瀕死
はじめまして!わたしは元気いっぱい!メガネ美少女のミリー!!
今、わたしは推しのザートさんに頼まれてボロボロの城壁の周りでキノコを探してるの。でもでもそのキノコがなかなか見つからなくて;;
そのキノコは「ヘルスキノコ」ってゆって、緑色に光ってるみたいなんだけど・・・…
ミリー「ななあああい!!ないよ!キノコぉ!」
彼女はダダン達が都に侵入した後、一人で「ヘルスキノコ」を探していた。しかし背負っている籠は空っぽだ。
ミリー「っおかしーなー、ザートさんが言うにはこうゆう湿ったとこにあるはずなんだけど………
まさか………ザートさんが間違って………いやいや、あの人が間違えるわけ……」
彼女は周りの湿った場所、岩の隙間や、倒木の中まで何度も調べたがキノコが見つかることはなかった。
ミリー「キノコ~!!どうしよう!このままじゃ……」
ミリーの妄想
『
ザート「君はキノコも採れないのか。まったく
使い物にならない、今度から君の代わりにダダ
ンに来て貰うことにする」
』
ミリー「イヤアアアアア!!絶対にキノコを探さなきゃ!!」
彼女は城壁の周りを走り回って一心不乱にキノコを探しまわった。
するとふとダダン達が通った都に入るための門に
目がいった。
ミリー「……中にキノコがあるのでは?」
もはや都の中に興味を持った彼女を止める者はいなかった。
彼女は都に入っていった。
真っ先に彼女は近くにあった民家に侵入した。
中に入っていくと、何やら暗い家の奥に光るものが見えた。目を凝らすとそれは緑の蛍光色に光っている。なんと彼女はキノコを発見した。
ミリー「緑に光ってるキノコ…絶対あれだ!」
駆け足でそれに近づいた。彼女がキノコを掴んで拾い上げると、人間の頭蓋骨がくっついていた。なんとキノコは頭蓋骨から生えていたのだ。
ミリー「うわ!!」
彼女は驚き思わずそれを落としてしまった。
ゴト
ミリー「なに!?え?ガイコツ?」
とりあえず彼女はキノコだけ採って籠に入れた。
その後もキノコを集めるため街の奥へ潜っていった。その中で大量のコカトリスやゴブリンの死骸を発見した。「なんだろう」と思いつつも、それらを後にして先に進んだ。ある程度いったところだろう、彼女はやっと城の前に到着した。
ミリー「ん?このにおい……城の中にザートさんがいる!!」
それに気づいた彼女はすぐさま城の入り口を探すと木製の扉を見つけた。すぐにその扉を開こうとしたが、きしんでうまく開かなかった。
ミリー「んー」
しばらく試行錯誤していると突然爆発音が聞こえた。
ドォン!!
ミリー「なに!?」
ガラガラ!!
そして建物の上半分が崩れ、扉を瓦礫が塞いでしまった。扉が使えなくなったのを見た彼女は何を考えたのかスッと拳を振り上げた。
「積力!」
彼女の腕にある魔方陣のアザが光り、
ドゴォン!
瓦礫に振った拳は壁までも貫通して大きな穴を開け、その衝撃で吹き飛んだ瓦礫が城内のホブゴブリンに直撃して飛ばされたのが見えた。穴の先には傷だらけのザートとその他が目玉の魔物に襲われていた。ついでにゴブ美は動かなくなった。
ダダン「ゴブ美ー!!」
ミリー「ザートさあぁん!!え、イスト!?なんで!?」
ザートは驚いた顔でこっちを見ていた。
ザート「ミリー!!……」
ザートはミリーの方を向いた後、崩れかかった天井を見て思考を張り巡らさせた。
ザート「イストは後だミリー!!合図をしたら目の前の壁を破壊しろ!」
ダダン「はぁ!?お前ー……
ザート「魔物を瓦礫の下敷きにする!」
イスト「でもそんなことしたら僕たちだって!」
ザート「いや、崩落した影響で僕が張った氷がこのほか城全体にばらまかれた。それを利用して氷を接着剤のようにして補強してある。魔物の頭上以外はな」
気づいたときには城内は霜で包まれた魔物はゆっくりと彼らに近づいてくる。
ザート「ダダン!イスト!あいつをあそこから動かすな!!」
ダダン「ニワトリ!」
ニワトリ「ぎゃ!」
突然上から頭が蛇のコカトリスが飛んできて、魔物を見つめた。一瞬だが魔物の動きが止まった
イスト「ポルターガイストぉ!!」
その隙をつき魔物の足下の瓦礫を操って魔物の体にまとわりつかせ、とらえることに成功した。
ザート「ミリー!今だ!」
ミリー「あ、あぁはい!!積力!!」
ドゴォン!
彼女は合図を受け取り、目の前の壁を壊した。するとそのヒビは綺麗に氷で補強してない部分を通って、魔物の頭上まで繋がり、崩れかかった天井が魔物だけを押し潰すように落ちてきた。
ザート「みんな!ふせろ!!」
………
刹那、ダダンにとある思考がめぐる。
(あいつ……欲しいな………。)
バッ!
突如としてダダンを抜いた三人の目に写ったのは落ちてくる瓦礫に突っ込むダダンの姿だった。
ザート「はッ!?」
気づいたときにはダダンは魔物と接触できる距離まで接近していた。そして彼は魔物に囁くように言った。
ダダン「おい、お前、もう瀕死だろ?」
ドォン!!
天井がダダンと魔物を巻き込んで落ちた。
砂ぼこりが舞って彼らの姿が見えなくなった。
ザート「嘘だろ!?あいつ!」
イスト「え!?」
・・・
砂ぼこりが消えた。
彼らの目には上を向いた魔物と、それに触れているダダンの姿が写った。
ダダンは緊張が解け、力が抜かれたように膝をついた。
ダダン「はぁーよかった……」
ザート「お、お前!!なにバカなことしてるんだ!」
ダダン「いやー気づいたときには足が動いてました」
ザート「……ッはぁ無茶をするな」
ダダン「たはは!」
イスト「にしても、なにしたの?これ」
ダダン「テイム」
イスト「嘘でしょ!?こんな化物を!?」
ダダン「いやいや、意外とおれらこいつに攻撃当ててたし、瀕死でもおかしくないって思ったんだよ。そんで試しに触れたらテイムできた」
イスト「試しに命かけるなよぉ」
ミリーはテイムした魔物をツンツンさわっている。
ザート「なるほど、それでテイムした瞬間に落ちてくる瓦礫をあの攻撃で破壊させたわけだな」
ダダン「すげーだろ」
ザート「まず相談しろ」
ダダン「はーいはい」
ミリー「でもどうするの?これ、報告するの?たぶん新種の魔物でしょ?」
ミリーの言葉に真っ先にザートが反応した。
ザート「勿論だ、賢者様にも直接報告しよう」
ダダンがあぐらをかき、残念そうに言った。
ダダン「んでも、こんなに体張ったのにこいつテイムできただけかぁ」
イスト「そうでもないっぽいよ」
するとイストがにやけた顔で足下の瓦礫をどかすと、金の装飾品が埋まってあった。
ダダン「あ!それ」
イスト「ここの部屋だけ魔物に守られていて、盗賊とかに荒らされていなかったんだ」(盗賊の情報だけど)
ダダン「ゴブ子!ゴブ男!ガレキの中から金目のもん集めろ!」
彼らがせっせと金品を集めているのを横目にザートとミリーはイストと感動の再会を果たしていた。