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01.社畜OL、猫と転生する

↓短編版の連載版となります。


https://ncode.syosetu.com/n1639jy/


短編の続きは、4話からになります!



 私の名前は、黒姫くろひめ 寧子やすこ

 寧子、と書いて【やすこ】と読む。

 でも小さい頃から【ねこ】と読まれ、それをからかわれるのが凄く嫌だった。


 年齢は、今年で28歳。地方国立大学を22で卒業する。

 片親だったので、学費の安い国立大にしかいけなかった。また、母は在学中に他界してしまい、学費を稼ぐために、私は毎日のようにアルバイトをしていた。


 カレシなんてできたためしは一度も無い。

 また、就活も失敗してしまった。勉強と、アルバイトしかしてこなかったのだ。

 見てくれも特に良いわけではない私を、雇ってくれる企業はどこもなかった。


 生活のため、奨学金を借りることになっていた私は、卒業後直ぐに金を稼ぐ必要があった。

 だから……私は仕方なく、ブラック企業に就職する羽目となった。


 毎日残業。働いても働いても、金は貯まらない。

 周りは、どんどん結婚する。家庭を築きあげ、子供を産み、幸せに暮らしてるなか、私はあくせくブラック企業で働いていた。


 ……私の唯一の癒やしは、地域猫として飼ってる、白猫の【ましろ】ちゃんだ。

 ましろちゃんを見つけたのは去年。


 ゴミ捨て場に、ミカン箱が放置してあった。

 1匹だけ取り残された子猫。どうやら他の猫は拾われていったらしい。

 不憫に思ったものの、私は……猫アレルギーだった。


 家に猫を置くことができないので、地域の人と、餌やりボランティアさんと協力し、ましろちゃんを地域猫として世話することにした。


 猫アレルギーがあるせいで、ましろちゃんとは長く接することができなかった。

 でも、毎日のご飯やトイレのお世話をちゃんとした。


 くしゃみと鼻水がでても、それでもなお……私はましろちゃんを可愛がった。

 両親がおらず、彼氏もいない。

 奨学金を返すためだけに働いてる私にとって、ましろちゃんとの交流は唯一の心の癒やしだったのだ……。


 そして、ある日。

 私はましろちゃんがいつもの公園にいないことに気づく。


「ましろちゃん……?」


 私は周囲を探し回り、ましろちゃんをついに発見。


「!? 危ない……! トラックが……!」


 ましろちゃんは道路に飛び出たのだ。

 私は……とっさに体が動いた。


 ましろちゃんを抱きしめて、そして……。

 ぐしゃりっ。


 ……。

 …………。

 ………………。


『こんにちはー!』


 私が目を覚ますと、そこは……冷たく硬い床の上だった。

 体を起こす。あれ……ここは……?


「! ましろちゃんっ!」


 私の目の前に、白猫が一匹居た。

 直ぐに、この子がましろちゃんだとわかった。


 彼女をぎゅっと抱きしめる、私。

 ……温かい。生きてる。良かった。


『あのー、もしもーし?』


 ……頭上に誰かがいる。

 翼を生やした、小柄な女性だ。それが……う、浮いてる……?


「これは……夢……?」


 そうだ。夢にちがいない。だって、私、ましろちゃんを助けようとして、トラックにひかれて……それで……死んだはず。


『残念ですが現実でーす。受け入れてくださーい』 

「……そんな」


 とつぶやいたものの、別に……現世に未練なんてなかった。

 両親も死んじゃったし、ブラック企業勤めだし。将来の展望も、明るくなかったし……。

 ああ、心残りといえば、奨学金を払い終えてなかったな。

 借りたもの返せなかったのは、心残りと言えば心残り……。


『死んで気にすることが奨学金返済なんて、変わったひとですねーあなた』


 ぷかぷか浮きながら、翼の生やした女性は、どこからか取り出したポテチを食べ出す。


「あの……そもそも貴女は一体?」

『わたしは……神……! と言っても、下級神。最高神のぱしりだけどねー』


 神……。

 神……なんて存在するんだ。

 まあ、浮いてるし、人間じゃあないかなって思ったけど。


 でも神が、どうして私の前に。


『さる、おえらーい御方から、あなたが不憫だから、転生させておくれって頼まれたのです』


「転生……?」


『そ。転生。異世界にいってチートで無双! みたいな。そういうやつ』

「……はぁ」


『あれ? テンション低いな? オタクならここでキター! とか。チート能力を所望します! とか。そういうリアクションがあってしかるべきじゃあない?』

「……それ、フィクションでは、ですよね」


 私も無料で読める、漫画アプリで、異世界系のお話をいくつか読んだことある。

 最近はそういう無料で読める系の漫画が増えてるので助かる。


 異世界にいって、魔法で無双。

 チートスキルで無双。

 偉い男の人に溺愛される……等。


「ああいうのって、作り話じゃないですか」

『そーね。でも! これは現実! 君はこれから異世界にいってもらいます!』


「……なんで? 転生させてくれるんじゃあなかったの?」


 元の世界に。


『元の世界の、黒姫くろひめ 寧子やすこさんの体は、トラックにひかれて、ぐっちゃぐちゃにされてしまったんで。生き返すことは不可能なんですわ』


「そんな……。ま、ましろちゃんも?」

『んえ? あー……そうね。たぶん』


 たぶんって……。

 適当だな、この神……。


 うちの部署にも、こういう顔とノリだけいい、仕事を適当にしかこなさない女いたっけ。

『しっけーな! このわたしは正真正銘の女神! 最高神さまから力を与えられ、異世界に人間を送り込む仕事を任されたね!』

「はあ……。じゃあ、私は、異世界にこれから送り込まれるってことなんですね」


『そーそー。で、さるおえらい方からの依頼で、なにか欲しいものがあれば、与えてあげてって言われてるんだっ。ねえねえ、何が欲しい?』

「急に言われても……」


『異世界でしたいこととか、やりたいこととかない? そこから逆算して、欲しい能力とか、武器とかをあげるよ!』


 ……したいこと、やりたいこと……か。

 ……何も思いつかないや。


 幼い頃から勉強。

 大学生になったらバイト。

 社会人になったら仕事……と。


 遊びらしいこと、何一つしてこなかったし。

 したいことも、やりたいことも……。


「みー……」


 ましろちゃんが、私の足に頬ずりしてきた。 ……ああ、したいこと、やりたいこと……あったな。


 私はましろちゃんを抱き上げる。


「この子と、一緒に居たい」

『うぇ!? その御方と!?』


 御方……?


「別に、能力とか武器とかは、いい。私は……この子と一緒に過ごしたい」


 今まで、仕事があって、ましろちゃんとは限られた時間でしか過ごせなかった。

 ここに、ましろちゃんがいるってことは、この子もまた、私と同じく死んでしまったということ。


「私、この猫と、一緒に異世界に行きたい」

『えー……まじっかー……。やっべ、完全に予想外……。ええー……どうしたらいいっすか~?』


 誰に聞いてるんだろう。

 みぃ、とましろちゃんが鳴いた。


『んー、おっけー! じゃあ、黒姫くろひめ 寧子やすこさんには、その御猫さまをプレゼント!』


 良かった。ましろちゃんも、死なずにすんだね。良かったね。


『ついでに、健康なお体もセットでつけちゃうね。君、猫アレルギーなんでしょ?』

「!? 健康な体なんて……もらえるの?」


『うん! だって望みは猫ちゃんと過ごすことなんでしょー?』

「……ありがとう」


『いいっていって。他にも基本的に必要なものを全部のっけとくね。異世界言語スキルとか。諸々』


 ……私は気になった。

 なんで、この女神は、私にここまで色々してくれるのだろうか。


『さるお偉いおかたから、頼まれたからね』

「お偉い御方……ね。その人に、お礼を言っておいてもらえる?」


『え? ああ……うん。まあ、人じゃあないけどね』


 そっか。神か。だから、人じゃあないと。


『よし! 調整完了! これより、黒姫くろひめ 寧子やすこを、猫とともに、異世界に転送しまーす!』

 

 私とましろちゃんの体が光り輝く。

 本当に、異世界に行けるのかわからない。今私は夢を見ているだけなのかもしれない。


 ……でも、ましろちゃんの温かい体を、ぎゅっと抱きしめると、不安が少し和らいだ。


 この子と一緒に、異世界にいけるのなら……少し、わくわくするかもしれない。


『んじゃ、いってらっしゃい! 黒姫くろひめ 寧子やすこさん! それと……バステトさま!』 

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国立しかいけなかったってあるけど国立はめっちゃレベル高いから地方国立大受かるなら早慶以外の六大学とか普通にいけるかと・・・ 国立大のレベルや学部によっては早慶もいける バイトしまくりで国立大行けて卒業…
「生活のため、奨学金を借りることになっていた私は、卒業後直ぐに金を稼ぐ必要があった。だから……私は仕方なく、ブラック企業に就職する羽目となった」 それでもブラック企業の方が、アルバイトを続けるよりは…
バステト… マシロちゃん猫神の化身だったか
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