1 ここ、どこ
ここはどこだろう
本当にどこでだろう。
えーと、まず、私の名前は藍良。
今、8歳。
うん、大丈夫だ。
普通に生活していたはずなんだけど。
本当にここはどこだ。
誘拐されたかな。
でも、こんなところに捨てて行く誘拐犯はいないだろう。
そんなことされるような恨みを買った覚えもない。
一応、誘拐されるのはわかる。
でも、こんなところに捨てて行かれるようなことをしたことはない。
たぶん。
気持ち悪い。
気分が、ではなく。
森が静かすぎる。
多分、今はまだ夜ではない。
木々の間から木漏れ日がある。
森が異様に静かだ。
人の声とか、エンジン音が聞こえないんじゃなくて。
鳥の鳴き声が聞こえない。
あれ、誰かこの森にいる。
、、、、えっ、何でわかるんだろう。
どうしよう。
とりあえず、木に登ろう。
人がいる。
女の人1人と、男の人が2人。
女の人は弓を持っていて、
男の人は片方は大きな盾と剣を持っていて、
もう片方は杖?
なんか本の中で魔法使いが持っていそうな杖を持っている。
えっ、すんごくいやな予感がする。
ここは異世界とかじゃないことを心から願う。
『本当に勇者様この森にいるの?』
『そう言うお告げがあったんだからそうだろう』
『もう既に移動していたり、亡くなっているかもしれませんよ』
『勇者様って強いんでしょ。死んでるってことはないでしょ』
この人たちは勇者様とやらを探しているらしい。
いゃ〜まさかね。
私ってことはないでしょう。
頼む、そうであってほしい。
『異世界の勇者様って男なの?女なの?』
『どうだろうなぁ、お告げじゃ、この森にいること以外教えてくれなかったからなぁ』
『神様は不親切ですね、神殿に直接、異世界の勇者さまとやらを送ってくれたら、楽だったじゃないですか』
『神に向かって無礼だぞ、リアム』
『そうだよ!』
うゎ〜、私が勇者に確率が断然上がった。
てか、ここ確実に異世界じゃん、転移か転生だね。
とりあえず、このままだと飢え死にしそうだし、
この人たちは、多分勇者パーティみたいなやつだろうか、安全かなぁ。
目の前に飛び降りる。
めちゃくちゃ驚いてる。
「お姉さん達だぁ〜れ?」
知らないふりして、聞いてみる。
『お嬢ちゃんこそ誰だ?親御さんはどこにいるんだ?こんな森の奥で、危ないだろ』
『そうよ、こんな森の奥で1人になったらダメじゃない。親御さんはどこにいるの、送ってあげる』
「親は、いないよ」
『じゃぁ、1人でこんな森の奥まで来たのかい?』
「そぉだけど?」
『じゃあとりあえず俺たちの野営場所までくるかい?ここで1人は危険だから』
「いいの?ありがとう!」
よっしゃ!とりあえず安全確保できた。
『お嬢ちゃんはどこから来たんだい』
「う〜ん、どこからだと思う?」
『いや、わかんないから聞いてるんでしょ。』
「ふふ、そうだね、うーん、異世界から、なんちゃって」
驚いてる、驚いてる。
『さっきの話聞いてたのか。』
「そりゃそうでしょ、最初から、木の上にいたんだから。」
『そういえば、お嬢ちゃん、誰か人に会わなかったかい?』
「さぁ、気づいたら森にいたからわかんない。」
『『『えっ』』』』
『何でだい?』
「え〜、何が?」
『森にいることになんか思い当たることはないのか?』
「うーん、しいているなら、神様のせいで急にこの世界に連れてこられたってとこかな?」
『はぁ?』
「そのままの意味だよ?ここは私にとっては異世界だってこと。」
『えっと』
「最悪だよ、神様とやらにせいで、普通に生活してたってのにさぁ、」
『君が勇者なのかい?』
「知らないよ、勝手に連れてこられたんだから、この世界にさぁ」
『初めまして、勇者様、私の名前は「やめてよ、寒気する、普通に話して、さっきまでみたいに、」わかりました、いえ、わかった。』
「で、何でこの世界は勇者さまが必要なの?」
『魔族との争いだよ、お嬢ちゃん』
「へぇ〜、そう言う感じか、魔王さまとやらでもいるのかな?」
『そうよ、魔王を倒すのが私たち人族の悲願よ』
「人族?人間と魔族以外に何かいるの?」
『ドワーフとエルフもそうよ』
「妖精とか、精霊とか、獣人はいないの?」
『妖精はいるわよ、人前には姿を見せないけどね、精霊は伝承にしか、出てこない存在よ、精霊は魔法を司っているって言われてるけどね、獣人は亜人と呼ばれて、魔族の協力者よ、勇者を見つけ次第、近くの獣人に村を勇者様の練習台として滅ぼしに行く予定よ』
「、、、へぇ〜、、、、、」
物騒すぎるなぁ。
野営場所に着く。
流石に、獣人を殺すには気が引けるな。
だって、猫耳だよ!犬耳だよ!会ってみたい!
小さな声で、
「リアムさん、今夜話したいことがあるから」
というと
『?』
と不思議そうな顔をされた。