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未知の白い箱

作者: TOMMY
掲載日:2025/11/07

美術館の中にはひとつの箱があった。

人の頭がすっぽり入る大きさの、真っ白な箱。

模様も何もないそれは、だだっ広い展示室の中央にぽつんと置かれ、四方からの光のせいか、影を失っていた。


──不気味。

その感覚が全身をじわりと支配していく。

私は近づき、周囲を見渡した。白い、箱。

中が詰まった四角いブロックではないことが、

直感的にわかる。

箱の中の空間が、息づいている。

背筋に悪寒が走った。

私の動作に呼応して、箱が脈動した気がする。


近くには小さなパネルがあった。

この作品のタイトルが書いてある。


『未知』


そしてたったひとことの解説。

「どうぞ、中をご覧ください」

──私はしばし考えたが、好奇心を抑えきれなかった。


箱の縁に手を添え、ゆっくりと開ける。

覗いた瞬間、そこには静かに動く小さな私がいた。

箱の周りをゆっくりと歩き、恐る恐る箱を伺う私。

そして箱を開け、中を覗いている光景がそこにあった。


私は一瞬、後ろを振り向く。

天井のレンズが瞬きしたように見えた。

子供騙しだ。そう思った瞬間、胸の奥がわずかに冷えた。


この展示室自体が箱。

私は構造を理解し、もう一度、箱の中を見た。


しかしそこは、黒だった。光を呑み込む黒。

説明のしようがない沈黙が、目の前に広がっていた。


光も、視線も、そこで途切れている。

そう思った瞬間、その箱がまた、息づいていると感じた。

視線が徐々に、飲み込まれていく。


──その箱は、じっと私を見ていた。

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