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ふわふわ。  作者: 水無月
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帰り道

無事に文化祭が終わった。後片付けが終われば、また普通の日常にもどる。花火の場所とりをしてくれた奈緒美は、私たちが後から来たことに少しスネてたけど、帰り道で肉まんをおごったら機嫌がよくなった。


「だって、せっかく1番いい所で皆で見たかったのにさぁ。最初からと途中じゃ全然ちがうんだもん。・・まぁでも、この味なら許してもいいさ。葵と心は肉まんに感謝するんだね!」


ポーズを決めてるけど、手に肉まんを持ってるから、全然きまってない。薫はシカトして行っちゃったし、心は困ってる。

でも、奈緒美のこういう所にけっこう和んでるし、友達思いなヤツだって薫も心もちゃんと分かってると思う。薫だって何も言わないけど、いつも1番心配してくれる。心も2人が大好きで、私も皆が好き。

だから私たちは一緒にいられる。


「また来年も4人で見たいよね。」


空を見上げながら心が言った。

今日は星がキレイだ。奈緒美はニヤリと笑ってうれしそうだ。

来年も一緒に・・か。うん、そうだね。そうしたい。来年も一緒にそうしたいって、思える相手がいるってすごい幸せな事だと思う。心は、まぁ特別だけど、薫と奈緒美の存在ってすごい大きいと思う。

薫は、私が心のことどう思ってるか気づいてる。海であんなことあっても、何も変わらず接してくれる。それがどんなにホッとできるのか、本人は分かっているんだろうか。

奈緒美は鈍感だけど、うすうす普通ではないって事ぐらい感じてると思う。でも何も言わない。気づいてないフリをしてるのかもしれない。奈緒美なりの優しさで、薫とは違ったやり方で、見守ってくれている。

私は2人に何かできているのかな。2人だけじゃない。心にだって・・・。好きって気持ちだけじゃ不安になる。


「ちょっとー、何暗い顔してんのさー。」


奈緒美が背中をバンバン叩いてきた。痛い・・。


「文化祭終わってつまんない気持ちは分かるけど、そんな顔してちゃダメっしょ。そんなん見たら、あんたを頼ってるあたしたちだって変な顔になっちゃうよー?」


ゲラゲラ笑って行ってしまった。

頼ってる。

私のこと頼ってるって言ったよね?しかも「あたしたち」って言った。私、頼られるほどの事なんて何もしてないと思う。でも、うれしい。一緒にいても大丈夫って言われたみたいで、うれしい。

空を見上げると、さっきよりも星がキレイに思えた。


「葵、何してるの?早くおいでよ。」


3歩ぐらい前にいる心がニコッと笑う。

不意をくらった気分。ずるいよなぁ。

空気を大きく吸って吐く。息がかすかに白く見えた。もう、そんな時季かぁ。

心のとなりに立って笑い返す。来年も、その次の年もこうやっていられますように。

流れ星はなかったけど、今日はすごく星がキレイだから、叶えてくれそうな気分になった。

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