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ふわふわ。  作者: 水無月
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間仲との帰り道

ケータイを見ると心からメールがきていて、『今日は先に帰るね。待ってあげられなくてゴメンネ。』ときていた。いつ終わるのか分からなかったんだな。『ゴメンネ』なんて悪いことしちゃったな。


前を歩いている間仲をちらっと見る。

どうしてこんな事になっちゃったんだろう。一緒に帰るなんて・・。こいつ、私におわびの約束させる為に、わざわざ教室にいたのかな。確かに図書室で、思ってること言ってほしいって言ったけど、デート・・・だなんて。そういう事もアリなの?

私は我慢してる事とか、うれしい悲しいとかを言ってほしかったんだけど。でも、今さら無理とか言えないし・・・困った。誰か知ってる人に会ったら、この状況をなんて説明すればいいんだろう。


間仲の後ろをノロノロ歩く。足が重たい。っていうか何か話してくれないと気まずいんだけど、さっきから一言もしゃべらない。どうしちゃったんだろう。

ちらっと見る。男の子の背中って、なんでこんな広いんだろう。いつも心とか見てるから、よけいに大きく感じてしまう。男の子・・なんだなぁ。


「それでさ、日曜はヒマ?」


クルリといきなり向いてきたから、こころの準備ができていなくてビックリした。一歩後ずさる。


「えっと・・大丈夫だと思う。」


目をそらす。今思ってた事、顔に出てないよね?なんか間仲といるとおかしくなる。冷静じゃなくなるような、ソワソワしてくるような。


「そっか。中学校までの道は覚えてる?」


なんで中学?まぁ卒業してからそんなに経ってないから、そのぐらい覚えてる。3年通ったんだし。


「覚えてるよ。」


中学かぁ。卒業して1年すら経ってないのに、なんか懐かしく感じちゃう。

心の事を意識し始めたり、間仲と初めて会ったのも中学だった。心はどんどんかわいくなっていくし、間仲も男っぽく変わった。私は?何か変わったんだろうか?

そんな事を考えている間に家に着いてしまった。心の家を見ると、部屋の明かりが点いていた。門を開けて、間仲を見る。顔が赤い。寒いのかな?


「日曜の午後2時に中学の校門まで来て。」


クルッと向きなおって行ってしまった。私まだ行くって言ってないんだけど・・・。そういえば間仲の家ってここら辺だっけ?

ドアを開けると、蒼佳が仁王立ちで立っていた。びっくりした・・・。


「お姉ちゃん遅い。」


台所からいいニオイがする。今日はたぶんアレだな。おでん。リビングに行って、蒼佳の言う事に適当に返事をしてテレビをつける。


「お姉ちゃん誰といたの?」


一瞬、体の動きが止まった。見てたのか?

聞こえていないフリをして、テレビを見続ける。


「あんまり遅くならないようにしてよね。暗くなるの早いんだし。まぁ誰かに送ってもらえたなら、いいんだけどさ。」


まだ何かブツブツ言いながらご飯をよそっている。

・・・間仲は送ってくれたのか?暗くなってたから?・・いや考えすぎだよね。そんな事ないよね。家が近かったからで、たまたま帰り道が一緒だったんだよね?きっと。


「ねぇ、日曜って用事ある?」


体がビクッと反応してしまう。

日曜・・・日曜の午後2時に、中学校の校門に来て。

顔がカッと熱くなってきた。蒼佳に背を向ける。


「その日はちょっと、用事というか何というか・・。」


ゴニョゴニョと濁す。どう言えばいいんだろう?言葉が出てこない。


「はいはい。どうせ心ちゃんと、どっか行くんでしょ?」


小さくため息をして、鍋をテーブルに置いた。

・・・違う。心とじゃない。胸の奥が重たくなった。複雑な気持ちになる。なんで私、断らなかったんだろう?


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