表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふわふわ。  作者: 水無月
11/40

海で

ザザンッと大きい波の音をかんじる。キラキラとつぶが、夏の太陽にまぶしく光っている。

「夏休み、女2人で浜辺かな。」

プッと隣に座っている薫が笑う。千咲薫・・。私の友達だ。大人っぽくていつも冷静に奈緒美をつっこんでいる。年上なかんじがする薫は、私たちを保護者みたいな顔して見守っている。

「しょうがないじゃん。ナオと心が補習なんだし。あと1時間もすりゃ来るよ。」

なにが楽しくて地元の海に女2人で浜辺に座っているかというと、補習組の斉藤心と清水奈緒美を終わるのを待っている。奈緒美がどうしても4人で行きたいって言い張るし、明日から言い出した本人はバイトが始まるし、薫は旅行に行っちゃうしで今日しかない。と言うわけだ。

日陰に移動する。さすがに暑いし、日焼け止めぬってもこれじゃ意味ないし、のど渇いた。

「わがままなんだよ。ナオは。あたし達だって学校で待ってればいいのに、海で待ってろなんて。しかも水着でさ。なんで地元の海で泳がなきゃいけないのよ。」

そう言いながらちゃんと待っている薫は、やさしいんだと思う。服着てるけど。

「ねぇ、君たち泳がないの?」

顔を上げると知らない男たちが話しかけてきた。ナンパか・・。

「君は大人っぽいね。いくつ?高校生?わけぇ。君も高校生?2人共キレイ系だねー。」

薫を見ると、あからさまにウザがってる。こういうの嫌いそうだもんな。しょうがない。

「ごめんなさい。あたしたち連れを待ってんだ。男。」

ぐいっと薫をつかんで、その場からはなれる。こんなに分かりやすくしてやったから向こうも気づいただろう。今年になって何回目だろうか。腕をはなす。薫は海を見ている。

「あんたって、男いんの?」

なんて、どストレートな質問なんだろう。薫は聞きたい事を相手の様子をうかがって聞いたりしない。知りたい事をそのまま聞いてくる。裏表なくて、そういう所が好きだ。急に風が勢いよく吹いて、薫の長い髪が乱れて顔がかくれた。ポケットに入っていたシュシュを渡す。

「まさか、いないよ。薫はいるの?」

「あたしもいない。」

そろそろ心と奈緒美が来る頃だ。分かりやすい場所に移動した方がいいかな。歩き出す。

「葵ってさ、気がきくよね。特に心にはさ。それって友達で幼なじみだから?もしくは生まれつき?まぁ、でもあんた達見てると友達っていうより、もうちょっと違うのに見えてくる。」

真剣な表情。

「ほめてくれてんのかぁ。ありがとう。」

歩調を早める。薫はよくみんなを見ている。きっと私の事も今までより距離が近くなった分、より見てるんだろう。・・なんかこれ以上はヤバイ。

「話そらさないでよ。聞きたいのはつまり、心とはどういう関係ってこと?」

もう一度、強く風が吹いた。今度は顔がよく見える。じっと私を見る目。きっとごまかしはきかないんじゃないかな。でも、それでも知られる訳にはいかない。だって理解されないと思うし、知られたら友達でいるのは難しいと思う。

波の音がさっきより大きく聞こえる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ