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僕は御三家の最高傑作~現代社会の裏側で最強を極める~  作者: 藤水 肇


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生まれ落つる最強


現代社会の裏に構築されている一般人に隠された異能力者たちの社会。その社会の住人にある瞬間、一斉に激震が走る。


能力者たちだけが感じる妖力、ある場所でその妖力が爆発的に出現した。


その場所、東京に位置する東京屈指の名家である如月家に1人の赤ん坊が誕生する。


「御当主様、無事お生まれになりました。おめでとうございます」


「妖力の総量は歴代最高値を更新!文句なしの特級です。刻んだ術式も正常に稼働しております。固有の術式も確認済み。実験は成功です!」


出産に関わった如月家の研究員が口々におめでとうございますと復唱する。それに返事を返しつつ如月家当主である如月照仁は赤ん坊を抱き上げる。


「素晴らしい。これが我が家、いやこの世界が待ち望んだ最高傑作だ。これほどの妖力、刻み込まれた術式

どれか一つだけでも天下を取れる逸材だろう。身体に歴代以上の術式を刻んでしまったことから固有術式は諦めていたがそれすら持ち合わせるとは……まさしく現代最強。この子ならばかの安倍晴明すらも凌駕するだろう。将来が楽しみだ」


照仁は赤ん坊を使用人に預け、自室に戻り呼び出した使用人に目もくれず話しかける。


「風間。あの子に月影衆と月牙隊から1小隊ずつ護衛につけろ。誰1人として近づけるな」


「はっ。かしこまりました。若様には指一本触れさせません。それはそうと御当主様、若様のお名前はお決めになりましたか?」


風間の問いに照仁は目を閉じ考えを巡らせる。通じである仁は入れるとして何がいいだろうか。長考の末、一つの名前が浮かぶ。


「雅仁だ。これほど気品に満ちた名前はあるまい。品格を持ち合わせた最強の我が子に相応しい」


「良き名前にございます。では、雅仁様の名前を各名家や政府の管理局に通達します」


「ああ、任せる。風間。お前を雅仁の傅役にする。物心ついたら全てを叩き込め」


「はっ。その様な大任を任せていただきありがとうございます。これ以上ない幸せでございます。必ずや如月家次期当主に相応しい様お育てします」


「任せるぞ。下がれ」


風間が部屋から出ていき無人となった部屋で照仁は窓の外を眺めながら独り言を呟いた。


「最強となれ雅仁。それがお前の生まれた意味だ」

 





時は流れ、雅仁は4歳となった。自我も芽生え鍛錬や勉学も開始された雅仁に傅役となった風間総一郎が術師についての解説をする。


「雅仁様、術師とは一般人には普段見えない妖魔を祓い、世界の安定を図る者たちの総称でございます。日本では陰陽師、ヨーロッパは魔術師、アフリカは呪術師、アメリカでは異能力者、中国では仙人などと呼ばれております。では雅仁様、日本の陰陽師の組織を知っていますか?」


「異能管理局だ」


風間の問いに雅仁は時間をかけずに答える。生まれてから2年の間に使用人や護衛から名前だけは聞いたことがあった。答えを口にして雅仁の脳内に疑問が浮かんだ。


「ん?日本では陰陽師というのになぜ異能管理局なのだ?それはアメリカでの呼び名だろう。何故だ、爺」


「それは管理局が第二次世界大戦後に発足した組織だからでございます。アメリカの指導の下、生まれたので異能とついているのです」


「そうだったのか。大戦前には陰陽師の組織はなかったのか?」


「あります。それが古都、京都にある陰陽寮にございます。平安の世から続く由緒正しき組織で如月家も元は京都六大名家の1つでしたが東京で異能管理局を作る時に天皇家からの要請により東京に他の二家と共に拠点を移したのでございます」


「それが今の御三家か」


「はい。西の御三家が伝統を護る陰陽寮、東の御三家が国を牽引する異能管理局と二手に分かれ日本を守護しているのです」


そう説明する風間の話を脳に叩き込む。未だ屋敷からも出たことがない雅仁からすれば外の話は貴重だ。2歳とは思えない集中力で片っ端から記憶する。

そんな雅仁を誇らしげに見ながら風間の説明は続く。


「次に妖力です。妖力とは身体に宿るエネルギーです。妖力の総量は人によって様々で一時的な増減はあっても基本的には増やすことはできません。妖魔にとってはその妖魔の力を示す指標です。妖力が大きければ大きいほどその妖魔は強くなり4級から1級、そして例外的な特級で表されます」


「人間も妖力でその5つの等級に分けられるのか?それでは術式や体術による実力が測れないでないか」


雅仁の疑問に風間が首を横に振る。


「いえ、そうではありません。人間も妖力総量でその5つには分けられますが人間による等級は実力重視で世界基準で6つに分けられます。日本ではそれを更に正と従で2位階以上を分け、合計8の位階で表します」


「正と従の位の差はなんだ」


「正と従は位階の中の序列です。その位階の中で最も功績が高い者10名に正は与えられます。しかし正一位階だけは別です。歴代で抜きん出た存在にのみ与えられ、歴史に10数名しか認められておらず噂では神に至った者に与えられると言われています」


「神か……私も成れると思うか?その頂に」


雅仁の純粋な問いに風間は深い笑みで返す。


「ええ、雅仁様なら成れまする。如月家最高傑作である貴方様ならば」


「そうか……」


改めて自身に重くのしかかる膨大な期待を目の当たりにする。そこまで自分は完成された存在なのだろうか。自分でもわからない自身の潜在能力に戦慄を覚えた。そんな雅仁を横目に風間の説明は続いていく。


「ではお待ちかねの術式の説明です。術式というのは2つの区分に分けられます。それが系統術式と固有術式です。まず系統術式というのは陰陽師が覚えるべき基本的な技能です。結界術や身体強化、呪符術が挙げられます。そして、術師の能力に密接に関係するのが固有術式です。固有術式は産まれたときに保有するかどうかが決まります。術式といえば基本的に固有術式を指し、多様な術式が有って人それぞれの使い方をします。雅仁様も持ち合わせています」


「私にもあるのは聞いているがどう使うか分からん。どうすれば使うことができる?」


「固有術式は5歳で行われる開顕の儀式によって使用できますよ。あと一年の辛抱です」


「長いな」


 雅仁の言葉に風間は笑う。


「1年なんてすぐですよ。それに雅仁様には他にも使える術式がございます。あと一年はそちらの術式の修行で忙しいですよ」


「術式は2つなのだろう?系統術式の修行ということか?」


風間の顔がニヤつく。


「いえ、系統術式とは別の術式にございます。雅仁様のいう通り本来であれば術式は系統か固有しかありません。しかし如月家ではもう1つ本化筋のみに刻むことができる人工の術式があるのです」


「人工の術式?そんなことができるのか」


「普通はできませぬ。しかし、如月家3代目当主様が持っていた固有術式である『刻印』と厳しい縛りにより如月家本家の御嫡男にのみ如月家秘伝の術式を人工術式として身体に刻み込むことができるのです」


「術式の効果と縛りはなんだ」


「術式の効果や縛りは詳しく知らないので私からはお伝えはできません。御当主様からあとで直接お聞きください」


「分かった。あとで父上に聞くとしよう」


脳内のto doリストの最優先事項にする。


「これで陰陽師についての説明は終わりです。ご昼食を取られたのちに庭で系統術式の訓練を行います」


風間に促され講堂から食堂に向かい昼食を取り、系統術式の修行が始まった。



その日の夜、父の執務室で父と向かい合っていた。

雅仁が人工術式について尋ねると書類仕事の手を止めコーヒーを飲みながら人工術式について話し始めた。


「人工術式の話は如月家秘伝だ。他言するな」


「わかりました。 父上」


「人工術式について話すならまず3代目について話さねばならん。3代目の術式については知っているな」


「はい。風間に『刻印』という術式と教わりました」


「そうだ。『刻印』は事象を取り込みあらゆるものに付与する術式だった。その術式に可能性を見出した3代目は自身の命と術式を継承するものたちへの縛りと引き換えに誰もなし得なかった術式の継承を成し遂げた。それが人工術式だ。人工術式は大きく分けて2つ回復と闇影だ。それぞれが補助の役割で使われる。回復は名前の通り治癒の能力。自身の怪我や病気への回復が早くなり耐性がつきやすく肉体改造がしやすい。そして闇影は戦闘補助用の能力だ。これは様々な使い方がある。自身で試し幅を広げなさい。他にも身体能力向上や完全記憶など細々したものはあるがその辺は覚えなくていい。誤差の範囲だ。で、最後に縛りについて話そうか。まず1つは、聞いたかもしれないが人工術式は本家の当主、嫡男にしか刻印できず必ず継承しなければならない。1つ、術式は常時発動。お前は妖力が多いから大丈夫だが妖力が少ないと妖力枯渇がずっと続き衰弱死する。だから如月家は嫡男の出生率が低い。慣れてしまっているかもしれんが妖力の無駄使いは戦闘に支障をきたす。効果を弱めて使用妖力を減らす訓練をしておけ。そして最後の1つ、刻印の暴走。定期的に妖力を直接刻印に注がないと暴走し手がつけられなくなる。1ヶ月に1回はメンテナンスしろ。以上だ。質問はあるか?」


「いえ、ありません。明日から修行し、できる限り早く実践で使用できる様にします。では今日は遅いので寝ます。おやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


挨拶を交わし自室に戻る。自室のベットの上で明日に期待を膨らませながら雅仁は眠りについた。

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