間仲の事がが好きとか?それで誰が好きなのか聞いてたとか?いや、逆か?間仲が心にしつこく聞いてて、それを私に知られたくないからとか?
全然分からない。授業中もそればかり気になって、内容が頭に入ってこなかった。
帰りのホームルームが終わりそうになった時、担任が私と間仲の名前を呼んだ。
「あー・・クラス委員と副委員のお前らはちょっと残れ。仕事があるから。」
なにそれ!?なんで今日なの!?間仲はこっちを見ないで担任について行く。
奈緒美が肩をポンとたたいてきた。
「おつかれさん。心は責任もってあたし達が送ってくから。」
心の腕をグイッと引っぱった。
「えっ!?奈緒美?私、葵のこと待つよ!?」
手をバタバタさせてるけど、無理やり連れて行かれてしまった。
薫がため息をついた。
「また明日・・。」
なんか・・。なんだろう。きっと2人なりに色々と心配してくれているんだよね?
「おーい!早くしろー!」
廊下で担任が急かしてきた。しかたないよね?委員なんだから・・。間仲の後ろについて歩きだす。