とある都
ギルド内ー
ダダン「クックックッ……」
冒険者ギルドと書かれたカードを見て、笑いをこぼしている。
ダダン「ついに俺も"Bランク"だぁ!!」
カードにはダダンの名前の隣にBと主張が激しく書かれている。
ダダン「しゃぁ!これであの時頼んだら受付の女に嫌な顔されて受けれなかった「まよみやの調査」がうけれるぜ!!んじゃあ早速ー
ザート「おい!」
眼鏡インテリ少年のザートが物申したそうにこちらに来た。
ダダン「あ、よおザート
ザート「"よお"じゃない!探したんだぞ!
何も言わずに行くなんて」
ダダン「あぁ?言ったろあの女に」
ザート「僕に言わないと意味ないだろ」
ダダン「あ?んでどうした?」
ザートはため息をつき、ポケットから一枚の金貨を取り出した。
ザート「これを見てくれ」
ダダン「ん?どっかで…見覚えあるような……?
それでこれ、くれんのか?」
ザート「ちがう、これは僕が地下墓で拾ったやつだ」
ダダン「あー!そうだそれだ!…ん?てことはさ」
ザート「あくまであの金貨の山は幻覚じゃない」
ダダン「まじかよ!あつぅ!取りに行こうぜ!」
ザート「無理だ、今あの地下墓はギルドが調査してる。まぁ万が一に行けたとしても行かないが」
ダダン「はあ?んじゃぁなんでその金貨を俺に見
せたんだ?」
ザート「実は君が任務に行っていた時に調べておいた。」
~回想~
鑑定所の中でザートとその店主が話している。
ザート「これ見てもらえるか」
取り出した金貨をカウンターに置いた。
店主はルーペを取り出して金貨を観察した。
店主「あんたすごいの持ってるね」
ザート「何か知ってるのか?」
店主「何って、これはリーベル都の金貨だろ?」
ザート「リーベル都……ここから遠いか?」
店主「行くつもりか?やめとけ、行ったとしてもあるのは都があった残骸だけだからな」
ザート「残骸?滅びたのか?」
店主「何だい、知らないのかい?あそこは大量の
魔物によって滅んだんだよ。ちょうど2年前
だったかな?」
ザート「2年前……」
店主「そういうことだ。それとすごいものだと言ったがうちはこういうのは扱ってない。換金所に行くんだな」
返された金貨には2年前の年が書かれている。
店主「はい、料金」
店主はザートに金銭を要求している。
ザート「は?」
店主「情報料だよ、情報料。ほら」
「はぁ」と数枚の銀貨を渡した。
店主「まいど」
~回想終了~
ダダン「最後の情報料のくだりいるか?」
ザート「いる」
ダダン「そうか、……え?んじゃぁそのリーベル都
ってとこに金貨がいっぱいあるってこと
か?それを取りに行くってこと?」
ザート「あるんじゃないか?」
(おそらく金目のものは残っていない。二年もたてば既に取りつくされているだろう。)
ダダン「おお!!行こうぜ!!」
ザート「最後まで話を聞け。そこで僕はこの都を調査しようと思う。君にもついてきてもらいたい」
ダダン「よーし早速いこう!すぐいこう!」
ザート「はぁ、すでにリーベル都に近い場所の簡単な依頼を見つけておいた。依頼のついでで調査しよう。ちなみに依頼内容は「ヘルスキノコの採取」だ」
ダダン「うお賢いなー依頼だったら移動費、ギルドが負担してくれるからな」
二人で話していると、どこからかミリーがぬっと現れた。
ミリー「あの~私も一緒に…( ´Α`)」
ダダン「うわ!ついの間に!……あ、それじゃぁ俺
たちが都ん中見てる間キノコ採っといて」
ザート「同じパーティーなんだから一緒に行くに
決まってるだろ」
ミリー「(*^^*)」
その後3人はリーベル都近郊の依頼に向かった。
ーリーベル都ー城前
草が生い茂った草原の中には、崩れかかった城壁とその中に都がある。
広大な自然の中にポツンとあるそれは、巨大にもかかわらずあまりにも寂しい。
三人は馬車から降りた。
ダダン「人の気配がしねーなー」
ザート「都が滅びてからは財宝目当てのやつ以外
の出入りは無いらしいぞ」
ミリー「キノコキノコ~♪( ^ω^)」
馬車の御者が身を乗り出して3人に忠告した。
御者「一応、あそこ行かない方がいいですよ」
御者は城壁の中を指差した。
ダダン「なんで?」
御者「実はちょっと前にもこの依頼を受けた人がいるんですけど、まだ見つかってないんです。つまり行方不明なんです。」
ダダン「え?、街の中は見たのか?」
御者「勿論探したのですが、あの城の中は捜索できないんですよ。魔物がたくさんいて危険なんです」
ダダン「魔物かぁどうするザート」
ザート「今回はしっかり警戒しよう」
ミリー「キノコ~( ^ω^)」
3人は馬車から離れ目的地に向かった。
城壁の目の前で話している。
ザート「じゃあ、ミリーはここで採っておいてくれるか?ヘルスキノコは湿った所、とくに城壁と地面の間によく生えてるらしいから。このかごに集めてくれ」
ミリー「了解!(ФωФ)」
ザートがかごを渡すとミリーはそそくさと城壁と地面の間をたどってきのこを探しに行った。
ダダン「んじゃ早く行こーぜ」
2人は崩れかけている城門をくぐる。
そして都内に入った直後強烈な臭いが2人を襲った。
ダダン「クッサ!?」
ザート「ウ……ッ!?これは……腐敗臭?」
思わず2人は口と鼻をふさいだ。
「プ~~ン」とハエの羽音が耳を通りすぎた。
ザート「ひどい臭いだ……魔物の死体か?」
ダダン「そうかもな、さっき馬車のオッサンが魔
物がいっぱいいるって言ってたもんな」
ダダンはそう言うと先に進んだ。
すると「クチャ」と柔らかいものを踏んだ感触がした。
ダダン「なんだ?………ッ!!?まじかよ!?」
ザート「どうした?何かあったのー……ッ!」
ダダンが踏んだものに目をやると、それは黄土色の肌を持った肉片だった。
肉片の先には足がついている、見慣れた人間の足が。
ダダン「うっわー……グロー……」
ザート「財宝目当てで入った人間が魔物にやられ
たのか?……とりあえず、先に進もう」
2人は肉片を後にして先に進んだ。
ダダン「ところでよぉ」
ザート「なんだ?」
ダダン「お前のパーティーってあの女だけなの
か?」
ザート「いや、他にもいた」
ダダン「いた?」
ザート「本来は4人だった。だが1人が死んでもう
1人は行方不明だ。」
ダダン「なんか色々あった感じ?」
ザート「……君の方はパーティーいないのか?」
ダダン「俺は追放された」
ザート「追放?なぜ?」
ダダン「俺の魔法が弱かったからだよ。俺そのときまでネズミ1匹とミミズ2匹しか一度にテイムできなかったんだぜ」
ザート「本当か?弱すぎやしないか」
ダダン「マジだよ!そのせいでずっとEランクだっ
たんだから」
ザート「だから僕をミミズで脅してパーティーを
組んだのか」
ダダン「E級の依頼が無かったもんでね」
都の中は晴れた日に照らされている。一方で地面は黒いシミと瓦礫、生き物の死体が所々ある。
ガラ
ダダン&ザート「……!」
何かが物音をたてた。
物陰から尾がヘビの巨大なニワトリが現れた。
ザート「コカトリスか……死体につられてきた
な……気を付けろ……コカトリスはー
ダダン「んだよ、ただのでかいニワトリじゃねー
か」
ダダンは「バッ」とコカトリスに走って接近する。
ザート「最後まで話を聞け!!」
しかし、コカトリスが尾のヘビの目で睨んだ瞬間、
ダダンは「ピタッ」と停止してしまった。
ダダン「何……だ、こ…れ……」
コカトリスはダダンに近づき、黒い息を吹きかける
ザート「クソッ、アイスウォール!!」
ザートの手のひらから現れた氷は地面をつたってダダンごと大きい立方体の氷で凍らせた。
ガキン!
ダダン「が………」
コカトリスの黒い息は氷に防がれた。
黒い息が当たった氷と地面はジュワァーと音を立ててみるみる溶けている。
すると、氷を足場にしてザートはコカトリスの上を取った。
コカトリス「キィーーー!!」
コカトリスは尾のヘビで睨もうとするがザートが氷を放ち、地面と固定されてしまう。
ザートは剣を構え氷を纏わせコカトリスを叩き切った。
ザート「アイスソード!!」
コカトリス「ギィーー!!」
ズバ(切る音)
コカトリスは胴体を真っ二つに切断され動かなくなった。
ザート「無闇に突っ込むなダダン」
ザートがダダンを包んでいる氷に触れると、それは一瞬にして溶けてしまった。
ダダン「んお前!わざわざ俺ごと凍らせなくてもいいだろ!」
ザート「これを見ろ」
ザートは溶けた地面を指差した。
ダダン「んだこれ?」
ザート「コカトリスの尾のヘビに睨まれると一瞬身体が動かなくなる。そしてこの溶けた地面はコカトリスが出す腐食の息によるものだ。僕が君を守らないと、同じように溶けてただろうな」
ダダン「わ~おっかねー」
ザート「絶対触るなよ」
ダダン「分かってるよ、あ、このコカトリステイ
ムしよー」
真っ二つになったコカトリスに触れたが何も起こらなかった。
ダダン「あ?なんでだ?死んだやつは無理なの
か?」
何度も触っているが何も反応がない。
ザート「おい、ダダン」
ダダン「んだよ今テイムで忙しいんだー
ザート「周りを見ろ」
ザートが注意を促した。30?50?それ以上かもしれない。
目を光らせたコカトリスの群れが彼らの周りを囲っている。
ダダン「え、やばくね?」
ザート「……まずいぞこれ……」
コカトリス達「キキキキキ………」
リーベル都の中、腐敗臭と獲物を狙うコカトリスの鳴き声に彼らは包まれた。
コカトリス・・・尾がヘビのでかいニワトリの魔物、
無駄に能力が多い。
ゲームとかで出てくるコイツは苦手。