表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

第3話 ケンさん

その後も、女っ気のない生活は続いた。


大学時代に始めた、とあるSNSがとても面白くて、

同じ趣味の人たちが集まるコミュニティにいくつも参加し、

同士達とのやり取りを楽しんでいた。

当時は、本名の悠真から取って「ユウ」という名前を使っていた。


音ゲーにどハマりしていた時期には、

そのSNSに“1日1回は必ず何かを書き込む”っていう、自分ルールを作っていた。

ゲームのスコアやプレイ記録、自分なりの分析、他愛もない独り言──

何でもいいから、毎日なにかしら発信していた。


けれど、音ゲー人気が落ち着いて、ゲーセンに行く機会が減ってくると、

その習慣も、いつの間にかフェードアウトしていった。


当時、自分をフォローしてくれていた人は100人近くいたと思う。

でも、同じようにゲームを卒業する人も増えて、

なんとなく発信する意味が薄れていった。


代わりに、どんどん増えていったのが──カラオケに行く頻度だった。


とはいえ、ヒトカラには抵抗があった。

店員に「一人で来たの?」と心の中で笑われていそうで、

なかなか踏み出せなかった俺は、基本的に友達と一緒に行っていた。


でも、それだけじゃ回数的に物足りなくなってきた。

そんなとき、SNSで知り合ったヲタク仲間──

しかもカラオケ好きという共通点まであるフォロワーさんから、

「今度オフ会があるんだけど、良かったら参加してみませんか?」と誘われた。


そして、俺はカラオケオフ会という新たな世界に、足を踏み入れることになる。


コミュ症の俺が、ビビりすぎて変な汗をかきながら申し込んだ、人生初のカラオケオフ会。


これ、未来の俺からはスタンディングオベーション。

「神か!?あの時の俺、神だったんか!?」ってレベルで感謝される大英断だったとは、この時はまだ思ってなかったが──



まずオフ会の参加者は必ずSNSをやっているので、

オフ会終了後に参加者全員にDMを送ってやり取りをするようになった。


その中で、

とびきり印象的だったのが――


美味(ビミ)ケンさん。


通称、ケンさん。

(みんなSNSの名前で呼んでいて、本名は聞いたことがない。俺も知らない)


「見た人を幸せにしたい」っていう想いを込めて、

“ビリケン”をもじって“美味(ビミ)ケン”にしたらしい。


……が、漢字にしたことでややこしくなり、

初見だとたいてい「ウマケンさん」と読まれる。

もはや本人もそれをネタにしてるレベルで、

「“びみけん”じゃなくて、ケンさんでOKっす」って皆に自己紹介してた。


ユーチューバーをしているらしく、グルメを扱っていることから、「美味」というフレーズはハズせないんだとか。


地方の激マズB級グルメを探しては、

YouTubeにレビュー動画を上げているらしい。


激マズB級グルメを扱ってるなら美味じゃなくて良い気がするが(笑)


で、またその食レポがクセモノで、

「ぬめりが攻めてくる」「この油、たぶんしゃべれる」など、

語彙が独特すぎて一周まわって中毒性がある(笑)



服装はいつも同じ――

自作の謎Tシャツに短パン、そしてなぜか必ずクロックス。


ぽっちゃりを通り越して、“安心感のあるふくよかさ”。

「お前、マジでポケモンにいそうだな」って誰かが言ってたけど、

なんか否定できなかった。


清潔感はあまりないのに、なぜか女の子にモテるらしい。

理由を考えたけど、たぶん“謎の安心感”と“異常なポジティブさ”にある。

それと、妙に距離が近いのに嫌味がないという、

謎の天性のコミュ力がある。


好きな音楽はアニソン、戦隊モノ、特撮主題歌。

アニメもメジャーよりマイナー派で、

「お前それどこで知ったんだよ」みたいなタイトルをスラスラ挙げてくる。


で、極めつけが――

彼女持ち。


「どこで出会ったの?」って聞いたら、

「なんか気づいたら手繋いでましたねぇ」って笑ってた。

意味がわからない。だがモテている事実は変わらない。


そんな謎だらけのケンさんと、なぜか意気投合してめちゃくちゃ仲良くなった俺(笑)


……でも、このケンさんこそが――

俺の人生を変える、カギを握る存在になる。


▶ 第1章 ― 第4話につづく。


お読みいただきありがとうございます。

感想や応援コメントがいただけると励みになります!

これからも主人公の歩みを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ