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ふわふわ。  作者: 水無月
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自分勝手

間仲に誘われてしまった。夜の花火に。

これって、つまり私と見たいって事だよね?2人で・・・だよね!?たぶん。なんで私となんだろう。だって間仲は好きな人いるんだよね。

・・・私!?まさか。だって中学の時フッてるし、友達になったばっかりだし。なんで私を誘ったんだ?

間仲は自分の指先あたりを見て、落ちつかない様子だ。答えを待っているような、この場から逃げたそうな変な顔をしている。

なんか全然イヤじゃない。なんでだろう。間仲となら見てもいいかもって思ってる。


「ダメだよ間仲くん。葵は私たちと見るんだから。」


心が私と間仲の間にフワリと入ってきて、間仲が見えなくなった。

そうだよ。私なんかOKしちゃいそうな気になったけど、心たちと見るって事になってたし、間仲と見てるヒマなんかないんだよ。なのに私、OKしようとしてた。私には心がいるのに。

罪悪感みたいな、はずかしいみたいな気持ちが湧き上がってきて、逃げたくなった。


「そっか。じゃぁ分かった。」


間仲が席を立つ音がする。声、ふるえてた?足音が周りのザワつきの中に消えていった。声がふるえてたよね?席立ったとき、何思ってたんだろう。がっかり?残念って思ってたのかな?胸がチクチクしてザワザワする。

私もがっかりしてる?断ってがっかりしてる?心と一緒に見れるのに、すごくうれしいはずなのに、気持ちが落ちつかない。ザワザワして、いつもの自分じゃないみたい。どこか静かな所へ行きたい。

心がまだ前に立っていた。背を向けて、テーブルに寄りかかっている。華奢な背中が、吹いている風が寒いのか少しふるえている。手をのばして心の髪にさわる。やわらかくて気持ちい。落ちつく。と同時に自分にイライラする。私は心が好きなのに、間仲を気にしている。それがすごいムカつく。

なんで間仲を気にしているんだろう。フッて申し訳ないと思ってるから?少し優しくしてもらったから?花火に誘われたから?

風が強く吹いて心の髪が乱れた。横顔がチラッと見える。唇を少しかんでいて、目線を下に落としている。


心!・・ごめん。私すごい自分勝手だ。さっきだって、心といる時つまんないような態度とっちゃったし、今だって間仲のこと考えてたし、心のこと泣かせちゃいそうだし。


「心・・ごめん、私・・・。」


立ち上がって手をつかむ。顔を見ると、きょとんとしていた。

泣いてなかった。前みたいに泣かせてしまったらどうしようかと思った。よかった。


「びっくりした。どうしたの葵?ごめんって?」


心が困った顔して笑う。細い手が冷えて震えている。

ごめんね、心。私は勝手だよ。心のこと好きって思っていても間仲のことを考えたり、自分のせいで困った顔させてるのに、笑っていてほしいって思ってる。胸がチリチリして痛い。ギュッと手に力が入る。

自分勝手だ。


「葵どうしちゃったの?そろそろ花火始まっちゃうよ。行こう。」


ニコッと笑って、今度は心が私の手を包む。ひんやりしてるけど、やわらかくて優しかった。

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