89.たぬき!?
おそらく私と同じ、召喚聖女だろう、【ぽんぽこ】氏に会いに行こう。
『あってどうするんですか~?』
街を歩いてると、霊体の愛美さんが、私に問うてくる。
「しょりゃ……きっと困ってるだろうから。たしゅけられるなら、たしゅけたいなって……」
同郷のよしみってやつだ。
それにギルドで話を聞いたところによると、ぽんぽこさんはソロ冒険者とのこと。
「過酷な異世界で、一人……きっと辛い目に遭ってるにきまってましゅ」
胸の中でねむっているましろの、頭をなでる。
私の場合は、運が本当に良かった。ましろ、愛美さん、アメリアさん、貞子さん……。
たくさんの良い出会いがあったからこそ、なんとか楽しく旅ができている。
……みんながいてくれたからこそ、だ。
翻ってぽんぽこさんは一人。きっと寂しい思いをしてるに違いない。
『そうかなぁ~。あんまり言いたくないでけど、余計なお節介……あっ、あっ、やめて~! ましろ様ぁ~!』
ましろがいつの間にか目を覚まし、愛美さんに猫パンチをかましていた。
ほんとに学習しないなこの人……。
「しゃー!」
『【寧子のやることに口出すんじゃないわよ。余計なお節介なら焼くんじゃあない】はいぃ……』
ましろ、私以外にほんとに厳しいな……。
まあ、愛美さんのいってることももっともだ。
別に、向こうから助けを求められてるわけでも、会いたいとコンタクトをとってきたわけじゃあないんだから。
それなのに、こっちからあいにくのは余計なことかもしれない。
それでも……ほうってはおけない。
『……愛美さんの言いたいことはわかります。でも……救いを求めていても、声を上げられない人だって居ます。それに……寧子さんに、すくわれた人も』
貞子さんは、自分のことを言っているんだろう……。
『はいはいわかりましたよーっと。で、ぽんぽこさんってのはどこにいるんですー? まさか、ほんとに狸がドブさらいしてる、なーんてことは……』
「愛美くん。アレを見て……」
と、アメリアさんがつぶやく。
私たちがいるのは、街に掛かる橋の一つ。
橋の下に……奇妙な人物がいた。
いや、人じゃあなかった。
「……たぬき!」
本物の狸が、せっせと、お掃除していたのだっ。
ええー!?




