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ふわふわ。  作者: 水無月
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文化祭で

文化祭の夜は花火をあげる。それを一緒に見たカップルは、ずっと一緒にいられるとか、いられないとか。まぁ、よくある話で、きっと恋のウワサが好きな子達が言い始めたんだと思う。みんな本当にそうなるなんてムリだと分かっているけど、こころのどこかで「もしかしたら」っていうのはあると思う。誘い合っているのを見ると、やっぱり気になってしまう。


「誘ってOKもらったら、それって告白して成功したって感じだよね。」


薫がそんな事を言っていた。

そうなのかな?もし私が心を誘ってOKもらったら、それも告白成功って事にちゃんとなるのかな。・・・いや、たぶん心と私の場合は違うな。心に断られた事なんか無いし。

ちらっと心を見る。やっぱりそこら辺の女の子とは違う。まとってる空気と言うか、放つオーラと言うか。文化祭には他校の生徒も、もちろん来ていて、ウチのクラスにもその人達がいる訳で、やっているカフェがけっこう人気な訳で、オーダーを受けるのが心に集中しちゃう訳だ。心が通ると皆ふり返る。下心みえみえな顔がイラッとさせる。


「すみませーん。こっちいいですか?」


また心か?って思ったら、私に手招きしてた。おっと私か。今は目の前の事に集中しないと。

高校生、大学生?くらいの男3人組みか。みんなチャラ男ってかんじだ。


「えっとぉ、コーラ2つとぉ、あとコレ1つと君を持って帰りたいんですけどぉ。」


周りの2人はニヤニヤして気持ち悪い。本当にこんな事言う人がいるんだと、逆に尊敬してしまう。全身の毛穴が開いているんじゃないかな。言葉も出ないぐらい気持ち悪い。


「君、キレイだね。1年生なのに大人っぽいよねぇ。休憩とかいつ?遊ばない?」


逃げたい。この場から今すぐに。


「すみません。休憩とか分からないんで。コーラ2つとメロンソーダですね。お待ちください。」


営業スマイルをして、さっさと逃げた。後ろから「クールー!!!」って声が聞こえてきた。バカだ。


やっと交代の時間。これから夜まで自由に見て回れる。心も薫も奈緒美もそうだから、4人で回るって決めてた。高校に入って初めての文化祭だから、どんな感じか気になる。2,3年生ってどんなのやってるんだろう。


「ねぇねぇ、夜の花火もさ、4人で見ない?」


イカ焼き、やきそば、唐揚げ、わたあめ、お好み焼きを順番に食べている奈緒美が言い出した。あの子の食欲と胃袋はどうなっているんだろう。次はフライドポテトを狙ってるみたいだ。


「えー。女4人で見んの寂しくない?周りはどうせカップルばっかりなんでしょ。」


すごく嫌そうな薫は、リンゴアメをまっさきに買っていた。なんだかんだで子供っぽい所もあるんだな。

心はアイスを無理やり奈緒美に買わされていたけど、表情が楽しそうだったからそのままにしておいた。楽しいならよかった。


「でもいーじゃん。思い出になるし。花火見たくないのー?あたしは見たい。見ようよー4人でさー。」


薫と奈緒美はどっちも譲れないみたいで、あみだくじで決める事になった。これなら負けても文句は言えないみたいで。なんだそりゃ。


結果・・・奈緒美の勝利。4人で見る事になった。奈緒美のはしゃぎっぷりはすごかった。通りかっかた人達がみんな見ている。さて、打ち上げるまで時間があるし何しようかな。


「じゃぁ、まだ時間あるし2人に分かれよう。あたしはナオといるから、葵は心とで。いいでしょ?時間になったら校庭でね。」


グイグイと奈緒美を引っぱって行ってしまった。薫の行動が早くて、心とポツンと残されてしまった。

どうしよう。2人になれるとは思ってなかったから、急に緊張してきた。最近忙しくて2人っきりになってなかったから、何をすればいいんだっけ?


「行こう葵。ぼーっとしてたら時間がもったいないよ。」


すたすた歩き出す心も、どことなく緊張してるのか、動きがかたい。


なんだ。心も私と同じなのか。ちょっと安心した。後ろをゆっくりついて行く。

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