愛の鞭
「…え。」
どこか失言をしてしまっていただろうか、いやそれはない。態度も問題はなかったはずだ。
なのに、どうしてバレた。いや、きっとまだバレてはいない。だったら、
「あら、その反応からして返ってきているのね。」
バレてしまった…。もうどうしようもない。今から僕はいつものように叱られるのだろう。
「…そこに立ちなさい。」
こうなってはもう従うしかない。従わなっかたら…、余計に恐いだけだ。
「隠してて、すいませんでした…。」
そして、甲高い音が鳴り響く。それは皮膚と皮膚が強く当たった音で、拍手とは違い冷たく、冷徹で、まるでそれだけが目的のようだった。
「今すぐに持ってきなさい。」
「はい。」
そうして母さんが地下室の扉を開ける。
「なにもたもたしてんだこのグズが。」
先ほどとは違い、背中に何かの衝撃があったのと同時に鈍い音が鳴り響く。
おそらく今回も地下室に蹴り落されたのだろう。
体のあちこちが痛むがいつものことだと開き直り僕はそれを取り出す。
ただの赤で丸やバツが描かれた紙のはずだ。だけどそれは僕にとっては重く、まるで絶望そのものを持ち上げているようだった。だけど僕は知っている。これを絶望に変えたのは叱る母さんでも採点する先生でもなく、こんな問題すらも間違ってしまった僕なのだ。
「早く上がってきなさい。」
母さんが僕を急かしている。どうせいつものように何かを落とされるのだろう。
「はい。」
しかし僕がそれに反抗できるわけもなく、はしごを上っていた。
するといつものように中身の詰まった2ℓのペットボトルや熱されたアイロンを落とされる。
それをわかっていた僕は痛みを覚悟しそれを片手でなんとか防ぎながら上り続ける。
「ちっ。」
どうやら母さんにとっては面白くないようだ。
だからなのだろう。僕は再度落とされた。そうしてカッターが投げられてくる。
「痛っ」
それを僕は癖で右腕で受け止め右腕に切り傷を負った。
「いい子になりたいんだったらもう寝てなさい。」
その言葉の直後に僕の体がだるくなった。
おそらく先ほどのカッターに強力な睡眠薬でも塗られていたのだろう。
そんな思考を最後に僕の意識は完全に落ちた。
第三話を読んでくださりありがとうございます。