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僕は御三家の最高傑作~現代社会の裏側で最強を極める~  作者: 藤水 肇


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最強の固有術式


4歳の時から更に時間が流れて1年後、5歳となった雅仁は明治神宮にて行われる開顕の儀式へと照仁と共に向かっていた。


「雅仁、緊張しているのか」


「緊張してないよ。父上こそ緊張してんじゃない?今日で当主からおさらばするかもしれないんだし。今のうちに最もらしい言い訳を考えておけば?」


リムジン内で対面する親子の間には軽い言葉の投げ合いがされていた。無表情で淡々と言葉を発する父と傲慢な態度でそれに軽口を返す息子。正反対のようで噛み合っているように見えた2人は会話を続けていく。


「この1年で態度がデカくなりおって、固有術式がさもないものでないことを祈るんだな」


「僕の術式がさもない訳ないじゃん。それに固有術式なんてなくても妖力と刻印による術式で十分最強だよ」


「あまり調子に乗るな。確かにお前の刻印術式、妖力は最強たり得るものだが、それでもまだ特級には敵わない。驕ることなく鍛錬に励め」


父の言葉に僕はムッとした。未だ特級には敵わないことは自分でも分かってる。それに1級ですら苦戦するであろうということも。だがそれを他人に言われると腹が立つ。


「ふんっ。そんなことは分かってるよ。ただ、もっと父親らしくできないわけ?褒めて伸ばせよ。僕はそっちのタイプだろ」


そういうと無表情の父が初めて笑った。


「ははは。お前は褒めて伸びるタイプじゃないだろう。事実を認識し改善点を上げていくことで能力を上げるタイプだ。それにお前には父としてではなく当主として対応すると決めている。それともお前の母のようにお前の体でも心配すればいいのか?回復術式を持っているお前に」


笑い終わるといつもの無表情で喋る父の言葉を聞いていないふりをして窓の外を眺める。このクソ野郎、母親の話を出しやがって。頬杖をついている左手の拳に力が入っていくのがわかる。こいつは僕と母が上手くいっていないことを揶揄してきたのだ。


母は苦手だ。僕を過剰に心配する。鍛錬で傷を作ったり座学を叩き込む僕を見て「まだ幼いんだから伸び伸び育てばいいのよ」なんて言って僕の頭を撫でようとする。何が伸び伸びだ。こちとらそんな暇はないんだよ。一刻も早く最強にならなければいけないのに。それが最高傑作である僕の存在価値だ。弱い僕は必要ない。そんなの誰も求めてないのだ。それが分かってない母を思い出し更に気分が悪くなった。


無言が支配するリムジンの車内に風間の言葉が響く。


「そろそろ明治神宮に到着します。降りるご準備を」


 風間の声から数分後、リムジンが止まり扉が開く。父が車を降り、それに続いて自分も降りる。数十分ぶりの空はいつもより晴れ渡って見えた。


「では行くぞ」


「「はっ」」


父の言葉に護衛車から出てきた部隊が反応し父と自分を中心とした隊列を組み神宮境内へと進んだ。


権宮司の案内によって本殿の最奥へと向かう。ついてきた護衛は本殿前で待機らしい。父が命令する前に待機していたからそれが慣わしなんだろう。そう考えていると大きな扉の前で権宮司が立ち止まった。


「ここより先は儀式に参加するご子息だけでお進みください。照仁様は別室にご案内するのでそちらでお待ちください」


「ああ、そうさせてもらう」


権宮司の言葉に父はそう返し、こちらを見ぬまま別室に向かっていく。


「僕には何もなしかよ」


小声で父への悪態をつき扉を開ける。

扉の先には床に陣の紋様が描かれており荘厳な空気が空間を支配していた。


少しして宮司が入ってきて儀式が始まった。そして僕は数時間に及ぶ儀式の末、1年待ち焦がれた固有術式を手に入れた。


帰りの車内で雅仁の固有術式について親子で話し合いが行われていた。


「雅仁、術式は何だ」


「鑑定持ってんだから勝手に見ればいいだろ」


「鑑定では詳しいことは分からん。ただでさえお前は妖力が多すぎて見にくいのだ。詳細を話せ」


「はぁ、分かったよ。術式名は『掉棒打星』三不如意に関する能力さ」


「三不如意というと白河法皇の天下三不如意か」


「そうらしいね。さっきネットで調べたけどまんまって感じ。これって新術式?」


「ああ、そんな術式聞いたことがない。新たな術式だろう。三不如意ということは水害、確率、僧兵か。大方、その三つを操れる能力というところか」


「そういうこと。なかなか強力でしょ。汎用性高そうだし覚醒にも期待できる」


「ああ、最高の術式だ。特に水に関する能力が入っているところがいい。如月家の象徴である水が入っていることでお前の次期当主としての正当性が更に上がることになる。相伝になる可能性も出るしな」


「いやいや、今更何の術式でも次期当主確定でしょ」


「万が一のためだ。お前が当主になる前に戦闘不能になったら流石に当主とは認められない可能性があったが水に関する術式があればそれも問題ない。それは別として僧兵はどういう能力だ。眷属召喚のようなものということか」


「んーん。それもあるけどバフって面が大きいかな。自身や仲間の格を条件付きで上げられるんだよね」


「補助系の能力か。使い道はありそうだな。明日からよく鍛錬しておけ。半年後には実践に出す」


「りょーかい。明日からといわず今日からでもいいけどね」


「今日はダメだ。この後、如月家一族の食事会を行いお前を次期当主に任命する。術式は水操作系と発表するから詳しいことは話すな。周りにはいずれバレる。今日は風間が防諜結界を張っていたがお前はこの指輪をこれからつけておけ」


そう言って投げられた指輪を確認し指に嵌める」


「何これ。鑑定阻害つきじゃん。こんなんあるんだったら早くちょうだいよ。今まで刻印術式が見られてないか不安だったんだよね」


「心配するな。屋敷には常に防諜の結界が張られている。それはこれから屋敷の外に出るときに必要になるものだ」


「ってことは明日から外に出て行ってもいいの?」


「ちゃんと風間と護衛部隊を連れて行け」


「えー。いらないよ、あいつら。もう僕の方が強いしいるだけ邪魔だよ」


「駄目だ。せめて月牙隊から2人は連れていけ」


「はいはい」


 父の言葉を軽く受け流す。


 月牙隊―如月家直属の陰陽師部隊。如月家傘下の家や分家、志願した者の中から鍛え上げられた従2位階以上陰陽師のみが所属する。その実力は国内屈指であり、その任務は妖魔討伐、本家の守護、要人の護衛、地方への遠征など多岐にわたる。

今回の儀式にもついてきた部隊も月牙隊である。


「今回の食事会にはお前と同世代の子供も集まる。将来の側近候補だ。今のうちに品定めしておけ」


「いいけど全員いらない子だったらどうすんの?全部処分でいいって事?」


挑発するように父を見る。そんな僕の姿を見ても父は眉ひとつ動かさない。相変わらず読めないな、面白みがない。そう考えていると父が口を開く。


「今は能力が高い子はいないだろう。だが、将来はわからん。それに他の有象無象を率いる力がなければ当主にはなれん。行動によっては次期当主の位を剥奪するぞ」


「分かってるって冗談だよ。ジョークが通じないんだから、まったく」


「くだらん冗談を言うな。それに別に仲良くする必要はない。だが舐められるな。畏怖を植え付けろ。そのためであれば多少は間引いてもかまわん」


「如月家に歯向かう奴なんていないでしょ。そんな奴バカ確定だし」


「傘下にはおらん。各家で厳しくそこは躾けられているはずだ。だが、学園ではわからん。野良の能力者は何も知らず関わってくるからな」


「学園?ああ、10歳から通うってやつね。あれ強制なの?別に行きたくないんだけど」


「強制だ。お前も通わせる」


「あーいあい」


適当に返事を返したところで屋敷に着く。車からおり体を伸ばした。念願の術式を手に入れたし今日はまさしくいい日だn「まさくーん」そんないい日でもないらしい。


声がした方を向くと幼子と手を繋いだ美女が玄関前でこちらに手を振っていた。母だ。僕たちを待っていたらしい。気が遠くなりそうになりながらも父と玄関に向かう。


「お疲れ様〜まさくん、貴方。儀式はどうだった?」


「私はこれから食事会の最終打ち合わせがある雅仁に聞いてくれ」


そう言って父は屋敷の中に消えていく。あの野郎、逃げやがった。しかもこっちに押し付けやがって。


「母上、私も準備がありますので失礼します」


そう言って母の横を通り屋敷内に入ろうとすると肩を掴まれた。


「まだ時間はあるのだし、少しくらい良いでしょう?美和も久しぶりにお兄ちゃんと話したいわよね?」


母が手を繋いでいる幼子―雅仁の一歳年下の妹である如月美和に問いかけると美和が首を小さく縦に振る。


「ほら、3人で話しましょ。準備させてあるわ。中庭に向かいましょ」


そう言い残して中庭に向かう母にうんざりしながらもその後についていった。ここで反発しても長時間付き纏われて結局、時間を無駄にすると知っているからである。それならば母に従った方が時間をかけずに済むのだ。


結局この後、3人の茶会は2時間にも及んだ。

 








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