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第8話 神の黙許(編集版)

※本章は【編集版】として、深い描写を大幅にカットして再構成しています。

 完全な内容をご希望の方は、NOTE掲載の【完全版】をご覧ください。

しばらく無言で走ったあと、

ハンドルを握る俺の隣で、みーちゃんがぽつり。


「……あ、この辺り――

ほとんど、人、通らないですよ」


夜の田舎道。


外灯はぽつぽつ。


路肩の雑木が、ヘッドライトを照り返しては闇に沈む。


俺はウインカーも点けずに、そっとブレーキを踏んだ。


ゆるいカーブを抜けた先、

舗装も怪しい細い横道が口を開けている。


――ここだ。


車体を滑り込ませ、

タイヤを止める。


静寂。


聞こえるのはお互いの呼吸音だけ。


胸の鼓動すら、車内に響いている気がした。


「この車、後部座席の窓はスモークだから、外からはほとんど見えないと思う……」


声が掠れる。


「…………後ろ、行こっか」


「…………うん」


二人でいったん外に出て、

後ろのドアを開ける。


夜気。

ひやりと肌を撫でる風。


ほんの数歩の距離なのに、

後部座席へ回り込むあいだ――

頭の中が、カッッと真っ白になる。


ドアを閉める音が、やけに大きく響いた。


◆密室車内:恋人だから、許される距離


シートに腰を下ろしても、言葉は出ない。


空調を動かしていても真夏の車内は、ほんのり暑い。

それなのに、腕が震える。


みーちゃんが、胸元で指を組んだまま、

上目遣いでこちらを見つめている。


潤んだように見える瞳。

ジャスミンみたいな甘い匂い。


……息を飲んだ。


「LINEで……聞いたけど」


舌がもつれる。


「本当に、その……いいの?」


みーちゃんは こくり、と頷くだけ。


それだけで、喉がカラカラになった。


「…………もちろんです。

だって――恋人、ですから」


女神みたいな甘美な声。


俺は意識が遠のきそうになるのを、必死にこらえ、

震える手を伸ばした。


そっと、みーちゃんの肩に触れる。


薄いTシャツ越しのぬくもり。

それだけで、全身が熱くなる。


「じゃ、じゃあ…………失礼、します」


「ふふ……失礼、されます」


そして――


ふたりだけの世界が

すこしずつ、静かに、重なっていった。


 


◆―神域、開門―

(※このシーンは大きくカットして改変しています。詳細は完全版にて。)


そこから先は、

記憶が曖昧になるほどの時間だった。


何をどこまで、どうしたのか。

正直、自分でもよくわからない。


ただ、あの時の感覚と、

みーちゃんの微かな吐息だけが、ずっと耳に残っている。


俺は――

壊れ物を扱うように慎重だったのかもしれないし、

逆に、抑えきれない衝動に突き動かされていたのかもしれない。


とにかく、

あの時間だけは、夢だったとしか思えない。


ただ覚えているのは…


「…………好きに、していいんですよ」


みーちゃんが放ったその言葉が、ずっと心に残っている。


そして、

その“好き”の意味を、

俺はたぶん、

まだ全部は分かっていない。


▶ 第3章 ― 第9話につづく。

お読みいただきありがとうございます。

感想や応援コメントがいただけると励みになります!

これからも主人公の歩みを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。


※編集版として改変したことで違和感があると思いますがご了承ください。

編集前の原作エピソードをご希望の方は、NOTEで公開中の君夏-完全版-をご覧ください。

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