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ふわふわ。  作者: 水無月
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「心、さっきありがとう。」

やっと見つけた。石段に座って、肝だめしにスタートしたグループのチェックをしていた。

夜風が涼しい。心の長い髪をゆらして、私の鼻をくすぐる。

「なんのこと?」

こっちを見ずに目線を落としている。知らないフリをするとき、心は下手くそだ。さっきの薫と奈緒美の事だって、クラスで友達がいない私を見て二人に話をしてくれたんだと思う。気が合いそうな、あの子たちに。その光景を思うと、ちょっとキュンとしてしまう。いつもそうやって心配してくれて、私のことを考えてくれている。うれしい。

友達と言えば、間仲の事をまだ心に言っていない。なんか気まずくてあのままだった。今なら二人きりだし、言える気がする。

「あのさ、間仲と友達になったんだよ。」

動きが止まった。顔は下を見たまま。

「薫とナオは?」

「もちろん、友達になったよ。」

小さな声で、そうかぁ。と聞こえた。なんかまずかったかな?心はそこら辺にあった小さな枝で地面になんか書きはじめた。

(あおいからまなかくんにいったの?)

ハッと心を見るけど、下を向いたまま続きを書きはじめる。

(まなかくんからいったの?)

胸がギュッとなる。なんて言えばいいんだろう。こんな時、自分の思ってることを完全に伝えるにはどうするのが一番いいんだろう。

落ちてる木の枝で地面に書いてみる。

(しん、だいすきなしんゆう。まなか、かおる、なおみともだち)

本当だけど、少しウソ。心は大好きな人。恋愛感情で。でも言えるわけがない。困るのわかってるし。一番伝えたい人に何も伝えられないもどかしさ。だから親友ってウソをつく。一番だいすきだよ。心。

こくこくとうなずいてくれた。誰も見えない位置で、私たちは手をつなぐ。

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