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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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103/104

103.

 ましろたんによる制裁が終わり、マスコットの絶対的ヒエラルキーが確立された。

 ぽんぽこは土下座の姿勢のまま、涙声でこちらを見上げてくる。


「で、でもさぁ。君たちはなんで旅をしてるのかね? 何かデカい旅の目的でもあるのかね?」

「まあ、特にないでしゅ。強いて言えば、ゲータ・ニィガから逃げたいと思ってこっちに来てるくらいで」

「えっ。あの国、まだ滅びてなかったのん?」


 ぽんぽこの口から出た予想外の言葉に、私は思わず首を傾げた。


「どういうことでしゅか?」

「あの国って、歴史上何度も崩壊と再生を繰り返してる、いわばゴキブリ国なんすわ」


 ぽんぽこが短い腕を組み、さも当然といった顔で頷く。

 ゴキブリ国という身も蓋もない表現に、私は頬を引きつらせた。


「神聖なる存在を傷つければ、滅びは必定。あそこは昔からそういう呪われた土地なんだよ」

「そういうもんなんでしゅか」


 神聖なる存在、という言葉に少しだけ心当たりがないでもない。

 今頃あの国がどうなっているのか、ほんの少しだけ気にはなる。

 だが、わざわざ戻って確かめるつもりなど毛頭なかった。


「なるほど、旅の目的もないと。不遇職鑑定士のように、精霊の姉妹を探す壮大な使命があるわけではないと」

「なんでしゅかそれ」

「なにぃっ。不遇職【鑑定士】が実は最強だった、略して『ふぐ鑑』をご存じないっ!?」


 ぽんぽこが急に立ち上がり、画面の向こうの読者にアピールするかのようにビシッとポーズを決める。


「それはいかんねきみぃ。今は各種アニメ配信サイトで絶賛配信中だぞっ! みんな要チェケラっ!」


 なんだこいつ、急に露骨な宣伝を始めやがった。

 私が呆気にとられていると、肩の上から不機嫌そうな声が降ってきた。


「……ふにゃう」

「あっ、ましろたん。怒っちゃだめでしゅよ、こんな狸の戯言に」


 ましろが再び爪を立てようとするのを、私は慌てて撫でてなだめる。

 すると、後ろから呆れ果てたようなため息が聞こえてきた。


「『めんどくせっ』いや、まあ、わかりますけどぉ」


 同行者の愛美が、乾いた笑いを浮かべながら呟いた。

 宣伝狸に気まぐれな猫神、そして目的のない旅。

 私たちの道中は、まだまだ前途多難な予感しかしないのだった。

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※2/20(金)


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