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テイム魔法ってやつ


 森の中、洞窟の前でダダンが立っている。


ダダン(「ゴブリンの巣の処理」だ。この依頼を達成できたらなんと!B級に飛び級だ!

にしてもスゲーよな、普通、Fランクの俺はこの依頼受けることできないけど、覚醒したことと賢者の名前出したら受けれたなんてさ。

まぁ賢者のどこがすごいとか、覚醒って言うのを本当にしたのか信憑性ないけどな)


 「ま、それを試すためにこの依頼を受けたと言ってもいいしな!本当じゃなくても俺ならなんとかなるし!」


そして「しゃ!行くか!」と意気込み、洞窟の中へと足を運んだ。

中に入りしばらく進むと火のついた松明が壁に掛けられており、薄い木の板でできた扉や、仕切りらしきものがあった。


パキッ……何かを踏んだ音が静かな洞窟の中で響く。

その瞬間「ギャヤャ!!」と背後から石斧を持ったゴブリンが襲いかかった。


ダダン「俺が後ろ警戒してないと思ったのか!!」


サッとナイフを取り出し、ゴブリンを素早く、的確に迎え撃った。


  ズバババッ


ゴブリン「グギャ……ッ」


ダダン「実は俺、前にテイム魔法の本読み込んだから知識はめっちゃ持ってるんだよな、例えば

"テイムの基本その1、テイムできる対象は使用者より格下か、瀕死の状態でないといけない"」


彼は瀕死のゴブリンに触れた。


ダダン(いけるか?……でも今まで無理だったからなぁ……)


すると彼が触れたゴブリンの部分にアザと同じ魔方陣が現れた。


ダダン「……ッ!?なんだこれ!?」


瀕死のゴブリンの傷がみるみる治っていく、それと同時にゆっくりと立ち上がった。


ゴブリン「……」


ダダン「回復した……そうだった"テイム魔法の基本その二、瀕死の状態の対象をテイムした場合、自身の魔力を消費し、対象を回復させることができます。"テイムするやつが毎回ネズミかミミズだったから意識したことなかったぜ」


ゴブリン「…………」


ダダン「………しゃがめ!」


命令を出すとゴブリンはスッとしゃがんだ。


ダダン「おおー!!すげー!!立て!しゃがめ!立て!しゃがめ!」


ゴブリンは屈伸(くっしん)している。


ダダン「ぎゃはは!これが真のテイム魔法かぁ!」


すると突然、「ヒュッ」と矢か何かが首の横を飛んだ。


ダダン「うわ!!あっぶねえ!!」


飛んできた方向を見ると複数のゴブリンが吹き矢を持っていた。


ダダン「よし!ゴブリン!行け!」


ダダンはそう言うとゴブリンを持ち上げ、敵の群れにブゥンと投げた。


ゴブリン「……ンギギギギャャャャ!!」


ゴブリンと群れが衝突し、乱れた隙をついて、ダダンは敵のゴブリン全員に触れた。

するとそれぞれ触れられた部分に魔方陣が現れ、テイムに成功した。


ダダン「フッフ~↑こんなの最強じゃねぇーか!」


テイムしたゴブリン達を連れて、更に洞窟の奥へと進んだ。

すると、大きなゴブリンのホブゴブリンが中心となった群れと遭遇した。


ダダン「うわ、でか」


群れはダダンに気づいて、すぐさま戦闘態勢にうつった。


ダダン「よーし、……吹き矢!あのでかいやつの顔に打て!!」


吹き矢を持ったゴブリン達はホブゴブリンの顔にめがけて矢を吹いた。

ホブゴブリンは大きなこん棒で顔を隠して守った。

その隙をつき、ダダンはホブゴブリンを囲っていたゴブリン達に触れていった。


ダダン「はは!やっぱ周りから崩してくのが定石(じょうせき)でしょ」


ホブゴブリンはこん棒をダダンに振ったがササッと避けられてしまう。


ダダン「よしよーしw………全員突撃!!」


ダダンの命令を待っていたゴブリン達は一斉にホブゴブリンに突撃した。

もちろんホブゴブリンはこん棒を振り回して抵抗し、それに次々に突撃する何体かのゴブリン達は巻き込まれ吹っ飛んでしまう。


ホブゴブリン「グワァァ!!」


ブンブンブン(こん棒を振り回す音)


グシャ! ゴブリン「グギャ!」


   ゴキッ!

      ゴブリン「ウッブゥッ!」


バキッ!   

     ゴブリン「ガァッ!!」


ホブゴブリン「グガガガガァ!」


 ブンブン!


ホブゴブリンの視界がゴブリン達と振り回しているこん棒によって塞がれた。

その瞬間ダダンが目の前に現れ、ナイフでホブゴブリンの喉元を突き刺した。


 グサッ


ホブゴブリン「グボッ!」


ダダン「あんたをテイムするには瀕死にしないといけないからな」


ガクッと膝をついたホブゴブリンに触れる。

テイムが成功した。


ダダン「楽勝だな!このままだと簡単にBランクいっちゃうぜ?」


ダダンはホブゴブリンと残ったゴブリン達を連れて先に進んだ。



進むにつれ(あか)りや人工物、そして人骨が混じった骨塚が増えてきた。

そしてだんだん敵のゴブリン達の声が大きくなっていく。


ダダン「次が最奥っぽいな」


次の部屋に着いた。

数多くのゴブリンと一体のホブゴブリン、そして群れのリーダーと思われる骸骨を連ねた首飾りをつけたホブゴブリンがいた。


ダダン「そのネックレス、趣味悪いね~」


戦闘開始だ、ダダンが真っ先に狙ったのは周りにいる敵のゴブリン達、味方のゴブリン達を先頭にして猛ダッシュで次々に触れてテイムしていく。

 戦闘開始わずかで敵のゴブリンを半分以上テイムしてしまった。


ダダン「やっぱ最初の動きが勝敗分けんだよ!」


すると敵ゴブリンの一人が魔法を飛ばした。

ダダンはギリギリで避け、体制を直した。


魔法使いゴブリン「ギャア!」(詠唱)


    ボウッ


ダダン「ッあっぶね!!ゴブリンごときが魔法使うんじゃねぇよ!!」


ナイフを魔法使いゴブリンに向けて投げ、見事に刺さる。

敵ホブゴブリンからの追撃が来たが軽々避けて魔法使いゴブリンをテイムした。


ダダン「さっきと同じだけど!首飾りじゃない方に突撃!」


仲間のゴブリン達とホブゴブリンは一体の敵ホブゴブリンに向かって続々と攻撃する。


敵ホブゴブリン「ギャャアア!」


ブンブンとこん棒を振り回し抵抗するが、仲間ホブゴブリンの頭への一撃が決まって倒れてしまった。


 ガンッ!


敵ホブゴブリン「うぅ……」


   バタン(倒れる音)


ダダンはすかさずそれに触れてテイムする。


ダダン「もう一人になっちゃったな!ゴブリンのボス!」


テイムしたホブゴブリンは傷が癒され、ゆっくりと立ち上がる。


ダダン「ホブゴブリン!一人があいつをとらえて、もう一人が頭ぶん殴れ!」


ホブゴブリンのうち一人が首飾りのホブゴブリンが抵抗できないよう両肩を背後からガッシリと掴んだ。

そして、もう一人がこん棒で殴りかかろうとしたとき。


ダダン「ブッ!?」


突如としてダダンから大量の鼻血が吹き出した。


慌てて手で押さえるが、一瞬意識がもうろうとしてしまう。


ダダン「な、なんだ!?……これ……魔力切れじゃなねえ……あ!確か……"テイム魔法の基本その3、魔法使用者にはテイムの限界がある~"……つまり…キャパオーバー……」


辺りを見渡すと、テイムしたゴブリン達の動きは止まってしまっている。

目の前のホブゴブリン達も。


ダダン「ーッやばい!」


首飾りのホブゴブリンはテイムしたホブゴブリン達の手を振りほどき、こん棒でダダンに強烈な一撃を食らわせる。


 ブンッ!!


 ガッ(当たる音)


ダダン「ブハッ!!」


勢いが余って少し飛ばされてしまう。

 体制を整え直したダダンは、鼻血や顔に垂れる頭の出血をぐっとぬぐ。


首飾りのホブゴブリンは追撃を行う。ダダンの前でこん棒をグウッと振り上げる。

そしてそれが下げられようとしたとき、


  ボウッ


と魔法使いゴブリンが首飾りホブゴブリンのこん棒を持っている手に魔法を放った。


首飾りホブゴブリン「ガァッ!」


魔法を放たれた手はこん棒を落としてしまった。

そして、背後からテイムしたホブゴブリンが首飾りホブゴブリンの後頭部をこん棒で殴った。


  ドッ!と鈍い音が響いた。


やがて首飾りホブゴブリンは力が入らなくなり、膝から崩れ落ちた。


ダダン「ーふー……あぶねぇ……」


倒れた首飾りホブゴブリンに触れてテイムが完了した。


ダダン「……確かに、強くなってるな……」



ダダン、Bランクに昇格!

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