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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

嫉妬の炎

作者: アァノルド

その夫婦は覚醒や解脱、悟りといったことに熱心で

二人の会話はいつもそっち系統だったし

互いに切磋琢磨して、その域に辿り着けるように

毎日を過ごしていた。


ある時、夫は仕事が上手くいかなくなり

何とも浅はかだが、自分が悟りを開いたら

この窮地を脱することができると考えた。


そして、このことをいつも妻に相談し不満と悩みを吐き出していた。


困った妻は、電波を飛ばすことでお好みの夢を見せてくれるという

「あなたの夢を夢のままに見せます研究所」という所に相談した。


しかし、神様が出てきて

「あなたは覚醒しましたよ、ハイ、おめでとう」

では、リアリティーが無いということで、

細部を担当者と作り込むことになった。


色々と調整して、

荘厳な音楽に合わせて神様が登場し、夫が覚醒したことを告げ

「今後は周囲のものから全世界までを幸せに導くように」道を示す。

そして、周囲の者がいかに覚醒する域から遠いか、通信簿のような物を見せ

(妻の数値はその中で一番、覚醒に近い者として高い数値にした)

神様が神様であることの証明と、夫の徳の高さを数値化して見せることで

夫の不安を取り除く、という作戦にした。


そして実行したが、あまり効果が無いようだった。


夫に「最近、眠れるか?」といって遠回しに聞いてみると

「最近、変な夢を見る。覚醒したとか何とか言われるが良く覚えていない」

と、答えた。


妻は良くなってきている傾向だと夫を励ました。

内心は、

「まあ、夢の操作に失敗しても、半年間の保証があるから良いか」

と、考えていた。


しかし、ここから日に日に夫の様子が激変していった。


朝、起きてくる夫からはうっすらと光が射すようになり

正しい姿勢から発せられる言葉は、美しい音楽のようだった。


なんという思い込みのパワーだろう!

こんなにも効果があるなんて驚きだが、

夫が良くなったことが、自分のことのように嬉しかった。


だが、何ヶ月かが過ぎた頃、夫は眠っているときに

妻に殺害された。


逮捕された妻はこう供述した。

「私が見せた夢のお蔭で覚醒したとか、良い気分になって。

 みんなを導くとか言って、若い女と仲よくして」

「何なら、お金やプレゼントまで色んな人にもらって、

 自分だけ色んなところ行って、色んなことをして

 ついにはテレビまで出るようになって。あんなに調子に乗って」

「何より一番許せないのは、あの人に聞いた夢の中での私の覚醒までの

 数値が一番低かったことよ!私は一番高く設定したのに、あの人の

 夢の中では一番低いなんて、あの人が私を低く見ている証拠じゃないの!」

と、優しかった妻は激白した。


そして妻のいない夫の葬儀が終わり、ひと段落している家に封筒が着いた。


それは、あの研究所からであり

「旦那さんに夢を見せる時には、装置が壊れていたので返金します。」

という、お知らせだった。






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