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なさけな


 ダダン達は目玉の魔物をテイムした後、イストが集めていたキノコを提出した。

ダダンは崩れた城の中から魔物が守っていた金品をどっさりと得て、国へ戻った。

 

 彼らは今、賢者に直接報告に来ている。


 (この扉の奥で賢者様が待っている……。)

 

 ザートは賢者という国の中でもかなりの影響力を持つ者に緊張している。


 「なぁ何してんだ?早くいこうぜ」


 微塵の緊張感も無いバカなダダンは軽くザートを催促した。


 「……ッ」


 ザートはバカを睨み付いて、扉をノックした。


  コンコン

 

 すると、扉の奥から「入りなさい」と老いた男の声がした。


 「失礼します」


 部屋はこじんまりとしており、中はコーヒーと紅茶の混じった匂いが漂っている。扉の真正面には正方形のよく見るような庶民的な窓があり、その前にデスクと椅子に座る白いヒゲの生えた老人がいて、そのとなりに秘書?お手伝い?みたいなのが立っている。


 「なんのようかな?ところでダダン君、覚醒後の調子はどうかな?」


 「絶好調!」


 老人の名は"賢者ヴァルカン"この国唯一の賢者だ。

ザートが腕を後ろで組んで話を始めた。

 

 「報告です。前に話した"地下墓での謎の魔物"ですが、捕獲?しました」


 興味深そうなヴァルカンは机に身を乗り出した。


 「ほう、」


 ザートはダダンに小声で言った。


 「おい、入らせろ」


 「目太~」


 「お前、もう名前つけたのか!?」(小声)


 すると、部屋の外から「ノッシリ」と足音がし、頭が眼球の魔物は扉を屈んで入室した。

 ザート「コホン」と咳払いをして話した。

 

 「この魔物はリーベル都の"周辺"で発見しました。その後、なんとか弱らせ、ダダンのテイム魔方にて捕獲しました。」


 ヴァルカンは席から立ち、目太に近づきヒゲを撫でながら観察している。


 「………」

 

 一瞬、神妙な面立ちをしたかと思うとパッと顔を上げて話し出した。


 「こちらからも報告じゃ、君たちと病院で話した後、小隊を組んで地価墓を調査したんじゃ」


 彼は再び席に着くと、一度紅茶に口をつけて話を続けた。


 「結果は"なにもなかった"正しく言うと、君たち以外に何かがいた形跡はなかったじゃな」


 するとダダンが囁いた。


 「そういや、隠し通路のこと言うの忘れてたな」


 「恥ずかしながら君達の魔力の残穢(ざんえ)を辿ったので、棺の隠し通路とその先の部屋は調査済みじゃ」


 ダダンは「何で聞こえてんだよ」と驚いた顔をした。


 「また分かったことがあったら報告に来てくれ」


 「了解しました」


 すると突然、ザートがバタンと倒れた。


  バタン


 「うわぁ!!どうした!?」


 「どうしたんじゃ?」


 「あ、そういやこいつ腹に穴空いてんだった!」


 「大怪我じゃないか!?おい、医療班を呼んでくれ」


 お手伝いはヴァルカンの言葉を聞くとすぐさま部屋を出た。


 ザート「・・・ブ」


 「じじいやべぇ、こいつ泡吹いて白目になってる!」


 「医療班ー!!はやくぅ!」


 「バン!」と入ってきた白衣の者達によってザートは担架に乗せられ、ダダンと目太と一緒に大慌てで退室した。


 「ふぅ」


 ため息をついて椅子にずっしりと座った。すると、部屋にお手伝いが戻ってきてヴァルカンに尋ねた。


 「……ヴァルカン様、あの魔物はヴァルカン様がおっしゃっていた………」


 ヴァルカンは少しだけ目を見開いて、手を顎に当てた。


 「あぁ、やはり、60年前と一緒じゃな………」


 


 ギルド内の医務室に運ばれたザート。ダダンが付き添っていたら、後からミリーとイストが合流した。30代ほどの白衣のメガネをかけた男性が隣に同じく白衣を着た金髪ショートの少女を連れて入ってくると、ザートの元の椅子に座って、ザートの服をめくり傷の様子を確認した。そのときザートの横腹にダダンよりも少し大きい魔方陣のアザが見えた。すると男が、


 「ひどい傷だ、立つこともできなほど痛いだろうに。おそらく傷口を凍らせて止血していたから感覚が鈍っていたのだろう。キャシー、処置を頼む」


 隣の少女は「キャシー」というそうだ。

彼女は「ふー」と目をつぶって息を吐くと、傷口に両手を当てた。すると緑色の光りと共にみるみる塞がっていった。その様子を見ていたダダンは驚いた顔で言った。


 「すげえ!魔法か!?」


 キャシーは手を傷口から離して男に頷く、どうやら処置が終わったようだ。すると男が、


 「処置は終わったよ、しばらくは目を覚まさないだろう。ところで、君がダダン君だね。話しはヴァルカン様から聞いてるよ。私は医療班班長のナルコスだ。そしてこっちが見習いのキャシーだ」

 

 キャシーは「はじめまして」とお辞儀した。ダダンは気絶しているザートに言い放った。


 「お前見習いに直されてんぞ」


 ナルコス「このギルドで回復系の魔法を持っているのは彼女しかいないんだ。だからまあ、失敗していたとしても大目に見てやってくれ」


 「だってよザート。ところでお前医者なのに治したりしねぇのか?」


 「手術は基本私だよ、摘出とか移植とか。傷を治すのだけは彼女に任せてる」


 ナルコスはふとダダンの後ろにいた二人に目を配った。


 「そちらの二人も軽傷ながらも怪我をしてるようだね。キャシー、頼めるかい?」


 「はい」


 彼女はイストとミリーの手を握って回復させた。


 イスト(いい匂いした……)


 ミリー「イスト、顔にでてるよ('_' )」


 ダダンがこの後どうするか話したときだ。


 「まぁとりあえずこいつ起きるまで暇だし酒場でも行こうぜ」


 ザート「うわあぁぁッ!!」


 突如叫び声を上げて起き上がった。

側で看病していたキャシーも驚いて叫んだ。


 キャシー「うわあぁぁッ!!?」


 ザートは「ハァハァ」と息を切らし、両手を眺めて自分に何が起きたのか思考している。

 

 「僕は………倒れたのか………?」


 ダダンは「おう」と答えた。


 「賢者様の目の前で...…?」


 「めっちゃ心配してたぞ」


 「冗談だろ……」


 顔を手で抑えて落ち込んでいると、医者のナルコスが「大丈夫かい?傷口に違和感は?」と尋ねた。


 「いえ、特には………傷が塞がってる?」


 自分の傷が治ったことに気がついたようだ。


 「この子の魔法で治療したんだ。まあ違和感が無いなら良かったよ。賢者様には私から知らせておくよ。もう帰ってもいいよ、それと無茶はしちゃダメだよ」


 「はい、ありがとうございます」


 

 すっかり夕方になってしまった。4人は帰宅することにした。

 ギルドから出る際にダダンがザートに言った。


 「お前、目太から助けてやったから酒奢れよな」


 「聞いたがお前まだツケ払ってないだろ。一杯分無しにしといてやる。あとそれで言ったらミリーにも奢らないといけないだろ」


 「えぇ!ツケは置いといて飲ませてくれよぉ」


 そんな話をしていると、突然ギルドの中が騒がしくなった。気になって様子を見るとそこにはダダンを追放したパーティーがいた。チラッとザートの方を見ると驚くほど目を輝かせていた。

パーティーメンバーを良く見ると知らない顔が一人紛れていた。ダダンと同じぐらいの背丈の少年だ。


 (クソが………)

 


 「Sランクのパーティーだ」

 

          「最近調子がいいらしい」

 

 「仲間が一人変わったんだってよ」


         「足引っ張ってたのか」


  「リーダがSランクなんだってよ」


 そんな声が聞こえた。

 

 ダダンがザートに「早く行こうぜ」とそそのかしたが聞こえていなかったようだ。彼は「Sランク……」と呟き静かに興奮していた。


 「……ッあぁ、すまない。行こうか」


 やっと声をかけていることに気がついたようだ。

四人はギルドを後にした。

 

 (分かってっけど、なんか腹立つ………はぁ……なさけな。)

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